エントス大陸8
ここはエントス大陸のノヴェシ王国。
僕はハム。 冒険者だ。
冒険者の頂点、アロス冒険者チーム”ヴァーテックス”のリーダーだ。
今さっき一撃で黒龍帝を倒した所だ。
この愛刀で…。
…毎朝見る見慣れた光景が視界に入った。
夢だった。
いい夢を見た…が、夢の内容は起きた瞬間思い出せなくなる。
机の上にノヴェシローストチキンの骨と蛮族化の本がある。恐らく昨日読んでるうちに寝落ちしたのだろう。
とりあえず朝のトレーニングをしよう。昨日はしなかったから2倍やったほうがいいのかな…?と思ったが本に適量を毎日続けるのが良いと書いてあったからいつも通りの量にした。
素振り300回。
いつも剣を置いてある場所に手を伸ばす…
新しい剣がある。
昨日サラミに買ってもらった魔法剣だ。
前まで使っていた剣はどうしようか…。
予備の剣として所持しておく事に決まった。
1…2…3…4…5…6…
———296…297…298…299…300ッ!
素振りは意外に疲れるのだ。
今日はアイアン冒険者になって初めての仕事だ。
サラミ達と冒険者組合の前で待ち合わせしているのだ。
銅貨1枚を持って行こうかどうか迷う。
安全の為に持っていく事にした。
魔法剣に予備の剣
銅貨1枚に黒鉄貨2枚、100鉄貨が4枚と鉄貨18枚。
魔力回復ポーションと革製のアーマー。
そしてアイアン冒険者バッジ…が無い。
え、本当に無い。ポケットの中も見たが見つからな…
あった。ズボンに刺さっていた。正三角のバッジの角が刺さってしまっている。幸い太ももの皮膚で止まっていた。あと少しで血が出ていたところだ。恐らく寝ている時に服から取れてしまってそれがズボンに刺さったのだろう。アイアン冒険者バッジを付けていざ冒険者組合へ!
「あ、”ヌル”さん!」
金のスライムを倒した時に使ったマジックアイテムをくれた人だ。
そして、サラミに魔法のバックをあげた人だ。
少し羨ましい。
『あーえっとーハムさん久しぶりだねー』
気のせいだろうか、僕の名前を言う瞬間、”ヌル”さんの目が青色になった気がする。あと、僕の名前忘れられてた気がする。
「あの時は、マジックアイテムと魔法のバッグをありがとうございました!」
『あー全然いいよ、うちからしたらゴミみたいなものだしー、』
ハムは驚いた。マジックアイテムは最低でも銀貨1枚で取引されている。銀貨1枚は銅貨1000枚分だ。”ヌル”さんは貴族なのか?それとも謙遜しているだけなのか?ハムは貴族が嫌いだ。だが彼がいなければ僕達は金のスライムに殺されていただろう。
「いやいや、もう本当に、あれがなければ僕達はもう死んでしましたよ!」
『あ、もう使ったの、何に対して使ったの?』
「スライムに使いました!」
『え?なんて?すらいむに?』
「はい!すごく強い金のスライムがいたんです。そのスライムは生物に触れると触れた部分を一瞬で消滅させるんです!」
『金のスライム?消滅?初めて聞いたよそんなスライム。触れた部分を消滅したと思い込んでしまうほどの強酸を持った酸粘液生物という可能性は?』
酸粘液生物?そんなスライム知らない。
「剣や槍は消滅しなかったので、それはないかと…」
『えぇ?黄色の酸粘液生物を光か何かで金色に見間違えただけかなと思ったのに…本当に知らないスライムだ。』
「金色じゃなくて、本当に金なんです。金属の金」
『金鉱石を飲んでしまったスライム…?いや、それなら触れた生き物だけ消滅しないし…武器は消滅しなかった…か…そういえば、君のチームにレイピアを使ってる…えーっと…ハラミだっけ?その人にスライムは付着しなかったの?』
レイピアでスライムを刺すとヌルッと深くいくのだ。
「サラミです。サラミのレイピアは改造レイピアで剣身をブーメランのように発射して戻すことができるんです。まあ、魔力糸が付いていてそれで戻してるだけなんですけどね…。全員の手に少し付着しましたが、特に何もおきませんでした。」
『その付着したスライムを見てみたいんだけど…』
「あ、売りました。」
『どこに!?』
「サラミが売ったので、どこに売ったかはちょっと…分からないです。」
『えー…?未知スライム見てみたいからハラミさんに会いたいんだけど、いい?』
「いいですよ!冒険者組合前に待ち合わせしてるので、ついてきてください!」