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第30話 強面騎士は事件の顛末を見届ける


「どうやらお前の計画は最初から破綻していたようだな」

「くそっ」


 陛下の言葉に男は悔しげな表情になる。

 これだけ計画的な誘拐をしたのだから、それなりに準備をしてきたのだろう。

 だが、それが一瞬で無に帰したのだ。

 悔しくて当然だろう。

 まあ、同情は一切しないが・・・・・・


「といっても、イザベラの貞操は無事なのは証明できるぞ」

「何だとっ!」


 悔しい表情から一転、今度は驚いていた。

 これには俺も驚いていた。

 その点については証明できないと思っていた。

 俺自身は彼女のことを信じているので問題ないが、どうやって証明するのだろうか?


「入れ」

「「はい」」


 陛下の命令に二人の男が謁見の間に入ってきた。

 服装は平民のものであり、城の中にはそぐわない格好である。

 だが、細身ながらも服の上からでもわかるぐらい鍛え上げられた肉体だった。

 何者だろうか?


「お前たちっ!」


 男は二人に見覚えがあるようだ。

 だが、そんな彼の反応に二人は何も示さない。


「この二人は【影】じゃよ」

「っ⁉」


 陛下の説明で俺は驚いた。

 【影】とはこの国の暗部である。

 表で治安維持を担当するのが騎士団であれば、裏で国を守るのが暗部である【影】だ。

 といっても、その姿を誰も見たことがない。

 だから、一種の噂だと思っていた。

 まさか存在しているとは・・・・・・


「お前が婚約破棄の騒動を起こした後、公爵と相談して決めたのだよ。お前に【影】をつけるとな」

「なんでそんなことを」

「あんな大問題を起こしたんだ。次も何かやらかす可能性があるだろう」

「ぐっ」


 やらかした手前、何も言えない様子だった。

 陛下の予想は完全に当たっていた。


「公爵は息子の更正を願っていたようだがな。まあ、その期待はあっさりと裏切られたみたいだが」

「ち、父上」


 男は公爵にすがるような目を見つめる。

 自分のことを信じてくれていたと知り、まだ期待を持ったのだろう。


「ルーク、お前は廃嫡だ」

「っ⁉」


 だが、あっさりと見限られる。

 いや、もう我慢の限界が来たのだろう。

 本来なら、婚約破棄の時点でそうなっていてもおかしくはなかった。


「さて、お前には罰を与えなければな」

「待ってください。もう何もしないので、ご容赦を」


 男は情けなくすがりつく。

 だが、陛下は一切の感情を見せない。


「鉱山で働いてもらおうか、一生な」

「そんな・・・・・・」


 陛下の言葉に男は絶望した表情を浮かべる。

 鉱山で働くのはかなりの肉体労働である。

 しかも、かなりの危険が伴う作業であり、年に何人も死者を出している。

 贅沢暮らしをしていた貴族に耐えられる環境ではない。

 さらに、期限は設けられていないため、死ぬまで働くことになる。

 これは彼にとって相当な罰だろう。


「連れて行け」

「「はっ」」

「ま、待てっ! 俺はこんなとこで・・・・・・」


 陛下の命令で男は連れて行かれる。

 どうにか逃げようとするが、鍛えられた二人に貴族のお坊ちゃんが勝てるはずもない。

 そのまま引きづられて、部屋から出て行った。

 儲かれとは二度と会うことはないだろう。







次回、エピローグです。


作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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