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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第四章 「手をとりあって」
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「手をとりあって」part18

「さて、今日はどこ行こうか。二人はリクエストある?」


 朝食の冷凍食品を食べながら話を振った。


「そもそもお前の気分転換の旅行なのだが……、聞いたところでお前はわたし達を優先するのだろうな」

「ならあたしたちが行きたいところに行かせて貰ったほうがいいのかな?あたしゲームセンターってところ行ってみたい」

「そんなら駅前にあるな。すぐ行けるぞ」

「わたしはこの近くの公園に行きたい。地図を見ていたら見つけたんだ。梅という花が有名な場所だそうで、今はちょうどいい季節らしい。『偕楽園(かいらくえん)』というところだ」

「『快楽園(かいらくえん)』!?」

「オリサ、違うぞ。お前の頭に浮かんだ漢字じゃない」


 聞かなくても容易に予想できた。なぜなら俺も同じことを考えたことがあるから。


「んじゃ食べ終わったら準備して行くか」

「ああ」

「おーよ!」


 ・・・・・・・・・・・・


「ここがゲームセンター。電源入れたら動くかな」

「この世界は娯楽が異様に充実しているな」

「世界全体じゃなくて、この国は平和ってことだろうな。戦争してる国にはないだろうし。あ、動いたな。確かに、普通に電気使えるのおかしいよなぁ。気づかなかった」

「まあ今は遊ぼうよ!これどうやるの?」

「遊んでみるか。あ、だれか小銭持ってないか?ないよな」

「あるぞ」

「斧で両替機ぶった切ってんじゃねぇよ」


「トール!この機械の腕力が弱すぎるぞ!おかしいだろう!景品など取れるわけがない!」

「俺にそんなキレないでくれよ……」


「俺って写真そのものがあんま好きじゃないんだよな」

「いいじゃん、美女二人に囲まれた写真撮ったら好きになるかもよ?」

「美女?リーフが居ないけど?」

「よし、オリサ、こいつの髪を焼け。わたしが逃さない」

「ぐ、ぐるじぃ!わ、悪かった!調子に乗った。離れろって!オ、オリサ、目赤くなってんぞ!」

「髪の毛チリチリにしてあげるね」


「ルルに抱きしめられて悲鳴をあげて、すぐ傍で赤目のオリサが俺に杖を向けてる写真……、こんなんリーフには見せたくないな」

「家中の壁に貼ってあげる」

「ごめんなさい。許してください」


 ・・・・・・・・・・・・


「ここが偕楽園(かいらくえん)か」

快楽(かいらく)……」

「うん、やっぱり違うぞ」


 ここに来るのは何年ぶりだろう。前にも来たことがあるけど、いつだったか覚えていない。


「着いたらすぐ花の香りがするかと思ったが、流石にそこまでではないか」

「そもそもこの一か月だれも掃除とかしてないしなぁ」

「枝とか葉っぱも落ちてて、うん、悪いけど地面はあんまきれいじゃないね」


 それに関してはここだけの話じゃないから仕方がない。手を加えていない環境も評価点に入れては酷というものだ。


「でも、お花けっこう咲いてるね。ゆっくり見て歩こうよ!」

「そうだな。先程のコンビニで梅酒も手に入れてあるし、飲み歩く準備は万端だ」


 早々に『花より団子』ならぬ『花より梅酒』になっている気がするけど。飲み歩くの意味も何か違うし。



「綺麗だねぇ。花が小さくてかわいい。今度、リーフちゃんにも見せてあげたいなぁ」

「そうだな。梅は今が一番咲いてる頃だと思うけど、もうしばらくは見られるし、旅行から戻った後、またすぐ来てもいいかもな」

「この花がこの味を作るのか……。梅とはいいものだな」


 梅酒の瓶を握りしめ感動しているが、そうじゃない。


「花じゃなくて実なんだよなぁ。家でも作れるはずだぞ。あとで検索してみろ」

「わかった」


 前回来たのは小さい頃に家族でだったかな。そうだ、妹が小さかったから、ずっと手を繋いでいたんだ。二歳しか離れていないから、ユリが小さいころなんて俺もまだ小さいし手を繋いだところで迷子防止になるか怪しいのに。思い出した微笑ましい記憶に笑いが漏れる。


「楽しそうだね?」

「ああ。家族でここに来たときの古い思い出が蘇った。もう少し歩こうか」

 二人を伴い公園の奥へと歩を進めた。

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