エントス大陸14
フロレスタ森林の中をアイアン冒険者チーム、ヴァーテックスと”ヌル”が歩く。
《ん〜。なんで天眼通と壮麗な魔眼は途中で効果が切れたんだろう…》
「そういえば、”ヌル”さんは魔法に詳しいんですよね?」
『え?うん、一応ね』
「魔法を…この剣の下位蛮族化を使う時、魔力って消費されるんですか?使用すると魔力を消費する感覚?みたいなのがするんです。」
『ん…その剣は…消費されますね。魔法が込められているのではなく、魔法陣が込められているので。剣が壊れるまで永久に使えるマジックアイテムみたいなものだと思えばいいです。』
「へ〜…あ、それと気になる事があって、マジックアイテムと魔導具の差ってなんですか?」
『マジックアイテムは魔力を消費する事で効果を発動するアイテムです。魔導具は…木材や石炭ではなく、魔力を動力とした装置です。《魔法技術じゃなく、科学技術が発展している所は核反応を使うものを原子力とか言ったりするけど。》分かりやすく言えば…マジックアイテムは魔法でしか動かす事が出来ない物で、魔導具は木材や石炭でも可能だけど魔力で代用している装置ですね。それと大型の…持ち運べないような大きさのマジックアイテムや武器自体がマジックアイテムの武器を魔導具と呼ぶ事がありますね。』
「そうなんですね!マジックアイテムも魔導具も同じ物だと思ってました!」
「俺はマジックアイテムは使い捨てで何度でも使えるのを魔導具だと思ってましたよ」
「なら、魔法で火をつけた囲炉裏や暖炉なども魔導具と言うんですか?」
『いや、それは魔法で火をつけただけのただの囲炉裏と暖炉だね。例えば魔力で動く馬車やホイッパーに罠とかが魔導具で…魔力で火がつく火打ち石とかもそうだね〜。』
「アミュレットとか聖遺物はマジックアイテムなんですか?神官達は神の力だーとか言ってますが…実際に効果がありますし…」
あっ、“ヌル”さんが神を信じてる人だったらどうしよう
『好奇心凄いなぁ…アミュレットや聖遺物の種類にもよるかなぁ?アミュレットに効果があるのは大半が神官が聖魔法を付与してマジックアイテムにしているだけ。本当のアミュレットは世界を破壊出来る。まぁ、神官の使う聖魔法が神の力の欠片とか言ってる人達からしたらそのアミュレットはマジックアイテムではく神物かもしれないけど。この世界にあるユナイテッド大陸という場所ではそれを毒とか幻覚作用のある物質で中毒にして正常な判断を不可にした状態で神の力だーと言って狂信化させて戦わせてるよ?欲で頭一杯の人間が勝手に作り出した神に。何が神の力だよ。笑えるよな?聖遺物も同じような物で大半が神官が作った物。要するにマジックアイテム、本当の聖遺物は聖火がついた巨茴香とか。まぁ、聖遺物って言ってると聞こえはいいけど、実際は長い狂気に晒された汚物だよ』
《実際にその聖遺物は彼が人間を哀れんで火を渡し救ったがその人間に裏切られ拷問を受け弟にまでに被害が及んだ原因だし》
ハムはとんでもない事を聞いた気がした。本当か嘘かは分からないがユナイテッド大陸はヴァーテックスの由来になった言語の元がそんな酷い大陸だったとは。というかそれが本当なら国家機密…大陸機密?レベルの物じゃないか。
「ユナイテッド主大陸の南にそんな場所があるって聞いた事があるな。大陸の北にある全ての国と南の無神論者の連合軍が狂った大陸の南と戦争してるらしい。大陸の南はアンデットみたいに腕が無くなっても怯える事なく前進するって有名だ。だから北は確か太い針のついた盾とその後ろにいる槍兵で殲滅できるらしいが南はかなり大きいから兵士が尽きないとかなんとか。じゃあ、そのアンデットみたいに突っ込む噂は本当なのか?でも”ヌル”さんは何で知ってるんだ?」
『えーっと、噂程度に…。偽アミュレットの正体が知っているからマジックアイテムという事を知ってるから自分なりに考えてみたんだよ…かなり狂ってるらしいし。』
「でも、あり得るかもな…?」
「というか僕はアミュレットや聖遺物がマジックアイテムだという事にビックリだよ。嘘をついて偽物を売る神殿は信用できないな…。むしろ前より嫌いになったよ。」
『いや、でも本人達は聖魔法を神の力だと思ってるから、本人達の基準でアミュレットや聖遺物神物だからそれは嘘ではないね。実際弱者の心の拠り所が神殿だし、おかげで精神的にだけ救われてる人も少なくはないよ。』
ハムは”ヌル”が神は実際に助ける事は無いと言っているように聞こえた(いや、実際にそうなのだが)
『それに彼らはその売上金を自分の欲には全く使っていないから嫌いになったら少し可哀想だよ。彼ららもう居ない神に踊らされているだけなんだから。』
「そう…ですね?というか僕やサラミ、ベコが神を信じていたらどうするんですか?」
『もしそうなら貴方はこの話題を出さないかと。だからうちは君たちが無神論者か魔教かと。』
「笑顔でそんな事を言う”ヌル”さんを魔教の幹部か何かと思いたいくらいですよ。あ、冗談ですよ?」
『ふふ…もし私が魔教の”ゼロ”だったらどうします?』
“ゼロ”それは魔教の創設者だ。
「いや、そんな事はッ…」
ハムは”ヌル”さんの独特な笑顔をみて…この顔をよく知っている。…笑顔で人を嬲り殺す事ができ…いや、それ以上の事をできる人の顔だ。もしかしたらそれ以上の事を何度もした事があるかもしれないくらい酷い笑顔だ。