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第六話:異変

あれから数日が過ぎ、ついに体育祭当日となった。俺は運動をしたくなかったなで、雨が降っていることを望んだが......


「......晴れとるやないかい」


「今、禿げとるやないかいって言った?」

「いえ、言ってないです」

「黒川君、嘘は泥棒の始まりだよ?」

「じゃぁ俺泥棒になるわ」

「さっきの嘘だったの⁉︎」


 とまぁ、七海とそんな馬鹿げた会話をしているうちに気付けば開会式の時間になっていた。ちなみに七海は生徒会長として生徒代表の言葉を言うそうだ。まぁ、俺には関係ないんだけれども。


 そんなこんなで俺がボーッとしていると急に周りが騒がしくなった。俺は何事かと思い校庭を見てみると七海が立っていた。

 どうやら七海の番が来たようだ。七海が出る種目は借り物競走らしい。俺は面倒ごとには巻き込まれたくないなと考えながら借り物競走の様子を眺めていると、お題を見た七海がその場で固まっていた。どうしたのだろうかと考えていると七海がこちらに向かってきた。嫌な予感がする。そう思った瞬間、


「黒川君、付いてきてくれる?」

と言われてしまった。

声をかけられてしまったからには逃げるわけにはいかない。そう思い、俺は渋々


「分かった」

と返事をし、七海についていくのだった。



(視線が痛い)

七海と歩いているとどうにも視線が痛い。

そりゃそうだ。七海はこの学校の生徒会長であり、アイドル的存在でもあるんだから。そんな七海が借り物競走のお題に当てはまるとして俺を選んだんだからみんな気になるだろう。とそんなことを考えているとお題を確認する場所に着いた。係の人が七海からお題の紙を受け取って確認し、発表する。


「えーお題は......」

と係の人が言った瞬間周りが一瞬静まり返る。


「見ていて落ち着く人、です‼︎」

次の瞬間周りが一気に騒ぎ始める。

それと同時に俺は七海の顔を見る。しかし、七海は頬を赤らめて俺と目を合わせようとしない。その反応からして俺は冗談では無いと思うのだった。


あれから数個の競技が終わったが、俺と七海はあの借り物競走から気まずくて会話をしていない。どう話を切り出そうか考えているうちに俺が出る綱引きがやってきてしまった。俺は一旦七海について考えるのはやめて目の前の綱引きに集中した。この綱引きはかなり人数が多く激しい戦いとなっている。俺ももう一踏ん張りしようとしたその時、


「あっ、がっ」

俺は急に心臓が締め付けられるような感覚がして地面に倒れてしまった。


「こ、れは...まず、い」

今まで感じたことないような痛みに耐え切れず、思わず意識を手放してしまいそうになる。


「黒川君‼︎」

と、遠くで七海の叫び声が聞こえた。

しかし、俺はずっと感じる痛みによってそのまま、意識を手放してしまうのだった。



私は今、何を見ているのだろう。

黒川君が急に地面に倒れてしまった。しかも熱中症というわけでもない。黒川君は自分の胸を抑えて苦しんでいる。


「黒川君‼︎」

と私は思わず叫んでしまった。しかし、黒川君は私の言葉に何も言葉を返さず、そのまま力が抜けたように動かなくなった。

私はすぐに黒川君に駆け寄って脈を測った。よかった、決して死んだわけではない。しかし、黒川君が危険な状態であるというのは変わらない。とその時丁度救急車のサイレンが聞こえてきた。きっと誰かが連絡してくれたのだろう。幸いこの学校は消防署から近かった為すぐに救急車が到着することが出来たのである。

黒川君はそのまま病院に搬送されて行った。私はその様子を見てただ黒川君の無事を祈ることしかできないのであった。

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