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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第六章「降臨、天の使者」
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「降臨、天の使者」part12

「ただいまー!トール、外見てみなよ!」


 客間の布団を干して掃除道具を用意したタイミングでオリサの元気な声が聞こえてきた。俺の帰宅からそんなに経っていないのに早いな。

 どらどら、ちょっと見てみるか。

 窓を開け縁側に出てみればなんということだろう、玄関から農場へ向けての道に沿って屋根が伸びている。人が三、四人横に並んで歩けそうなしっかりとした作りだ。

 更に庭には柱と屋根の東屋に頑丈そうな椅子とテーブル、キャンプをしている人の映像で見たことがあるようなバーベキューコンロなどのキャンプグッズが置かれている。コンロなんて俺たちが自分で探せばいいのに、ありがたい。


「だいぶ華やかになったなぁ」

「ね!」

「明日にでも早速そこで肉を焼くのもいいんじゃないか?」

「ああ、楽しそうだな。天ちゃんとリーフは豚関連でまた農場に?」

「そうだ。そこまで遅くならないように気をつけると言っていた。なので、夕飯作りを手伝おう」


 それは助かる。野菜の皮むきでもやってもらうか。


「俺は天ちゃん用の部屋を整えるから、二人は料理頼む。カレールーの箱に作り方書いてあるし、大丈夫だろう」

「ああ、何度か手伝っているし、問題ないだろう」

「んじゃ、中に入って手洗いうがいだな」

「はーい」


  ・・・・・・・・・・・・


「ごめーんくーださーい!」

「どうぞ上がってー!オリサかルル、洗面台案内してくれー!」

「はーい。天ちゃんどうぞー」

「おじゃましまーす」


 ちょうど客間の換気と布団の用意が終わったナイスタイミングだ。使っていないせいで少し空気が籠もってしまっていた六畳ほどの畳敷きの客間だが、箒で埃を払い濡れた雑巾で軽く拭いたので快適に過ごしてもらえるだろう。トイレと洗面台も綺麗にしたし、道具を片付けて居間へ戻ろう。


 雑務をこなし客間を出てリビングに入ると、天ちゃんがオリサと共に洗面所から出てきたところだった。


「あ、おじゃましてまーす」

「はいよ。今日はいろいろありがとう。リーフは厩舎の様子を見てるの?」

「あ、よくわかりましたね。あとは豚を眺めて嬉しそうにしてましたよ。ただ、まだ生きてる段階の動物を見て涎を垂らすのは、言っちゃ悪いんですけど、さすがにちょいとばかし怖いっす……」

「安心しろ、我々全員が天ちゃんの味方だ」

「うん、リーフちゃんのことは大好きだけど、アレだけは怖い」

「だな」


 ルルもオリサも同様の意見だった。常々思っていたけどよかった、やはりみんな同じことを考えていたようだ


「えーっと、カレーはもう少しで完成だな。天ちゃんはゆっくり休んでて。疲れただろう。あ、先に風呂に入る?」


 せっかくの客人なのだからと休養を促したが、オリサが呆れた顔をしているのが目に入った。


「トール……、また自分のこと蔑ろにして」

「トールくん、なんつーか人がいいのはわかりますけど自分をもっと大事にしたほうがいいっすよ?」


 はて、なんのことだろうか。


「オリサ、はっきり言ってやらないとそのアホはわからないぞ」

「アホはないだろう、アホは」


 ルルからも激しくディスられてしまった。


「トール、天ちゃんが作ってくれるもの、まだあるでしょう?忘れちゃったの?」

「そうでした。自分のリクエストをすっかり忘れていたアホです。でも、天ちゃん疲れてないか?大丈夫?」

「ええ、リーフちゃんの要望が案外細かくて想定より疲れてますけど、まだ大丈夫だと思いますよ。たぶん。とりあえずザックリと部屋を作って、細かいところは明日また調整できますし」

「ありがとう、それじゃ今いいかな?オリサ、ルル、このまま最後までカレー頼んでいい?」

「あとは野菜を煮てルーを入れるだけだ。箱の説明によれば、あと三十分もあれば終わるし心配するな、ちゃんとやっておく。出来上がったら様子を見に行くから、ワガママ言って好きなものを作ってもらえ」

「思いっきり天ちゃんに甘えちゃいなよ。天ちゃん、お風呂入れておくから終わったら一緒に入ろ!」

「ありがとうございます。楽しみにもうひと頑張りしてくるっす!」


 二人なりに気遣って俺をシアタールームに集中させてくれるようだ。せっかくだし、豪華な部屋を作ってもらおうか。

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