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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第四章 「手をとりあって」
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「手をとりあって」part25

同衾(どうきん)効果でずいぶん肌艶が良くなったじゃないか。今夜もオリサの世話になったらどうだ?」


 珍しくルルが嗜虐心(しぎゃくしん)をたっぷり含んだ楽しそうな顔で話しかけてくる。

 ベッドから起き上がり、数えて三回ほどキンキンに冷えた水で顔を洗っているが、まだ顔が火照っている気がする。


「『どーきん』って何?」

「調べろ」


 そう言って顎でタブレットを指し示す。ルルは今フライパンに並べた塩漬け肉を焼いてくれている。朝から肉はちょっと重い気もしたが、今はリーフの作ってくれたものを食べたい気分だ。


「『衾』の漢字初めて見た。『同じ寝具で眠りにつくこと』ああ、そうだな。は?『主として、男女関係に言うことが多い』え、は?」


 いやいやいや、そこまでいっていないから。


「あたしの胸に顔を埋めて大泣きするのって男女関係でいいのかな?」


 一歩、いや半歩手前くらい……?


「寝起きにオリサの頭を撫でながら愛を囁くのは見事に男女関係の翌朝だろう」


 え、え!?そういうものなの?


「あの、じゃあ、どう……きんだと思う……」

「ヤダ!あたしはトールを慰めてたのに、トールはあたしをそういう目で見てたの!?」

「ひでぇ」

「焼けたぞ。おいトール、いつまでもタブレットで遊んでいないで皿を並べろ」


 寝起きから遊ばれてばっかだ。


「へい」

「いやー、朝から楽しいね!」


 そうっすね。



「さすがリーフだ。実に懐かしい味がする」

「ルルの世界にもこれあったんだ。ルルとリーフの世界って文化が近いのかもしれないな」

「あたしの世界にもあったよ?冷蔵庫なかったもん。この世界にもあるんじゃないかな?」

「あー、俺が知らないだけかもな」


 さて、俺もいただこうか。


「リーフちゃんの味付けだ!」

「やっぱりそうだよな。美味いな……」


 まいったな。この肉、笑っちゃうくらい美味いぞ。それに、なんだかリーフに会いたくなってきた……。元気にしてるかな。


「なあ、これを食ったら帰ろうか。みんなでメシが食いたい。家族みんなで」

「ああ、そうだな」

「うん!早くリーフちゃんに会いたいね!」

「ああ。二人とも、ありがとう。本当に元気が出たよ」


 なんだか一気に元気になった気がする。


「わたしはお前の下部(しもべ)だからな。ま、功労者はオリサだ。オリサの柔肌に癒やされて大幅に気力を取り戻したと。リーフにはそのように説明しよう」

「あらぬ誤解を与えるからやめろ」


 嘘は言ってないけど情報が限定的すぎる。


「オリサちゃんのおっぱいに埋もれて泣いたら元気になりました!これでいいでしょ?」

「ふざけんな!」


 間違ってはいないのが腹立つ。


「実際のところ、涙を流すのは健康にいいそうだ。血液中のストレスを作る物質を減らすと同時に、ストレスを軽くする物質も出るのだとか。詳しい仕組みはわからんが、そういうことだ」

「身体が軽くなってるのは気のせいじゃなかったんだな」

「変な葉っぱを乾かして吸ったの?」

「お前いまの話聞いてた?」

「ふふ、元気なトールが帰ってきたな」

「うん、これで安心だね」

「なんだよ、まったく」


 感謝はするけどいじりすぎだ、まったく。


「そうだ。帰る前にもう一回高校に寄っていいかな?少し運動していきたい」

「ああ、当然だ。どんな運動だ?」

「力で相手をねじ伏せる野盗対策のスポーツらしいよ」


 まてまてまて。

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