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爆弾幼女  作者: 駿河留守
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神矢

 シェアハウスは住宅地にある一般住宅をそのまま使っている。部屋化の数としては普通の家からすれば多い方である。1階にはリビングを含めた4部屋。1部屋大きな和室があり、その中心にタンスや本棚を置く形にして部屋を一つ増やしている。そこが自分と藤見さんの部屋になっている。残りの部屋は紹介していない残りの奴らが個人の部屋として使っている。2階は3部屋でそれぞれ女性陣が使っている。ちなみに男性は2階に上がることを禁じられている。男女間の境を作ることで何の問題もなく異性同士がひとつ屋根の下で暮らしてる。

 そんなフェイブは榎宮さんの部屋で寝ていたそうだ。まるで本当の姉妹のように見えたと八坂さんが教えてくれた。榎宮さんはひとりっこだが八坂さんは下に妹がいるらしく、榎宮さんをいつも妹のように面倒をみている一面があり、榎宮さんと自分の姿を重ね合わせているようだった。

 さて、朝飯を食べた自分はフェイブを連れて出勤だ。課長の指示は預かるだけであって、一時的な保護である。このままシェアハウスの住民になるということではない。なので今日はフェイブを連れていつもの職場までの道を歩いていく。フェイブは眠そうで時頼首をかくんとして寝てしまいそうだ。

 だから、フェイブの歩く速度に合わせて署までやって来た。

 すると駐車場に見慣れない紅色とでも言うべきであろうか鮮やかな赤色をしたフェラーリが入ってきてパトカーの隣に駐車する。

「なんだ?」

 するとフェラーリから出てきたのは金髪に美形の顔をした男が出てきた。サングラスをしてうす汚い警察署を照らす朝日を見つめる。そして、決めポーズをとるかのようにパトカーの車体に片足を乗せてサングラスを外す。

「今日も朝日が目に染みる」

「バカかよ」

「おや?山下っちじゃないか」

「おやじゃない」

 そう、この人こそが昨日無断欠勤をした神矢だ。先輩なのだがどうしても敬語を使う気になれない。だって、刑事に見えないし。

「昨日はなんで来なかった?」

「実は最近付き合った実業家を父に持つお嬢様と一晩過ごしていたんだよ」

「その車は?」

「そのお嬢様にもらった」

「そのお嬢様どうしたの?」

「捨ててきた」

 最低だよ。一晩過ごさせるだけ過ごさせておいて飽きたら簡単に捨てるなんて男として最低だ。自分はこんなヒモみたいな男じゃなくてちゃんとひとりの女性を幸せにするためにすべてを捧げるようにしよう。目の前のバカは悪い見本。

 すると神矢は自分と手をつなぐフェイブをジッと注目する。

「そうか、山下っちは幼女がお好みか」

「黙れよ」

「ダメだぞ。君のような市民の手本となる警察官が恋愛対象にできるのはせめて女子大生からだ。そんな7歳の女の子に手を出すと恋愛じゃなくて、ただの犯罪になるぞ。いくら、ロリコンだからって女子大生にもロリコン臭い子はいくらでもいるよ。僕が紹介してあげようか?」

「まずはお前が市民の手本となれ」

 溜息が出る。

 こんな奴を相手にしていると精神力がもたない。

「お兄ちゃん。ロリコンって?」

「フェイブは知らなくてもいい!」

 このままあの刑事課にフェイブを置いておくと変な知識ばかり蓄積されていきそうだ。今日も生活安全課に預かってもらうこととしよう。今日も例の連続下着泥棒を捕まえるための捜査に行かないと。

「あ、そうだ」

 神矢が何かを思い出したかのようにフェラーリの助手席の扉を開けると全身ロープでぐるぐる巻きに拘束されたてっぺん禿げのおっさんが出てきた。

「・・・・・・・そんなおっさんを縛り上げる趣味があったのか」

「あるわけないだろ!」

 さすがに本気で反論していた。

 その形相にフェイブは驚き自分の背後に隠れる。結構、人見知りなところがあるんだな。でも、最初は普通に接してみて危害を加えそうな相手には近づかないという感じに人と対応しているようだ。そう考えるとなんで誘拐犯なんかに連れていかれたんだろう?

 それは置いておいて本題に戻ると。

「で、そのおっさんは?」

「例の下着泥棒」

「え?」

「いや~、今日泊めてもらった女の子のベランダの下着盗もうとしてた奴がいたから捕まえたら、その連続下着泥棒だったんだよ」

 なんでこんな不真面目な奴の目の前にたまたま下着泥棒が現れるんだよ。こっちは必死に聞き込みとかして一生懸命探して捕まえようとしていたのに努力が無駄になった。手柄はもちろん捕まえた神矢の物だ。ちなみにこれが初めてじゃない。前にも泊まっていた女の子の隣の部屋で空き巣犯がいてそれを捕まえたこともある。

 努力が報われない時が一番大きな溜息が出る。

「はぁ~」

 そして、今日も溜息を吐く。

「今日の仕事なくなった」

 今日一日暇になったのもこの瞬間からだ。

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