第十二話 (武藤サイド)面倒事
短いです。
「あの!武藤先輩。今時間とれますか?」
部活に行こうとすると後ろから知らない声が名前を呼ぶ。
「・・・少しならとれる。で、それが何?」
「いえ、あの・・・ここでは少し言いにくいことなんで、場所を移しませんか?すぐすみますんで。」
・・・・・・清純さをよそおった、そのわざとらしい媚をうった態度。誘いをかける吐きそうになる甘ったるい声。自分の思い通りになると信じて疑わない余裕をチラチラと見せる瞳。
全てが癪に障る。
さっさと終わらそう。
「わかった。」
彼女についていくと、山口が高校三年間のうちに一度はそこにおよばれしたいと言っていた西階段についた。
人通りの少ないここは有名かつ定番の告白スポットらしい。
「突然すいません。・・・・・・・・あの、私、武藤先輩が好きです!!私と付き合ってくれませんか!!」
少しためらった後、吐きだすように言う彼女の声をどこか冷めた気持で聞きながら、これが高田だったらなぁとあり得ない想像をめぐらす。
「・・・・・・・・・・ごめん。」
「な、なんでですか!!!私じゃだめですか!先輩のタイプの女の子になります!」自分に相当の自信があるのかなおも食い下がらない彼女に対してイライラがたまる。自分が思っていた結果と違うことを受け入れられないようだ。
「・・・好きな・・・好きなこがいるんだ。だから君の気持には応えられない。」
「・・・それって・・・誰なのか教えてもらえませんか。」
「・・・それは・・・」
ガサッ!!!タッタッタッタッタ・・・・・・・
「「!!!!!」」
「チッ、誰かに聞かれたな。俺の好きな相手だが、誰にも言うつもりはない。」
イライラする。この子と付き合わないにしても、今の奴が根も葉もない噂を流したりしたら、ただでさえ高田と付き合える可能性の低い俺なのに高田に余計な誤解をあたえてしまう。
本人へわざわざ付き合ってないと言いに行くのもおかしいし。
「まっ、待ってください!!!」
呼びとめる彼女の声を後ろに残し、足音から逃げた奴が行ったと思われる方へと走り出す。
廊下を走りぬけると、足音は東階段を上っていく。足音は聞こえるが階段を挟んでいるので姿は見えない。
だが兎に角捕まえて、口封じをしなければばれる可能性が高いだろう。幸い、俺の見かけは怖いといわれる方なので、脅せばなんとかなるかもしれない。
恐らく屋上へ向かっているのだろう。ならば話は早いな。
あと少しというところで、ドアの開閉の音がした。俺もそれに続き、五秒もしないうちにドアへ走り寄り扉を開き飛び込む。
飛び込んだ瞬間、俺の時間は少しの間止まった。そこは屋上などではなく、俺を見て騒ぐ着飾った何百人もの人間と無駄に豪華な広間だった。
お久しぶりです。作者です。
長い間ほったらかしでほんとにすみませんでしたm(__)m
いや、待っててくださるお優しい方もいないと思う文書なんですけど、続きが何とか書ける状態にもどりつつあります。
外傷一つと二つの病気の三重苦になってしまい、寝たきりになってました。
何カ月も死んだような状態から体調も持ち直してきだしたのでご報告ついでにアップしました。
また倒れてかけなくなるときもあるかもしれませんがゆっくり待ってくださったらうれしいです。
皆さんも体調にお気をつけてすごしてくださいね(^v^)でわでわ長々と失礼しました。