一緒に戦わない?
翌朝、両グループは今後の方針について話し合っていた。
「やはり力を合わせた方が良いのではないか」ガイが提案した。
アッシュも頷いて、「そうですね。昨日の戦いを見ても、一緒に戦えば強いことは明らかです」
レンは黙って考え込んでいたが、ようやく口を開いた。「...一緒に行動か」
みんなの顔に安堵の表情が浮かんだ。しかし、その時、サラが突然立ち上がった。
「待って!」サラが焦った様子で叫んだ。「大事なことを思い出したわ」
全員の視線がサラに集中する。
「預言の書に書かれていたわ。勇者の旅には厳格な規則があって...パーティーは4人までしか認められないの」
一同は驚きの表情を浮かべた。
「そんな...」アッシュが困惑した様子で言う。「でも、みんなで力を合わせれば...」
サラは悲しそうに首を振った。「ごめんなさい。でも、これは神様が定めた掟なの。破れば、きっと大変なことになるわ」
重苦しい空気が流れる。
「しょうがない...」レンが小さい声で呟いた。「結局、俺たちは別々の道を行くしかないのか」
アッシュは申し訳なさそうな表情でレンを見た。「レンくん...本当にごめん」
ガイが咳払いをして、場の空気を変えようとした。「まあ、仕方がない。お互い別々に進むしかないだろう」
ミラは悲しそうに言った。「せっかく仲良くなれたのに...」
ジンは黙って地面を見つめていた。
両グループは重い気持ちで荷物をまとめ始めた。別れの時が近づいていた。
アッシュがレンに近づいてきた。「レンくん、本当に残念だ。でも、きっとまた会えると信じてる」
レンは複雑な表情でアッシュを見つめた。「ああ...その時は、どちらが本当の勇者か、はっきりさせようじゃないか」
アッシュは少し驚いたが、すぐに微笑んだ。「うん。その時を楽しみにしてるよ」
二つのグループは別れの挨拶を交わし、それぞれの道を歩み始めた。
森を出たところで、レンは振り返った。アッシュたちの姿はもう見えない。
「レン、大丈夫か?」ガイが心配そうに尋ねた。
レンは深く息を吐いて答えた。「ああ...行こう。俺たちには俺たちの道がある」
ミラが明るく言った。「そうよ!私たちだって負けてられないわ」
ジンも頷いて、「俺たちなりの勇者伝説を作ろうぜ」と言った。
レンは仲間たちを見渡し、小さく微笑んだ。確かに、アッシュたちとは別れることになった。しかし、自分にはかけがえのない仲間がいる。
「よし、行くぞ」レンが前を向いて言った。「俺たちの冒険はまだ始まったばかりだ」
4人は新たな決意を胸に、次の目的地へと歩み出した。彼らの前には、まだまだ多くの試練が待ち受けているはずだ。しかし、彼らはその全てを乗り越える覚悟を決めていた。
レンとアッシュ、二人の勇者の物語は、ここからさらに大きく展開していくのだった。