暗界21
レイは少し歩いて分かった。
まず、歩いている人に触れることができない。
霊かのように、普通に、目だけに映しているだけかのように。
あと、こんこんうるさい。
ノイズ。
(一話前適当すぎる…)
そして、レイはしばらく彷徨う。
露店だらけで、人もたくさん
しゃーない。他の人と会話できないんだから。(人じゃないけど)
そして、いかにもインチキくさい占い師の館のような、紫テントみたいな。
そんなお店から、狐のお面で顔を隠してる。
誰かを手招きしているが、レイではないだろう。
普通に通り過ぎようとする。
「…”かわいそうなぞう”という話をご存知かい?」
レイはどう考えても自分に話しかけられたのがわかる。何故かは分からないが。
レイは止まる。
「争いの中、猛獣の檻が空襲で壊れて被害が出ないように、猛獣を殺すことになったんだ。だけど、象は殺すのが大変で、餓死させることになったんだ。けど、糞尿の世話はしようということで、まいにち、象の糞尿の世話をする飼育員は、その象の檻の中に入るんだ。象は腹が減っていて、飼育員に芸をするんだ。まいにちまいにち。餌を貰う為に。まいにちまいにち、だ。だが、飼育員は餌をあげるなと、その国の指導者に言われていたんだ。そして、争いが終わった。争いが終わった日に、嬉々として飼育員が餌と水をあげに行くんだ。だけど…死んでいた。争いが終わった日に死んだのさ。」
「…?」
レイはだから何ってなる。
「この象は死んだ。この象が死んだ理由に関しては誰が悪いのかね?利益のためだけに戦争を起こした戦争の首謀者?国民を守る為に猛獣を殺す命令を出した指導者?我が身可愛さに餌をあげなかった飼育員?」
「戦争首謀者」
「本当に?」
「それより…
「じゃあ、拷問ショーや決闘ショー、スナッフフィルムは好きかい?」
「いや、あんなの金持ちの快楽だろ、好きではないし、嫌いでもない。」
「…普通は非難する。そうだ。そうにきまっている。…人じゃなく、犬や牛の場合は?」
「どうでもいい」
「…。」
「…。」
「おいで、」
狐の仮面を被った人形が手招きする。