エントス大陸1
…
……
………
『———君がきっと最後の神族だよね?』
そうして、その人間…いや、最早人間だと判断できない”それ”は最後のゴミに、赤黒い光を纏った短剣を笑顔で振り下ろした。
毎朝見る見慣れた光景が視界に入った。
「ん…ここは…家…?」
ベッドの上で少年が目覚める。
「よっ!やっと目覚めたか?」
驚いて声の主が居る方を見ると、僕らの冒険者チームのリーダーが居た。
「わっ!?サラミ!?なんでここに居るの!?」
「ふっ、相変わらずのビビりっぷりだな。こっちがびっくりしたぞ…」
笑顔でサラミが答える。
…今日のサラミは怖いくらい笑顔だ。なにかあったのかと思い聞いてみようとした時、彼ががつけている金属のバッジが目に入った
「それッ゛…
舌を強烈に噛んでしまった。これはかなり痛い。サラミは大爆笑している。
「それっ、アイアンの冒険者バッジじゃ…?」
「ああ!俺たちアイアンの冒険者になったんだ!覚えてないのか?おまえ昨日、驚きすぎて失神したんだぞ?」
ベッドの上で寝っ転がってる彼…ハムは驚いて上半身を起こした。
彼の夢はエントス大陸で一番強い冒険者になる事だ。
そして夢に僅かだが近づいたのだ。
ハムは歓喜の声を上げる。天に届くくらい大きな声で…
「朝っぱらからうるさいよ!まったく…近頃の若者といったら…」
アイアン冒険者になってからのはじめての朝は、隣の家のお婆さんに一喝されて始まった。