コント『ベルマークを集めたら勇者になりました!〜勇者の剣が跳び箱に交換されるのでなかなか魔王城に行けない〜』
ゲラゲラコンテスト4応募作品です。
コントです。
ボケ=校長先生(以下校長)
ツッコミ=勇者(以下勇者)
ナレーション(状況説明、ボケの声で)
場所 校長室(もしくは応接室のようなところ)
校長「勇者様、魔王を倒すには、勇者の剣が必要です。世界各地に散らばる【ベルマーク】を集めて、点数を貯めなければなりません。」
勇者「校長先生、わかっております。この世界は、ベルマークによる交換で成り立ってますからね。任せてください!」
校長「頼みましたよ、勇者様。」
ナレーション「ーー1年後ー」
勇者「やった! ついにベルマークが貯まったぞ! 2022万2022点! 校長先生、これで勇者の剣が手に入ります!」
校長「勇者様! やりましたな! 早速、手配いたします!」
ナレーション「ーー3ヶ月後ー」
校長「勇者様、非常に言いにくいのですが……。」
勇者「どうしました? 校長先生。そういえば、そろそろ勇者の剣が届く頃でしょうか?」
校長「それが、その……。もごもご……。」
勇者「ま、まさか……! 点数不足ですか?」
校長「大変申し上げにくいのですが……。PTAの意見で、勇者様のベルマークは、跳び箱になりました。」
勇者「えっ!?」
校長「跳び箱8000式、一輪車80000台、黒板消し80万個、トランペット8本になりました。」
勇者「ええっ!?」
校長「勇者様、PTAを味方に付けなければ、勇者の剣が手に入りません。PTAの意見が、優先されるのです。」
勇者「そんな…! 魔物を倒して、ベルマークを集めたのに! ハサミできちんとフチを切って、毎晩徹夜で貼り付けたんですよ!?」
校長「いいですか、勇者様。学校は、常に備品が足りません! 各地で溢れる不平不満の声、日に日に高まるモンスターペアレントの圧力! 事件は、教育現場で起こっているのですよ!」
勇者「モンスター違い! いやいや、魔王軍の侵攻も、日に日に強まってますって!」
校長「そうは言っても、魔物がうろつく登下校の見守りは危険だからやりたくない保護者、薬草入りの給食費は医療費にしろと払いたくない保護者、ひのきの棒の持ち方すら先生任せの保護者、モンスターだらけですよ……。」
勇者「校長先生のグチになってきた。」
校長「そんなわけで、ベルマークはPTA優先でお願いします!」
勇者「魔王退治に行けないですよ!」
校長「勇者様、ここだけの話、魔王の正体は、教頭先生なんです……。モンスターペアレントに対抗するため、ベルマークの特典で魔王職になったんですよ!」
勇者「聞きたくなかった真実。」
校長「ですからね、これはもう、真の魔王は誰だ?と言う話なんです。どっちがモンスターなんだ?と。そう言えば、勇者様もベルマークの特典ですよね?」
勇者「あっはい。PTA総会議により、満場一致を受け、ベルマークの特典で、光の勇者になりました。」
校長「そう言う事なんです! PTAもね、モンスターペアレントもね、ベルマーク集めたくないんですよ! でも、どんな辛い事も、誰かがやらなきゃいけないんです! それが、選ばれし者、世界を平和に導く光、勇者様!」
勇者「たしかに、ベルマーク集めは辛く苦しい道のりです……。魔物を狩っては集め、フチを切り、点数ごとにひたすらペタペタ。徹夜して、仕上げた喜びはひとしおですよ。僕はみんなの笑顔が見たいから、ベルマークを集めてると言っても過言ではない!」
校長「偉い、さすが光の勇者様! 金色に輝いています! まるでベルマークだ!」
勇者「やりましょう! もっとたくさん集めて、そして交換します!」
校長「勇者の剣ですね!」
勇者「いえ、ベルマークの特典で、ただの村人になります。」
ー終ー
3月投稿間に合いました!