「リーフの異常な愛情」part4
「リーフ、どうだった?あまり速くならないように運転したけど」
「長い距離ではないから大丈夫だそうです。この子もいい気分転換になったと喜んでいますよ。ありがとう、いい子ね」
そう言ってリーフは馬の首を撫でてやった。
碧い目を三日月型にして馬を労うリーフの姿は生命を愛でる女神のようだった。頭の動きに続いてさらさらと流れる黄金色の髪が光に反射し輝く様がそう思わせるのだろうか。このリーフの姿だけでも、いつまでも見ていられるような気さえした。
「……そう。ええ、わたしも楽しかったわ」
いつも控えめでオリサとルルがじゃれ合っているのを楽しそうに見つめているリーフだけど、動物と触れ合っているときはまた雰囲気の違う幸せそうな顔をするんだな。
「さーて、さてさて、神様がお主の家にやってきたぞい。威厳のない神ですまんがな」
ばれてる!
「神様、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
オリサと共に頭を下げた。
「ちょっと傷ついたが、まぁよかろう。して、どこら辺にする?今ある建物と、別の場所にある厩舎やら放牧場を交換しよう。威厳がなくても、そんな強大な力はあるのだぞ」
すんごい気にしてる。
さて、厩舎はどこに建ててもらおうか。
正確には、今いるのは家ではなく自宅から徒歩数分の畑の前だ。見通しが良いのでここから動物の小屋を建てる位置を考えようとした。あまり家に近すぎると匂いや鳴き声が気になる、かといって遠すぎるのも面倒なので適切な距離というのは難しい。家畜を育てた経験もないし想像もつかないな。
とりあえず、畑に隣接する位置なら肥料の移動距離も少ないだろうし無難だろうか。幸いにして畑の周りにはそれほど建物がないので、景色はそこまで大幅には変わらないはずだ。
そんなことをリーフとオリサに話したらすんなりと承諾を得られた。
「それじゃ、畑の近くにお願いします。その辺りのお宅は悪いけど移動してもらう感じで」
「よかろう。どんな動物を飼うね。熊牧場のヒグマだって連れてこられるぞ」
「俺たちが餌になりますから、やめてください」
どう考えても俺たちの手に負える相手ではない。
結果、広い放牧地とそれに隣接して厩舎を持ってきてもらい、ついでに家の敷地内に鶏小屋も置いてもらうことにした。朝はうるさそうだが、野生動物が残っているなら鶏は家から近いほうがいいだろう。この辺りは野良猫を筆頭にたぬきやハクビシン、アライグマに極めつけはイノシシなどいろいろな動物が生息しているから、人の目の届かない所に設置したらあっという間に狩られてしまう。
その他、動物用の道具を置く倉庫や牧草地、その牧草を刈り取ったり保存する器具に設備などなど、三人で意見を出し合い必要なものを検討し持ってきてもらうということで話はまとまった。
今更ながら、元々は他の農家さんの物なのに持って来たら悪い気がしたがこの際仕方がない。俺たち以外に使う人間はいないのだから。徐々に慣れてきてはいるが、未だに泥棒をしている後ろめたさが付いて回る。




