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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第四章 「手をとりあって」
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「手をとりあって」part21

「入る前に準備運動しろよ。二人とも泳げるのか?」

「川遊びしたことあるから大丈夫!」

「わたしもだ。まったく泳げないわけではない」

 

ならよかった。それにしてもすごいな。プールサイドにはビーチチェアーがあって、奥にはサウナまであるらしい。丸一日いても楽しめるということか。



「オリサ、ちょっといいか?」

「ん、なに?ひゃあっ!」

「トール、油断させ急に持ち上げて落とすとはお前容赦ないな」

「ゲホッ!ちょっと飲んじゃった!ひどいじゃん!ルルちゃん敵討ち頼んだ!」

「任せろ」

「うぉぉ!ぶはっ、鼻に入った!すげえな、あっさり俺を持ち上げたぞ」

「お前など軽いものだ」



「疲れたらすぐ側の椅子で休息が取れるとは良いものだ。中央は深くて足が着かないから、わたしはここで読書がてらお前たちを眺めていよう。そうだ酒を持ってくるか」

「危ないからダメだ」



「おやすみ、トール」

「ああ、おやすみ……」

「大丈夫だ。ほら、手を握っている。いなくならないから、ゆっくり休め」



「どの映画を見ようか」

「トールのおすすめよろしく」

「トールの好みの映画は出てくる人間が(ことごと)くリーフのような顔立ちだな」

「洋画が好きなんだよ。んじゃ、いつもと違うので。あ、これどうだ?ルルが好きそうだ」

「人種的にお前達に近いようだな。『(よい)』……『(こぶし)』?」

「古めのアクション映画で、酒を飲んで戦う話。飲めば飲むほど強くなるらしいぞ」

「これ一択だな。早く見よう!」



「サウナはいいものだな。わたしの世界にも同じような施設があるぞ」

「あづい」

「暑いけど気持ちいいな」

「あづい……」

「まあサウナってそういうものだし。オリサ?」

「………………」

「おい、オリサ、大丈夫か?口は動いてるけど声が出てないぞ」

「喋ると……喉の……奥まで……熱く……なる……」

「お前もう出ろ!無理すんな!プールの脇の椅子で休め。な?」

「も、もうちょっと……」

「無理だろ。ほら、俺も出るから」

「あい」

「わたしはもう少しここにいる。ちゃんと水分補給するんだぞ」



「これちょっと気になる」

「アニメーションだな。ランプを撫でるとオリサのような奴が出てくる有名な話らしい」

「あたしは青くないよ!」

「外見の話じゃないって」



「猿怖い……」

「俺も子供の頃この映画見て猿が嫌いになったよ」

「あの、トール?言いにくいのだが、最後がよくわからなかった。なぜテイラーは泣き崩れたのだ?上半身だけの朽ちた石像にしか見えなかったが……」

「あ、自由の女神像を知らないとあのオチ理解できないのか。目から鱗だ」



「そうだ!猿の映画で思い出したけど、ルルちゃんあたしと初めて会ったときに『猿』ナントカって言ってたよね!?あれなんだったの!?」

「『猿』?……ああ、『サルクーン(Tharkûn)』だろう。私達の言葉(クズドゥル)で『魔法使い』という意味だ」

「あたしは猿くん……?」

「よう、猿くん」

「ムキー!猿じゃないし!」



「今日も楽しかったね」

「ああ、明日もいろいろな映画を見たい」

「こういうだらけた生活もいいもんだな」

「もっと力を抜いて楽に過ごせ」


 ・・・・・・・・・・・・


「そういやこの映画もルルが好きそうだな。三部作だから、全部見るのに時間がかかるけど」

「時間はある。見るか」

「説明しないとわからない部分があると思うから、ところどころ説明しながらでいいか?」

「よろしくー」



「1985年にアメリカって国のトップだったレーガンって人は、1955年の時点では役者だったらしいんだよ。だから冗談にしか聞こえなくて信用してもらえなかったと」

「なるほどな」



「おっきな魚だ」

「あれはサメって魚。昔、すげー有名なサメ映画があったんだ。その続編の宣伝をしてるって場面だな。そのサメ映画も最高に面白かったぞ」

「あー、さっき映画の一覧にあったサメと竜巻の映画だ」

「ぜんぜん違う」



「クリント・イーストウッドは俳優の名前で、馬に(またが)って銃の早撃ちで悪いやつと戦う『西部劇』って映画によく出てた人。マーティがいるのはその西部劇の時代。急だったからその俳優の名前を名乗ってるってジョークだ」

「その西部劇も今度見てみよう」



「おお、わたしもそうだ!ヴェルヌの作品は素晴らしいぞ。この世界で出会った最高の芸術だ!」

「そ、そんなにか」



「おもしろかったぁ!」

「ああ。確かにわたし好みの作品だった。素晴らしい。あの科学者、考えていることがわたしそっくりだ。過去へ飛んだり、車を飛ばしたり。映画に出てくる何もかもが素晴らしかった」

「そんなに気に入ってもらえたなら良かったよ、クララ」

「ああ、すまないがもう一度見ていいか?エメット」

「いいけど、俺はさすがにやめとく。機械の操作はわかるよな?」

「もちろんだ」

「あたしも遠慮しようかな。楽しかったけど、目が疲れちゃった。ちょっと泳いでこよーっと」

「わかった。わたしはしばらくここにいる」

元ネタ集


・映画のネタが多すぎて紹介するのが大変なので、気になるものがあれば連絡をください。超メジャーな映画ばかりですが。

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