第十三話 金の髪と青い目の少女
またまた短いです。
一瞬でいろんな考えが頭の中を駆け巡る。本当に武藤君?そっくりさんじゃないの?いや、でも向こうも私を見て固まってるし本物じゃない?
「なんだ?ユーコ殿のお知り合いか?」
アーシャルバーの言葉にも答えを返せない。
「いつまで見つめあっているつもり!!そこの汚らわしい化け物!カズマサを誰が見てよいと申した!」
見つめあって動かない二人の間にさっと飛び込む影。金髪碧眼のなかなかの美少女。
十五、六歳の少女とはこの子のことか。誰かに何となく似ている。でも誰だか思い出せない。
「聞いているの!?あ~、それともあれかしら、卑しい獣や魔物には我ら聖族の言葉がわからないのかしら?」
明らかに侮蔑を含んだ声と、見下したよな瞳。
「・・・申し訳ありません。お許しを。」
心を殺して頭をさげる。それよりも彼が武藤君だということが確定してしまったというショックの方が大きくて心がマヒしている。
確かに彼女は彼のことをカズマサと呼んだ。武藤君の名前を忘れるはずがない。彼のフルネームは武藤一将。
「サーシャ、やめろ。」
「だけどカズマサ、あなたを見つめてよろしいのは私だけでしてよ。そして貴方が見つめてよろしいのも私だけでしてよ。特にこのような・・・」
武藤君の胸に寄り添い甘えた声で少女が訴える。
「やめろと言ったはずだサーシャ!!!」
彼はそんな彼女を振り払うことはせず声を荒げ少女を注意する。
懐かしい声にうれしいはずなのに違った。下を向いたまま涙が出ないように、ばれないように必死に歯をくいしばり耐える。彼に会えてうれしいが、彼が名前を呼んだ少女と親しいと感じさせるやり取り。私は武藤君に下の名前で呼んでもらったことは無いし、私も武藤君の下の名前を呼んだことはない。しかも彼は彼女を振り払わなかった。
悔しいやら、悲しいやらというマイナスの感情がグルグル渦巻き、私はこんなに嫉妬深い女だったのだと知る。
少女と武藤君は一体どんな関係なの?
少なくとも彼女は武藤君に淡い思いを抱いているようだ。しかも武藤君は振り払わない。
吐きそう吐きそう吐きそう気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い帰りたい帰りたい帰りたい
「あら婚約者に対して酷い言いようですこと。クスクス・・・でもそんな貴方も素敵ですわ。これが終われば私たちは国で神に祝われて結婚式をするんですからさっさとこんなこと終わらせましょ。あー、貴方がこの後私の旦那様になると思うと幸せですわ!」
目の前が真っ暗になった。
ほんとはすぐくっつけてあげて、あと数話でめでたしめでたしにしてあげるつもりでしたが、長期戦になりそうな内容に・・・
でも読者の皆さんは、想像していた通りとなった人のほうが多いかな^^;