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爆弾幼女  作者: 駿河留守
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フェイブ2

「君の名前は?」

「えっと・・・・・フェイブ!」

 名前からして外国の子のようだ。いや、見た目からして日本人離れしまくっているから問答無用で外国の子なのだろうが。

「そうか、フェイブって言うのか」

「うん!フェイブ・ランドールって言うの!」

 もろ外国の方ですね。その割にはしっかりとした日本語を話している。血は外国人だが国籍は日本なのかもしれない。そうなるとこのあたり住んでいる子なのかもしれない。単なる迷子って言う可能性もある。その割にはメイド服っていうなんとも言えない格好をしている。

「フェイブちゃんはなんでここにいるか分かる?」

「拾われた」

 それは引きずらなくていいから。さっきの部でその話は終わってるから。

「そうじゃなくて・・・・・・。そう!ここには誰と来たの?」

 これがもし愛田さんだったらあのゲーム機取り上げて聞き出す必要がある。

「う~んと知らないおじさんと来たの!」

 そんな風に堂々と言う内容でもない気がするよ。知らない人と来たってそれってただの誘拐じゃん。

「知らないおじさんとどうやって来たの?」

「車」

 誘拐確定だな。

「あのね、フェイブちゃん。もしかしたら、そのおじさんが変な人でフェイブちゃんを二度と家に帰してくれかったかもしれないんだよ。すごく怖いおじさんだったらどうするの?変なことされたどうするの?」

「変なこと?」

 純粋な子供の目。何も汚いものを見たことのないまっすぐなどこまで輝いている宝石のような瞳を自分は汚すことが出来ない。

「それってフェイブの服の中に手を入れてお腹触ったりおっぱい触ったりすること?」

 確信犯じゃねーか!

「え?すでに変なことされてるじゃん!」

「くすぐたかった!」

 いや、そんな笑顔で言うことじゃないからね!それはただの変態ロリコンおっさんの性癖を満たしただけだからね!

「先輩!すぐに犯人捜ししますよ!誘拐及びわいせつの容疑のかかった犯人を!」

 と叫びながらいつの間にかイヤホンをつけて自分の世界に逃げ込んで読書をするメガネ君を素通りしてゲームに没頭する二人の元へ。これはまだ何もしならない幼女に対する性的暴行だ。今すぐ捕まえないとこんな純粋な子が変な方向に成長してしまう。それだけは阻止しなければ。だが、肝心のふたりは・・・・・。

「愛田!斬りすぎだ!捕獲クエストだぞ!」

「まだ大丈夫だよ。私の防具は捕獲の見極めついてるから」

「おお、準備がいいな」

「仕事しろー!」

 大声で怒鳴っても全く動じずゲームに勤しむ。このまま取り上げて電源を切ってしまうというのも手なのだが、以前やったらまるで獣のようになって襲われたので二度としないと決めた。でも、課長が来ないとこの様だ。誰かなんとかしてくれ。

 溜息が出る。もう、この溜息は完全に癖だ。

 気付けばフェイブもテクテクとついてきていた。

 今この場においてこの子を助けることが出来るのは自分だけだ。きっと、この子にも家族がある。その家族の元に無事に帰して、そしてこの子に悪さをする変態ロリコンおっさんを縛り上げてやる。そう心に誓う。そのためにもこの子から聞き出せることをなるべく聞き出す必要がある。

「ねぇ、フェイブちゃん」

 目線を同じなるように屈む。これは愛田さんからのアドバイス。同じ目線になることによって子供はある程度心を開くようだ。見下ろされると怖がられるらしいのだ。半分くらい自分の経験も入っているのは目をつぶって。

「そのおじさんの特徴を教えてほしいな」

 そして、笑顔を絶やさない。必須らしく笑っていた方が安心するらしいのだ。保育士を目指していた愛田さんの言うことだから大丈夫だろう。一体何があれば保育士から刑事になってしまうのか知りたいものだ。

 自分の質問にしばし腕を組んで悩む。数秒後返ってきた答えがこれだ。

「分かんない!」

「・・・・・・・・はい?」

 分かんない・・・・・だって。いや、だって体触られたんだろ。それはゴム人間でもない限りかなり体を至近距離まで近寄らないと難しくないか?

「なんで分からないの?」

「さぁ~?」

 首をかしげる。

 面でもかぶって顔を隠していたのか?いや、フェイブちゃんは相手がおっさんだって知っているんだから顔は見ているはずだ。どういうことなんだ?

「そうだ!」

「何か思い出したの!」

 フェイブちゃんは持っていた肩掛けのバックからぐしゃぐしゃになった茶色の封筒が出てきた。それを自分に渡してくる。

「これを自分に?」

「うん。おじさんがね、ここに来たら黒い服の人に渡してって」

 黒い服の人。一応、スーツ姿で仕事をこなすのは刑事課だけだ。つまり、これは刑事課の誰にでもいいから渡せと言うことなのか。謎だな。だが、そのおじさんから貰ったのだから指紋が残っているはずだ。ハンカチを取り出してなるべく自分の指紋が付かないようにする。それを不思議そうに思いながらフェイブちゃんは渡してくる。

 それは何の変哲のないただの封筒。そこにはしっかり宛名が書いてあった。その宛名を見てさらに疑問が募る。その宛先が、

「え?課長?」

 各務刑事へ。うちの刑事課の課長だ。

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