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プロローグ的な何かになるはずだったもの

プロローグ


『いきなりだけど、最近は“神隠し”事件が多すぎる気がすると思うんだよね。そう。あの、集団神隠し事件。ボクはコレが俗に言う異世界転移なんだと思うんだねー』


とある厨二病(センパイ)の言ったセリフを未だに覚えている。


高校デビューを果たした僕こと、田中太郎は、かつてないほどの心配をしていた。いや、ことある事に僕は心配しているんだ。では、それの根源は何なのか?


『田中太郎』


この名前である。皆様お気付きの通り、僕の名前は、あの田中太郎だ。学生であったものなら1度は聞いたことがあるだろう。


これと冒頭の話に何の関係性があるのか?そんなの僕には全くわからないし、どうせ分からないままなんだと思う。だって、僕はこの話のサブキャラだろうし。


「太郎、あんた何T字路で立ち止まってるのよ......そんなことしてたってボクみたいな美少女にはぶつからないのよ?」


遅刻する。それに突っ込まないのは流石だと思う。

今は7時50分。あと、10分でホームルームが始まってしまう。

立ち止まっていた場所が、『主人公が急いでいる時に丁度ヒロインとぶつかる曲がり道』だったことにようやく気づいた。

この、キャラの濃い人物こそ、冒頭で話したセンパイの吉良綺羅莉センパイだ。この、究極のキラキラネーム(本来の意味とは少し違う意味も混じっているが)こそ、このセンパイの象徴で、我が高校『私立光学校』の学級委員長の妹の友達のお母さんの隣の家の人の変なお婆さんの家の近くをよく通る母親の娘なのだ。

ここまで長い説明をしておいてなんだが、つまりは、赤の他人である。しかし、センパイ曰く、『だが、しかーし!これが真実なのだ!』とのこと。まったくもって意味がわからない。


「そんなこと期待してませんし、絶対起きませんよ」

「おぉ!太郎は自分のことがよく分かってるんだね!」


何て空気の読めないのだろう。こう思ったりした事はセンパイには言えない。口が裂けても言えない。もし言ったとしたら、彼女の究極奥義『滅旋饕狂脚』が炸裂することだろう。余談だが、饕の意味をセンパイは知らないで使っている。

つくづく残念な人だ。いや、僕が言えたことではないのだけれど。


「まあ、そんなのはどうでもいいのだよ。諸君」

「いや、僕しかいないですよ?」

「いや、そんな小さいことを気にする暇などボクにはないんだよ。太郎は我が右半身の究極の三つ矢で斬る(スラッシュ・サード・アロー)を見かけなかったかい?」


かの有名な......というわけでもない三つ矢で斬る者こと斬三矢先輩は今日はまだ見ていない。


「先輩の事はまだ見てませんよ?」

「そうか......私にこうしている今も助けを求めている者がいるのだ......早く見つけなければならぬ。サード、待ってなさいよ!」


サード......ニックネームにする所が他の人とちがう......。

流石はセンパイなのだろうか?

彼女の後ろ姿を僕は呆然と立ち尽くして、見ていた。

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