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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第八章「ガールズ・オブ・サマー」
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「ガールズ・オブ・サマー」part5

「ん……」

「リーフちゃん!」

「トール、聞こえるか!わたしがわかるか!?」


 騒がしい。バタバタと周りで気配が入れ替わっているようだ。

 

「失礼、場所を空けてください。トールさん、話せますか?」


 未だ霞む視界には見慣れた家族がいた。リーフ、ルル、オリサ、みんな俺の顔を覗き込んでいる。


「リーフ」


 身体が重い。頭も重いしボンヤリするし。


「どこ……?」

「家だよ!よかった、本当に危なかったよ!よかった……、ごめんねトール……本当にごめん」

「トール、よかった……」

「意識が戻って良かったです。無理をさせてしまい、お詫びのしようがありません」


 よく見ればここは見慣れた自分の部屋。ベッドで横になっているらしい。何が起きたかまったくわからない。

 たしか一人で家畜の世話をして暑くてそれから……そうか、熱中症で倒れたのか。


「いいよ……餌やりだけでもやっちゃおうと思ったけど、水分補給忘れちゃって……。気づいたら一気に調子悪くなって、動けなく、なった……」


 俺が必死に言葉を絞り出すのを褒めてくれるかのようにリーフが頭を撫でる。その滑らかな掌が心地良い。


「心配……かけたね」

「だって、悪いのあたしたちだよっ?」

「そ、そうだ!わたしたちが朝まではしゃいでいたからこんなことになったのだ!本当に、ごめんね……ごめんね……」


 オリサだけでなく、ルルまで取り乱している。喋り方も素の方になってるし。なんとか助かったみたいだから気にしなくていいのに。


「俺も、一人で無茶したせいで、こんなことになってごめんな。二人とももう泣くなって」

 

 左腕が動かしにくいと思えば点滴が繋がっている。そんなにヤバかったのか。

 あれ?この感じ、俺もしかして……?恐る恐る自分に掛けられているタオルケットの中を覗き込む。

 なんとまあ、一糸まとわぬ姿。


「あの……リーフが脱がせたの?」

「ええ、わたくしと――」

「リーフちゃんとルルちゃんがヤってくれたんすよ。手前も参加したかったっす」


 リーフの背後から天ちゃんが現れた。


「そうか、君が助けてくれたのか」

「そうっす。世界中の紳士淑女に愛を伝える愛を届ける天の使者、天ちゃん、透くんの生命力が弱ってるのを『ピーン!』と感じ取り馳せ参じました!間に合ってよかったっすよ」

「天使がお迎えか」

「しかも白衣の天使っす!」


 言葉通り、なぜか天ちゃんの服装は純白のナース服。すごいミニスカートだけど、看護師さんってズボンだよな?胸元もやたらと開いて谷間を見せつけてるし。どう見てもコスプレ衣装。


「よかったっすね、この世界に留まれて」

「ありがとう。フラフラで動けなくなった後、身体が浮かんだ感覚があったから完全に死んだんだと思った」

「大急ぎでお家に運んだらちょうどリーフちゃんが起きてきて、バタバタしてたらオリサちゃん達も起きたんすよ。昨日のお湯が冷めて水風呂になってましたから運が良かったっす!」

「ああ、そうです。改めて報告なのですがトールさんの服は緊急だったので裂いてしまいました。申し訳ございません」

「ああ、気にしないで。汗吸ってたから切りにくかったでしょ」

「いや?わたしの握力なら紙も同然だ」

「それにわたくしの短剣の切れ味のおかげで容易く」


 さすがだな。


「今の感じだと、ぜんぜん記憶がないみたいっすね」

「なんの記憶?」

「厩舎でトールくんを保護してから水風呂に入れてるあいだも、みんなでずーっと話しかけてたんす」


 そうなのか。


「覚えてないな」

「一応、目を開けて会話もしていました」

「マジで?」

「マジっすよ。途切れ途切れっすけど返事もしてました」

「トールさん、ずっと謝っていましたね」


 相変わらず、すぐ謝る謝罪星人だなぁ。


「それから、あたしを見て――」

「オリサ、その話は」

「あ……あの、ごめん。やっぱりなんでもない」


 ルルに遮られたオリサが困った顔で言葉を切った。なにか変なこと言っちゃったかな。怖いな。

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