第十四話 肝心なところがぬけている
ヘイロネアの間抜け話です(;一_一)
シリアスから一変です笑
今、この部屋には私と武藤君しかいない。
騒ぐお姫様を連れ出して、私たちだけで話すことになったのだ。
二国間の和平の話よりも、彼女について知りたい。それとなんでココにいるのか・・・。
「・・・久しぶりね・・・・・・武藤君。」
「ッ・・・・・・あ、あぁ。久しぶりだな、高田。」
名前を呼ぶと、彼は少しうろたえた後返事をする。息もできないくらいショックをうけていた身体が、彼の声を聴いて、彼に名前を呼ばれただけで、こんなにも歓喜して震える。
もう、何もかもがどうでもよくなってしまう。
私、もう大丈夫になったはずなのに・・・。思ってた以上にもとの世界に飢えてたみたい。
出会えた人が武藤君じゃなくても、もとの世界の人だったらどんな人でも嬉しい。
でも、武藤君だからより嬉しい。あのお姫様のことが無ければだけど。
「高田はなんでこの世界に?」
円卓の向かい合う位置で座って会話を始める。緊張で硬くなった身体が、椅子の柔らかいクッションにゆっくり沈み込んで、どこまでも落ちていくような気がして怖くなる。
すがりつくようにひじ掛けをギュッと握る」。
「私は・・・・・・私は・・・あの・・・放課後にね、学校の屋上に行ったの。そして気づいたら森の中で・・・。」
「森の中!?お前よく助かったな。それよりなんで屋上に?」
「私いっつもたくさん食べるし友達ともお菓子交換するから、食糧は持ってて・・・それに怖い動物とも会わなかったし・・・・・・だからギリギリなんとか生き抜いてこの国の人に助けてもらえたの!!・・・・屋上は・・・うん、まぁ色々あって・・・・武藤君こそなんでココに?」
武藤君が告白されているのを盗み聞きして、あわてて逃げて屋上に行きましたなんて絶対言えない。
適当に流して、武藤君に質問を返す。
「俺も・・・少し事情があって屋上に行ったんだ。そして気づいたらヘイロネア国の王宮でおこなわれてた夜会のど真ん中にいたんだ。」
「それがなんで使者としてここに?」
「話せば長くなるぞ?」
「時間はいくらでもあるわ。」
彼も緊張しているのだろうか。フゥと小さく息をついて、私がいれたすっかり冷めた飲み物をいっきにあおるようにして飲みこんだ。
心なしか顔色もあまりよくない。
乾いた唇を一舐めしておずおずと呼びかける。
「・・・・武藤・・・君?」
すると彼はゆっくりと顔をあげ私と目をあわせる。
合わせた瞳は少しゆがめられ、ほの暗かった。
「俺は・・・・俺がこの国に来た理由は和平の交渉なんかじゃない。・・・この国のトップを人質にして、内側からこの国を落すつもりだったんだ。」
「・・・・・・はっ?・・・えぇーーー!!!なにそれ!!!やるにしても一か八かの賭けみたいなもんじゃない!!!」
だってもし、ラッキーで武藤君たちがアーシャルバーを人質にとれても、この国の人たちがアーシャルバーを見捨てる可能性だって大なのに!!!そうしたら、窮地に追い込まれるのは彼らなのに!!
「王を盾に取られればどうしようもないだろう?」
「た、確かにアーシャルバーは国のトップよ。でも、王様とか陛下とか皇帝とかあぁ!もう!兎に角、そいう意味には訳せないと思うわ?歴史的な流れで言えば、この国にも王家にあたる一族はいたけど、今政権を握っているのは彼らじゃない。国民なのよ。アーシャルバーは国民に選挙によって選ばれた、一国民で、在任期間も決まっているの。しかも独裁にならないように、独裁ストッパー係である民会のような組織メンバーも投票によってきめている。確かにアーシャルバーはとっても大切だけど、王様ほど専制君主でいれないし、力があるわけじゃないのよ。そんなカンジだから、国民がアーシャルバーの命と引き換えに国の安定をとる可能性だってあるし、そうなるとあなたたちが圧倒的に不利よ?アーシャルバーは代えがきくもの。」
まくし立てるようにいっきに言いきると、武藤君はポカンとした顔を私に向けている。
私の荒い呼吸音しか聞こえない。
「・・・・・・・まさか敵のそんなことも知らずにそんな暴挙にでたとか言わないわよね?」
「・・・・・・・しらなかった・・・・・ヘイロネアで王が人質に取られたりしたら、どんなことをしても、どんな犠牲を出しても救いださなければならない。・・・もうこの国は王政ではないのか。」
飽きれて言葉が出ないとはこういうことなのか。
「とりあえず、ヘイロネアがとんでもなく絶対王政だということはわかったわ。」
そうですね、ヘイロネアあほです。みんな自分とおんなじとおもっちゃいけないですよね。彼ら、平和ボケしちゃってるんです。
ヘイロネアはキツイ絶対王政で中央は華やかですが腐っているので、重い税金や規則、領主や警備隊の横暴で国民は疲労しきってます。
感想をくれた方々、ホントにありがとうございます。
続きを楽しみにしているという感想のおかげで、なんとか続けていけてます。
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