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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第八章「ガールズ・オブ・サマー」
175/213

「ガールズ・オブ・サマー」part2

 今日もあっという間に夜の団らんの時間だ。しかし、穏やかではない。


「虫きらい!」

「ミミズは平気なのになぁ」

「足いっぱいあるのきらい!」

「そういうことか」


 俺は虫もミミズもダメだけど。

 

「ヤダよぉ、お外で遊びたいけど暑いし虫たくさんいるし、出たくないよぉ」

「困りましたね」

「まだ七月も終わってないし、あと一か月以上家から出ないのは辛いだろうな」

「ならばトール、朝話したことを実行に移すのはどうだ?」


 どんな話をしただろうか?


「え、なんだっけ?」

「お前は、まったく。暑さで記憶も蒸発してしまったか?海や川に遊びに行こうと行っていただろう。そこまで極端に遠いわけでもあるまい?」

「あー、たしかに話したな。オリサ、どうだ?海」

「うみ……行きたい」


 なら決まりだ。


「リーフ、どう思う?」

「素敵です。実はわたくし、海で遊んだことがないものでして」


 意外だな。こんなに長生きしてるのに。


「オークの巣くった島に奇襲を仕掛けるため、仲間と共に泳ぎ海峡を渡ったくらいの経験しかなく」


 娯楽としての海は未経験って意味ね。リーフの武勇伝にも慣れたもんだ。

 

「たまには魚も食べたいな。なめろうという料理に興味があるのだ」

「聞いたことあるけど食ったことないな」

「酒に合うらしい」

「やっぱそういう理由ね」


 みんなかなり前向きに考えてるようだ。


「じゃあとりあえず、みんな海に行ったら何がしたいかとか考えといて。明日ゆっくり話そうか。動物のこともあるし、やりたいことと心配なことを確認しよう」

「ええ、それがいいですね」

「考えたことなどはそこのホワイトボードに書いておくことにすればいいな」

「うん、あたしもお魚食べたいなぁ」


 いつもの雰囲気になってきた。春以来の旅行だし、ワクワクが止まらない様子だな。

 いや、それは俺もか。


 ・・・・・・・・・・・・


「お前らそんなに楽しみなの?」

「えへへ」


 風呂から上がればホワイトボードにはびっしりとメモが書かれていた。『鯵なめろう』『しめ鯖』『鰹のタタキ』――、これ書いたのルルだな。まとめて『魚料理』でいいじゃねぇかよ!


「実はわたしもオリサも海に行ったことがないのだ」

「マジか。そら気合入るわな」

「ですので、つい明日を待たず書き始めてしまいました」

「楽しそうだから見学させてもらおうかね」


 麦茶を片手にソファーに腰掛け、ホワイトボードの前で嬉しそうに話し合う三人娘を見つめる。時計を見れば現在八時。十時前には終わるかな。みんな楽しそうでよかった。

 いい旅行にしたいもんだ。


 ・・・・・・・・・・・・


「寝坊確定だな」


 リーフ以外は。

 予想に反して日付が変わってしまった。


「旅行自体が久しぶりだもん!」

「家族全員での旅行を前提に考えております。実現すれば初めてのことですよ!」

「家畜の餌や野菜の水やりなど、問題の解決策は明日ゆっくり検討すればいい。まずは願望と懸念事項を挙げられるだけ挙げろ!」

「おーよ!」

「おーです!」


 すんごいハイテンション。実際に海に行って『思ってたよりゴミが多い』とかガッカリされないか心配だなぁ。

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