「ガールズ・オブ・サマー」part6
「また謝ってたんだ。覚えてないけど恥ずかしいな」
「それよりもっと恥ずかしい姿にされてるじゃないっすか。手前、我慢するのに必死でしたよ」
「なに恐ろしいこと言ってんだよ」
「天ちゃん様、『めっ』です。いけませんよ」
「すんません。大好きなトールくんの逞しい身体にリビドーがそりゃもう大変なことに」
「相変わらず天ちゃんはバカだな」
ルルの言う通り。というか、全裸にされてるから多少は想像つく話だが。そんなことより……。
「あの、ちなみにオリサは見た……?」
「何を?」
「ああ、安心しろ。飲み物を取りに行ったりでオリサは見ていないはずだ。わたしは視界の隅にちらりと見えたが、まじまじと観察したわけではないし気にするな」
「ねぇ、何を?」
「オリサさん、『めっ』です」
「え!?」
「ルルには見られたんか……」
「わたしとて子どもじゃあるまいし見たことないわけではないぞ。って、なんだお前たち!その目は信じてないな!」
「守備範囲が超広めの手前でも児童ポルノはちょっと……」
「誰が児童だ!わたしはもう六十一歳だぞ!花も恥じらう三十代はとうに過ぎたいい大人だ。身長で決めつけるんじゃない!」
ちょっと何言ってるかわかんない。
「ふふ、六十一歳だなんて可愛らしいですね」
「あ、頭を撫でるな千歳!エルフと年齢の話をするのは大嫌いだ!」
「ねえ、何の話してるのさ?」
「オリサさんにはまだ早いです。いずれトールさんが教えてくれますよ」
「勝手なこと言うなや。とりあえずパンツ履きたいんだが」
「はい、こちらに」
「なんで俺の下着持って待機してんだよ」
「はーい、セクシーナースが履かせてあげるっすよ~」
「そもそもなんでその格好なんだよ……」
「点滴を貰いに病院まで飛んで行ったら見つけまして。目が覚めたトールくんのリビドーを刺激してみようと思ったんす」
「病院にそんなに露出度の多いナース服ないよね?どうせいかがわしい店で手に入れたんだよね?」
「さあ、トールくんパンツっすよ〜」
「自分で履け……えー、あー、もう!ちゃっちゃと履かせてくれ!」
「ありゃ?なんか素直っすね。いつもならもっと嫌がるじゃないっすか」
「命の恩人を無下にはできねぇ。今回だけだぞ、早くしてくれ」
「ト、トールくんかわいいじゃないっすか!かわいいかわいい!まっかせてください!優しくやらしく丁寧に履かせるっすよ!」
「お前いまなんて言った!二つ目だ!やめ!やっぱ自分で履く!ルル、リーフ、止めろ、おい!」
「我が家の恩人に手荒な真似はできん。ドワーフの教科書四頁にも書かれている」
「我慢できずにパクっとイッちゃったらごめんなさいね〜」
「おいやめろ!」
タオルケットに潜り込む侵入者がいるのに誰も助けてくれない。
「ねえ、ルルちゃん、『パクっと』ってなぁに?」
「お前にはまだ早い」
「ふふ、着替えたらお食事にしましょうか」
「あーらあらあら、なーんて素敵な光景なんでしょ!」
「ちくしょおおおおおお!」
「よくわかんないけど、トール元気そうで良かったぁ」
そいつはどうも。
股間に熱い鼻息を感じながら目を閉じた。