表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

じゃんけん

作者: 愚者

ここはあるアパートの一室、俺はそこらへんにいそうな警備員をやっている。まあそれはこの話には関係ないのだが。


今俺は日課のトランプタワーを造りをしている。毎日していれば自然と集中力がついてくるんじゃないか、という理由でやり始めたのだが、今やそれが毎日の楽しみになっている。

今日は朝の占いで1位だった。気分がいいので今日はトランプ3箱使ったタワーを造ろう。しかしこの広さのアパートに収まりきるだろうか…


およそ1時間を費やし完成したタワーに、俺は感動を覚えずにはいられなかった。よくここまで頑張った、俺。これはカメラに残して友達に見せてやらねば。と、思ったはいいが、カメラはどこだろう。日頃から部屋を整理しておくべきだった…などと考えても今は無駄だ。俺はタワーを崩さないように細心の注意を払いながら、カメラを探し始めた。さてどこから探したものか…


とりあえず押し入れを探そう。理由は一番ごちゃごちゃしているからに他ならない。ここならカメラがあったって、おかしくないだろう。

まずはこの箱からだな。埃まみれの汚い段ボールを両手で抱えた。いやに重たい。俺は箱を床に置き、茶色く変色した蓋に手をかけた。

やはり今朝の占いが1位なだけはある。蓋を開け少し中を漁ると、すぐに古めかしいポラロイドカメラが顔を覗かせた。だが俺はこんなカメラを持っていただろうか。そんなわずかな疑問は再びタワーに見やったときの興奮にかき消された。


しかし、こんなカメラでちゃんと撮影できるのだろうか。とりあえず部屋の何ともない虚空を撮影する。

カシャッ ジーッ

うん、問題はなさそうだ。と安堵したのもつかの間、俺の目は写真に写る黒い人影のようなものを捉えた。

なんだこれは。やはりカメラが壊れていたのか。しかし都合よくこんな人影が写り込むことがあるのだろうか。俺は心霊の類いが大嫌いだ


なんなんだよ、やめてくれよ…その時肩を軽く叩かれた気がして後ろを振り返った

「・・・・ッ!」

そこにはさっきの黒い影が立っていた

「なにっすか…」

頭が思考停止をえらんだ、すると黒い影が真っ赤な口を開いた

「クスクス、僕とじゃんけんをしよう」一旦思考停止した頭が動き出した

「じゃん…けんっすか?」

最悪の想像をしたので聞いてみた

「それって俺負けたら…どうなるっすか?」

聞きたくない事を影は簡単に言った

「クスクス、まぁ死ぬだろうね」

簡単に言ってくれて涙も出なかった

「どんな風に死ぬっすか?」

すると影の指が三本立った

「クスクス、死に方は3つ、グーを出して負けたら体内から虫に食い破られる」

「チョキを出して負けたらミキサーの中に入れられてスイッチを押される」

「パーを出して負けたら宇宙に放り出される」

どの死に方もホラー映画顔負けの殺されっぷりという事は理解できた

「クスクス、じゃあ始めようか」

その時ピカッと閃いた

「まつっす、少し考える時間をくれっす」

「・・・クスクス、なら3分だけね」

それだけあれば助けが呼べる

玄関に駆け出した、だが見えない壁に顔面を強打した

「なんすかこれ…」

「クスクス、出られると思った?ここはさっき撮った写真の中なんだよ」

こいつに勝たなきゃ出られないってことかよ

泣きたくなった、けど泣けなかった。泣いたら負けると思ったからだ

「クスクス、3分たったよ、さぁ殺ろうか」

覚悟はすでに決めた、出すものも決めた、後は勝つだけである

俺の命運を決める一瞬である

「じゃ~んけ~ん」

「ぽんッ!」

影はグー俺はパー

「俺の勝ちっすね」

「クスクス、負けちゃったか」

「クスクス、じゃあ次は負けないよ」

「は・・・?何言ってんっすかお前・・・?」

「クスクス、じゃ~んけ~ん」

「ぽんッ!」

影はパー俺は…グー

「クスクス、僕の勝ちだね」

「おい、ふざけんなよ!さっきのじゃんけんは俺が勝ったじゃねーすか!もうゲームは終了したっすよ!」

「クスクス、あれ~?僕じゃんけんに勝ったら写真から出してあげるって言ったかな」

「・・・・ッ!」

「クスクス、じゃあ罰ゲームの開始だよ♪」


突如俺は不快な感触に覆われた。吐き気がする。腹の底で何かが蠢いているみたいだ。この感触は…まるで体内から虫に食い破られているような…ーーー

気がついた、頭が酷く痛む、周りは俺の部屋だ、すぐそばに古いポラロイドカメラと部屋の写真があったが写真には黒い影は無かった、ただ夢では無かったことがわかった

俺の体が・・・・黒・・・い・・・・・

心・・・が・・・消えて・・・・い・・く・・・・・


GAME OVER

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 殺されるときの描写が追加されていて、以前より良くなったと感じました。 [気になる点] とくには感じませんでした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ