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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第四章 「手をとりあって」
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「手をとりあって」part4

「それで、家畜の世話をしながら考えた結果がこれか」


 家畜の世話を終え一休みした俺達はホワイトボードを見つめていた。仕事内容が書かれた面を裏返し、反対側の面に俺が思いついたやりたいことを箇条書きしたのだが……。



 ・大きなベッドで寝たい

 ・広い風呂に入りたい

 ・広いプールで泳ぎたい(ここまで三つ、要は豪華なホテルに泊まってみたい)

 ・大画面で映画を見たい(デカいスクリーンとか、映画館を貸し切りとか)

 ・みんなで旅行したい(場所は未定。みんなが楽しいところ)

 ・馬に乗れるようになりたい(せっかくいるし)


「ザックリしてるねぇ」

「乗馬でしたらわたくしがお教えいたします」

「馬以外は旅行の合間に入れられるな」


 いざ考えてみると、やりたいことなんて大したものは思いつかなかった。他に何もなかったのか、俺。


「旅行……となりますと、しばらくお家を空けることになりますね。あの子達のお世話は……」


 言われてみればそのとおりで、家畜のことをすっかり忘れていた。


「たしかにな。何日も家を空けるわけにはいかないか」

「それじゃ、日帰りでお出かけする?あとは、お出かけは一泊だけにするとか」

「もし泊まるとしても、二日目はさっさと帰ってこないと動物にもストレスになるだろうから、やっぱり無理なく出かけるなら日帰りがいいかもな」

「……いえ、わたくしが残ります」


 何やら考え事をしていた様子のリーフが口を開いた。


「残るって……」


 仲間はずれのようなことはしたくない。


「そのままの意味です。わたくしがあの子達のお世話をするために留守番をいたします。みなさんはどうぞお気になさらず旅行をお楽しみください」

「それじゃリーフちゃん寂しいじゃん。なんとか一緒にお出かけできる方法を考えようよ」

「そうだよ。みんなで考えれば、何か方法は見つかると思うし、君だけに寂しい思いはさせたくないし……」


 このままじゃリーフが俺のために貧乏くじを引くことになってしまう。


「お前たち、待て。リーフ、お前自身はそれでいいのか?送り出してくれるのは嬉しいが、出かけるならば一緒がいいとも思う。お前自身はどう思っている?何も考えなしに話す性格でないことは承知しているから、素直な意見が聞きたい。仮に畜産大臣だからという責任感が理由であれば別の方法を考えるべきだ」

「みなさん気にかけてくださり、ありがとうございます。ですが何も寂しいことはありません。お忘れですか?わたくしはあの子達と心を通わせることができるのです」


 そういえばそうだった。彼女は動物たちと会話ができるんだ。まぁ、コミュニケーションがとれる相手を容赦なく笑顔で解体して食べてるけど。


「それに残るのは義務感からだけではありません。馬もいることですし、みなさんがお出かけされている間、わたくしもこの付近を散策してみたいと思い始めたのです。以前お出かけしたホームセンターもゆっくり見てみたいという想いがございますし、実はわたくしもいくつかやりたいことがありまして。これはまだ考えているだけなので内容は秘密なのですが。ですので、折角の機会ですし動物たちのことは気にせずしばらくお出かけしてきてくださいませ」


 なるほど。リーフなりに理由があるのか。


「ありがとう。それじゃ、俺・オリサ・ルルの三人で少し旅行させてもらおうか。何かお土産買ってくる……、あ、土産屋もやってないか。えーっと、この穴埋めはちゃんとするから、いつかリーフに行きたいところができたら教えて」

「はい、ですが、みなさんが無事にお帰りになることがなによりです」

「リーフちゃん、ありがとう!」

「すまんな」

「却下です」

「は?」


 珍しくリーフの鋭い声が返ってきたため、俺たちはルルを筆頭に呆気にとられてしまった。


「ルルさんに原因があるわけでもないのに謝罪をするのは受け入れられません。でしょう?」


 リーフがいたずらっぽく笑いながら発した言葉にだれからともなく笑い出した。

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