表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

目的地まで

朝霧の立ち込める山道を、青年のレンとかつて『鉄拳のガイ』と呼ばれた武闘家が歩いていた。


「ガイさん、この先の町で補給できるんですよね?」レンが尋ねた。


ガイは髭をさすりながら頷いた。「ああ、確かアザミの町だったはずだ。結構栄えてる町でな、物資も情報も手に入るはずだ」


レンは感心したように目を見開いた。「ガイさんは本当にいろんなことを知ってますね」


「はっはっは!」ガイは豪快に笑った。「まあな。『鉄拳のガイ』と呼ばれた俺様だ。各地を転々としてきたからな」


「そういえば...」レンは少し躊躇いがちに言葉を続けた。「ガイさんがなぜ武闘家を引退したのか、まだ聞いてなかったですよね」


ガイの表情が一瞬曇った。「...まあ、それは長い話だ。いつか話すよ。それより、お前の剣の腕前はどうだ?昨日教えた技、覚えたか?」


レンは急に緊張した面持ちになり、「はい!練習しました。でも、まだ完璧じゃなくて...」


「よし、じゃあ町に着く前に軽く稽古だ!」


そう言って、ガイは道端の開けた場所に立った。レンも覚悟を決めたように剣を構える。


二人の稽古が始まって数分後、突然の悲鳴が聞こえた。


「助けて!誰か、お願い!」


レンとガイは顔を見合わせ、即座に声のする方向へ駆け出した。


茂みを抜けると、そこには一人の若い女性が倒れていた。周りには三人の男たちが、彼女の荷物を漁っている。


「おい、そこの馬鹿どもよ」ガイが大声で叫んだ。「良からぬことしてんじゃねえぞ」


男たちは驚いて振り返り、すぐに敵意のある目つきになった。


「邪魔すんな、爺さん。命が惜しけりゃさっさと消えな」


「へっ、言ってくれるじゃねえか」ガイが腕を鳴らす。「レン、お前は女性を守れ。こいつらは俺がやる」


レンは頷き、倒れている女性のもとへ駆け寄った。


「大丈夫ですか?」レンが声をかけると、女性はおぼつかない様子で目を開けた。


「あ、ありがとうございます...」


一方、ガイは三人の男たちと対峙していた。


「さあて、久しぶりにいい運動させてもらうかな」


ガイの目が鋭く光った。次の瞬間、彼の姿が消えた。


「なっ!?」


男たちが驚いた声を上げる前に、ガイの拳が炸裂した。わずか数秒で、三人とも地面に転がっていた。


「ふう、少し物足りなかったな」ガイが肩をすくめる。


レンは目を丸くして見ていた。「す、凄いです...」


女性も驚きの表情を浮かべていた。「本当にありがとうございます。私はミラと申します。この恩は必ず...」


「いや、礼は気にするな」ガイが手を振った。「それより、大丈夫か?怪我はないか?」


ミラは少し体を起こそうとしたが、顔をしかめた。「足を捻ったみたいで...」


「よし、じゃあ町まで送ろう」レンが提案した。「僕たちもちょうどアザミの町に向かっているんです」


ミラは感謝の笑みを浮かべた。「本当に親切な方たちですね。...もしよろしければ、町で食事でもご馳走させてください」


こうして、レンとガイは新たな出会いを果たし、アザミの町へと向かうのだった。彼らはまだ知らない。この出会いが、彼らの旅をどれほど大きく変えることになるのかを...。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ