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第26話 強面騎士は犯罪者相手に手加減はしない

二話投稿です。


「てめぇ、何者だっ!」

「やっちまえっ!」


 近くにいた二人が武器をもって襲い掛かってくる。

 先程の登場で味方ではないと判断したのだろう。

 咄嗟の行動としては素晴らしい。


(シュッ)

「「うがっ⁉」」


 その場にしゃがみ込むと、上の方から短い悲鳴が聞こえてくる。

 だが、俺は無視して、その場から駆け出した。


「がはっ」

「むぐっ」

「うごっ」


 通り抜けざまに鳩尾を殴っていく。

 大して鍛えていないのか、全員が一撃に沈んでいく。


(ドスッ)

「ん?」


 だが、最後の一人を殴ったとき、おかしな感覚に気づいた。

 確実にめり込んでいるのに、手応えがない。


「はははっ、馬鹿め。俺の脂肪の前にはお前の攻撃など効かない」


 目の前の男は自慢の腹を見せびらかしながら、高笑いをする。

 大量の肉がついているおかげか、俺の攻撃が届いていなかったようだ。

 肉弾戦はあまり得策ではないようだ。


「じゃあ、こうすればいいか」

「えっ⁉」


 俺のあっさりした反応に男は驚く。

 俺は殴った手と上半身で相手を押しながら、反対の手で相手の足を取る。

 そして、そのまま一気に引っ張った


(ドオオオオンッ)

「ぎゃふっ⁉」


 後頭部から地面に叩きつけられ、男は悲鳴を上げた。

 自分の全体重で床を貫き、上半身が地面にめり込んだ情けない状態になっていた。


「おい、貴様っ!」

「ん?」


 いきなり呼びかけられる。

 振り向くと、そこには男にナイフを突きつけられたイザベラ嬢の姿があった。


「イザベラ嬢、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」


 彼女の無事を確認し、俺は安堵の息を吐く。

 どうやら危害が加えられる前に助けられたようだ。


「おい、俺を無視するなっ!」


 だが、そんな俺達の会話に男がわめく。

 一体、何をそんなに起こっているのだろうか?


「どこの誰だか知らないが、こんなことは止めろ。彼女を傷つけたら、お前の人生が終わるぞ?」

「はぁっ⁉」


 俺の言葉に男がなぜか驚いていた。

 一体、どうしたのだろうか?


「ぶふっ⁉」


 なぜかイザベラ嬢が吹き出していた。

 何かおかしな事を言っただろうか?


「俺はお前たちのせいで謹慎を食らったルークだ。忘れるんじゃねえよ」

「ああ、そういえば、そんな顔でしたね。あんまり印象がなかったので、顔を忘れていました」

「お前よりよっぽどイケメンだろうが」

「いや、イケメンなら同僚にもっと凄いのがいるので、そこまでたいしたことない顔ですよ?」

「なっ⁉」


 たしかに整っている顔かもしれないが、シストの方がよっぽどイケメンである。

 おそらく二人が並んだら、確実に女性はシストを選ぶだろう。

 どうしてそのレベルでここまで自信満々なのだろうか?


「許さねぇ」


 キレた男がナイフを振り上げる。

 彼の次の行動はすぐにわかった。


(ガッ)

「なにっ⁉」


 いきなり手首を掴まれ、男は驚愕する。

 少し距離があったのに、一瞬で距離を詰められたのだ。

 普通の感覚なら、驚いて当然である。

 だが、俺は普段から鍛えている騎士だ。

 この程度は造作も無い。


(バキッ)

「うぐっ⁉」


 顔面に膝蹴りを入れる。

 鼻から血が流れ落ちる。


「少しイケメンになったんじゃないか?」

「うぐぅ」


 顔を自信に思っていたようなので、皮肉を込めて笑ってやる。

 胸元を掴んで引き上げ、悔しげな表情で睨み付けてくる。


「怒ってるのはこっちも同じなんだよ。いや、お前なんかよりよっぽど怒ってるよ」

「ひいっ⁉」


 真正面から睨まれ、男は悲鳴を上げる。

 だが、この程度のことで許すつもりはない。

 誘拐をされたイザベラ嬢はもっと怖い思いをしたはずだ。

 なら、この男にはさらに怖い思いをさせないと。

 上半身を反らし、攻撃の態勢に入る。


(ガシッ)

「っ⁉」

「やりすぎだ、馬鹿野郎」


 背後からいきなり腕を掴まれる。

 振り向くと、そこには呆れた様子の団長がいた。


「イザベラ嬢の前でそんな姿を見せるな」

「っ⁉」


 団長の言葉に自分の失態に気づく。


「・・・・・・」


 イザベラ嬢は申し訳なさそうな表情でこちらを見ていた。

 怒っていたとはいえ、とんでもないことをしてしまった。







作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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