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腐学校  作者: 彩莉 雲
2/2

1-1


入学式


「おっはよー!合格したんだ!」

そう言いながら門の前から走ってくるのは親友で腐友の荒板(あらいだ)夢芽(ゆめ)だ。

「まあね。」

と返す私の名前は星田(ほのだ)結夏(ゆなつ)

私達は今年腐学校に入学する高校1年生だ。

「ちゃんと勉強してきたでしょ?」とか言いながら手で本を開く仕草をする夢芽はやっぱり元気だ。

「うん、一応普通の勉強はするらしいからね。」

「やっぱり~!」

「同クラだといいね~!」

「そうだね~。」


この学校は他の学校とは違い、入学式当日にクラスが発表される。

「あ!私1-4だ~。」

「私は1-7。」

「え~?離れてる~…。」と明らかに落ち込む夢芽をよそに私は少し前を歩き、腰に手をついてこう言った。

「まぁ、休み時間屋上で会えばいいじゃん!」

と自陣満々と言い放った。玄関に入り、奥からドタバタと音がする廊下を通り、誰が来たかの表に丸をしていたら…

「屋上は開いてないよ。お嬢さん。」と後ろから声がした。

「ど、ちらさまですか?」と私は戸惑っていた。隣の夢芽を見ると、目をキラキラと輝かせていた。

「3-5の笹良木(ささらぎ)るいと申します。一年生だよね?教室まで案内するよ。」

「あ、ありがとうございます…」

「イケメンでも腐男子なんですね~!笹良木先輩!仲良くしましょ!」

「ちょっと夢芽!」

「大丈夫だよ。いいよ、後、屋上は使えないからね?」

「やった~!」と喜ぶ夢芽を裏に、「え、」忘れようとしていた記憶を思い出させられた私は絶望だ。

「さ、おいで?」と先輩は手を差し伸べ、

「は~い!」と夢芽は元気良くその手を取る。

「はぁ…やだ。」

その二人の後ろで私はこの先真っ暗闇でしかなかった。



教室


「おはようございま~す!」と静まり返った教室に響くような元気すぎる夢芽のあいさつと、

「おはようございまーす。」と誰にも聞こえないような暗すぎる私の挨拶。

そのせいで教室は静まり返り、廊下からも他教室からも音や声がしなくなった。

やっと先生が口を開いたかと思えば、「遅い」と注意をされた。

遅れてはないはずのに、教室全体を見渡すとみんな席に座っていた。

「そして、荒板さん。あなた、クラス違いますよね?自分のクラスに戻ってください。」

「はぁ~い…ばいばい、またあとで」

「ばいばい、」

しょぼ~んと耳と尻尾が垂れ下がり明らかにしぼんでいる夢芽を見て、「可愛いなぁ、」とつぶやいてしまった。

「星田さん。」

「、はい!」

「後で生徒会室に来て下さい。渡したいものがございます。」

渡したいもの…?と考えていると、

「、、」

「返事は?」

「はい!!」

うちの担任当たりかもしれない。

「星田さんの席はあそこですので、早くお座りください。」

「はい、すみません。」

朝から恥かいたわ。朝の自分を恨んでやる。



生徒会室


コンコン

「はい。」中から声がした。まあそりゃ人いるか。

「1-7の星田です!担任の先生に呼ばれたので来ました!」

「入ってください。」さっきとは違う声がした。


「失礼します。」

中は以外と広かった。観葉植物も置いてあった。見栄えだろう。

「ていうか、腐学校なのに生徒会いるんだ」と思い、少し考えていると副会長らしき人が話し出した。

「君に来てもらったのは他でもない。遅刻証と学生証を渡すためだ。後、担任から頼まれているものがある。こっちに来てくれ。」

その後に着いて行くと金ピカではなく、銀ピカな所に連れてこられた。

「この奥に君の担任代わりのAIがいる。そいつと話せば内容が分かるだろ。もらったものは誰にも見せるんじゃねーぞ。」

と言い放ち、元の場所へと去っていった副会長。副会長にしては口調が荒い気が…というメタいことは言わずに。

私は心の準備をして、奥に入った。そして、前には担任と同じ背丈ぐらいのAIが立っていた。

「あの…星田です」と話しかけると、AIがこちらを向き、「星田さんですね。」と話した。

「要件とは?」

「このBL小説を漫画にして持ってきてください。」

と渡されたのは原稿用紙と専用のペン。

「なぜ、私に?」

「試験の前の面接で"絵が得意"とおっしゃいましたよね?」

「はい、」

「ですから、あなたに任せればよいかと思いまして。」

「でも先生、」

「どうなさいました?」

「私、"絵が得意"といっても人物画じゃなくて、背景の絵を描くのが得意なだけです。」

「、、はい?」

「私の言い方が悪かったですよね、ごめんなさい。」と深く頭を下げると

「周りに人物画が得意な生徒はいらっしゃいますか?」

「あ、親友です!」

「親友?朝一緒にいらした荒板さんですか。その子も遅れましたもんね…それじゃあ二人で制作してください。」

「はい?」

「あなたと荒板さん二人でその作品を漫画にして持ってきてください。公式絵柄はこちらです。よろしくお願いしますね。」

とだけ言ってAI、銀ピカな部屋は消えて行った。


「用事終わった?」

「はい…」

「そっか。あ、はい。遅刻証と学生証。一応毎日忘れずに持ってくること。持ってこなかったらまた追加されるぞ。」

「はい、わかりました。ありがとうございました。」

「いーえ。じゃあな。」

最後まで不愛想だったなと思いつつ、清智会室の扉を閉め、廊下を走った。

夢芽に知らせなければいけないから。

__________________

今回の登場人物


レギュラー

星田結夏

新・高1

大人しめで空気が読める

腐女子であり、実はTLも好きかも…?

腐歴:3年目


荒板夢芽

新・高1

元気で空回りが多い

腐女子であり、実は姫女子でもある

腐歴:5年目


ゲスト

笹良木るい

新・高3

かっこよく性格もいい

腐男子であり、実は女好きという噂も…?

腐歴:6年目


副会長

口調が荒い


担任

意外と優しそう


下二人は分かったら徐々に回ごとに増えていきます。

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