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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第八章「ガールズ・オブ・サマー」
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「ガールズ・オブ・サマー」part8

「あ、大事なこと忘れてた!」


 オリサが赤のマーカーを取り出して書き足していく。

 

・天ちゃんもいっしょに♡


 たしかにな。せっかくなら一緒に楽しんでもらおうか。


 「ありゃ?家族水入らずなのに手前もいいんすか?」


 一歩引いて俺達を眺めていた天ちゃんが驚きの声を上げた。


「もちろん。運転は俺がするから気楽にゲストとして参加してくれ」

「ぜひ来てくれ。トールを助けてくれた礼もしたい。恩人に何もしなければドワーフが廃る」

「天ちゃん様、一緒に行きましょう」

「嬉しいっすねぇ。それじゃ是非とも。ほっそほその紐みたいな水着用意しておくっす!」

「やめい!」

「トールくんはマイクロビキニとスリングショットどっちがお好みっすか?」

「スリングショットがわかんねぇからウエットスーツがいいと思うな」

「ちぇー」

「それってどんなの?」

「オリサちゃんが着たらトールくんのリビドーが大爆発な感じっす」

「オリサ、天ちゃんが楽しそうに話してるってことはろくでもねぇ話だから忘れとけ。えっと、それじゃあ目下の懸念事項は動物の世話だな」

「餌は任せろ!」


 ルルが立ち上がり胸を張った。まさか残るなんて言わないよな。


「今朝の件で深く反省した。わたしはこの世界の機械を学び、生活を少しでも楽にしたいと思っていた。だがどうだ、今はその気持ちを忘れてしまっていた。その結果が今朝のトールの熱中症だ。このままではわたしは偉大な父祖に顔向けできん!だから、わたしは旅行までに自動給餌器の小型化に乗り出すつもりだ。家にあるものは大きすぎて放置していただろう。あいつを我が家のサイズに合わせて作り直す!搾乳は既に機械がやってくれている以上、あとは餌だろう。わたしがなんとかしてみせる!」


なんだかルルの目に炎が灯っているように見える。まぁそこまで言ってくれるなら頼るか。


「わたくしにも考えが」


 次いでリーフが立ち上がった。別に座ったまま話してくれていいのに。


「ルルさんの案はきっと上手くいくと信じていますがそうならなかった場合の『プランB』も用意せねばなりません。その場合、わたくしがあの子達を仮死状態にすることで対応いたしましょう!」


 あぁ、久々にサイコパスモードのリーフ来た。笑顔でサラサラっと恐ろしい話をするのやめてくれないかな。


「以前読んだトールさんの漫画がヒントになりました。敵対者の体のツボを突いて肉体を炸裂させる、素晴らしい発想です!この鉄串で上手にツボを突き、あの子達を仮死状態にしましょう!少し前から実験を繰り返しておりましたが、仮死状態にした動物の三日後蘇生率がようやく七割を超えたところですので素晴らしいタイミングです!」


 オリサが震えながら俺の手を握り、ルルが頭を抱えている。うん、天ちゃんも困った顔してるから俺たちの感覚は間違ってない。リーフが怖い。

 会話ができて名前も付けてる動物の体に鉄串ぶっ刺して仮死状態にする。三割は仮死ではなくガチ死っぽいけど。リーフが怖い。いいヤツだけど怖い。


「そ、そっか。頑張ってくれてありがとう」

「いえ、とんでもない!」

「っていうか、あいつら放牧しっぱなしでも大丈夫じゃないかな?牧草をたくさん積んでおいてさ。小さめの川もあるから飲み水も困らないし」

「おそらく問題ないとは思うのですが、外敵がいなくとも建物内で寝たいと言われたことがあるのです。昼間もあの子達には少々暑いようでして。」

「そうなんだ。それなら自動給餌器に頼ったほうがいいかな。念の為、餌は置いとくにしてもさ」

「はい、わたくしからもしっかり話しておきます」

「あとは何か気になることある?」

「手前も一つ!」


 天ちゃんも立ち上がった。


「お前ら座って喋れよ」

「こいつぁ失礼。手前、水着がないのでどこかで探さなきゃダメっすね。皆さんもそうでしょ?」

「はい」

「わたしとオリサは持っているぞ。春の旅行で手に入れた」


 アレ持ち帰ってたのか。オリサはともかくルルはスクール水着だろ。違うの用意できないもんか。


「せっかくならあたし、新しいの欲しいなぁ」

「んじゃ手前とリーフちゃんと一緒にオリサちゃんもお出かけしましょうか」

「うん、行くとき呼んで」


 とりあえず俺がやるべきことはないかな。


「それじゃ、ルルがうちで使いやすい自動給餌器を完成させたら旅行しようか」

「二週間ほしい。それで駄目ならばリーフの案でいこう」

「承知しました」

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