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第十話 (武藤サイド)色んな君を知りたい

すみません。優子の漢字が違ったのでなおすついでに、文章やサブタイトルをいじってかえたんですが、間違えて十一話としてのせてしまいました。十話のつもりです。でも、十一話もなるべく早く載せるので気にしないでくれたらと・・・


ただ見ているだけだった存在の彼女と急速に接近したのは七月だった。


俺の通う貧乏公立高校は、まだクーラーをつけるのを何とか引き延ばしている。死ぬほど臭い防具をつけながらの剣道は、暑さとの勝負でもあった。

なるべく涼しくしようと、重い鉄の扉をすべて開けっ放しにする。

その時、遠くの方からたくさんの楽器の音が聞こえてくる。


吹奏楽部か・・・・・・。


少し外の様子を見てみると、二階の音楽室付近の廊下の窓が全て開けられていて、そこから女子生徒が楽器を吹いているのが見える。

そこには彼女がいた。


「トランペット・・・。」


肺活量のかなりかかる楽器を吹いてるんだな。木管系のフルートとかクラリネットの雰囲気だと思ってたけど。でも、彼女の性格にはあっているのかもしれない。


見つめ続けていると色々と気づくことがある。周りは理想の高田優子を作り出し、その『高田優子』というフィルターを通してみているようだ。だから、自分のイメージと違うことがあると見ないふりをしたり、勝手に幻滅したりする。理想の『高田優子』を高田優子にかぶせられる彼女はどういう心境なのだろうか。







彼女は意外と大食いだ。弁当のでかさとボリュームは男子並み。食わず嫌いで、肉ならなんでも好きらしい。野菜と魚という和食しか食べなさそうな顔なのに・・・。

砂糖とミルクたっぷりのロイヤルミルクティーが大好きで、お菓子もよく食べている。というよりか、気がついたら何か食べている状態だ。

この間は、こっそり早弁してるのを見た。ホントに見た目や雰囲気と行動や思考回路が全く合致しないタイプだ。なんというか、周りに流されず自分の思うように行動している。集団行動大好きな周りの奴らとは違い、集団行動もするけど一人でいてもなんら気にせず「皆といる時間も好きだけど、一人の時間も必要」そんなことを指摘してきた友達に言っていた。サバサバと言うかひょうひょうしている。

そんなギャップも可愛いと思う俺は重傷だ。



「おい!!武藤、ボケっとするな!!」


「・・・すいません。」


部活中にボケっとしていたせいか、顧問の教師に怒鳴られた。

こんなこと今までなかったのに。









いつものように部活で汗を流す。

時折、隣の校舎から吹奏楽部の練習している音が聞こえてくる。そんな時、無意識に彼女を探してしまう自分がいる。


いた。


自意識過剰なのか、彼女がこちらを向いているような気がする。むずがゆい感じがしてなかなか集中できない。だけどもし、本当にわずかな確率だが、彼女が俺のことを見ているのならば、やはり男心はかっこを付けたがる。

彼女にみっともない姿は見せられない。いいところを見せたいという気持ちがムクムクと湧いてくる。

だが、心なしか他の部員も気合が入っているように見える。


・・・・・・俺が思うようにこいつらも思ってるのか。

みっともないな。勝手に盛り上がって勝手に勘違いして・・・。早く練習に集中しよう。



あまりの暑さに倒れる生徒がいるかもしれないと顧問が言い出し、途中休憩となった。

吹奏楽部の練習も終わっているのか休憩のようだ。音が聞こえない。


裏にある水道の水を首筋にあてて体温を下げていると、わずかに人の気配がした。

誰だ?こんなとこ剣道部しか使わないし、先に他の奴らは体温下げたはずで俺が一番最後だぞ。





「何してるの?」


突然すぎてかたまってしまった。


「あぁ、高田か。」


何とか平静を保とうと、こっそり深呼吸を繰り返す。

俺は普通に喋れただろうか。








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