短編6「飲んでも飲まれるな」part4
オリサ達女性陣の寝室にて。緊張した様子で転がるルルにリーフが接近していく。
しくじリーフ先生、再現編だ。
「ほ、本当に何が起ころうとしているのだ!」
「ルルさん、愛していますよ」
「は?」
「大好きです」
「ひゃあ!あ、ありが、とう」
「ルルさん、ずっといっしょですよ」
「う、うんむ、んんんんん!」
「コレが何日か前の夜の流れ」
「すごい……」
「ぷは!な、なあ!ちょっと待て!熱烈に口づけされた上に乳房で顔を包まれたぞ!?」
俺はほぼ寝てて夢か現実か区別付いてなかったけどな。
「すっごいね……」
オリサが食い入るようにルルを見つめている。
「それじゃリーフ、次よろしく」
「承知しました」
「ま、まだやるのか!?」
「添い寝を失礼しますね」
「あ、ああ。それならいつもしてるから構わんが」
「ルル、ちょっと体ごとこっち向いてくれ」
「わかった。ひゃあ!」
「添い寝です」
「ちょ、リーフ!う、うなじに息がかかって、ひゃうぅ!胸もぎゅうぎゅうにくっつきすぎだぞ!」
「これは当たっているのではありませんよ……、当てているのです」
「ふぐうぅ!」
「コレが一昨日の夜だったかな。そのときのできごと」
「リーフちゃん、すごい……」
ルルが顔を真っ赤にして肩を揺らしている。
「なあ、なんなんだこれは?何が起きている?」
「次で最後だから」
「言葉で説明しろ!」
「次で最後ですから」
「あたしこんなんやってないよ……」
「おいぃぃぃ!」
「ルルさん、緊張しているのですか?」
「す、するに決まっているだろう!」
「そこは否定して、はい、もう一度」
「は?え、そ、そんなことない、ぞ?」
「ウソつき……悪い子」
「はうぅぅぅ!」
「ルル」
「はぁはぁ」
「本当の」
「んん、くぅ」
「アナタを見せて」
「ひゃあぁぁ!ト、トール、もう駄目だ!わたしはおかしくなってしまう!」
「お疲れ様」
「すごい……。トールよく平気だったね」
本当だよ。こうしてみるとリーフのエロスやべぇな。
「結局、コレはなんなんだ!?死ぬほど恥ずかしかったぞ!」
「要するにだな、リーフは俺をからかいたかったらしい」
「はい」
「からかい!?コレが!?本気でトールのことを口説こうとしていただろう!?いや、まず身体の関係から始めようとしていただろう!?」
「そう思うよな?」
「当然だろう!」
「そ、そんな!」
「わけがわからん!いい加減、順番に説明しろ!」
・・・・・・・・・・・・
「あー、オリサとトールが仲良くしているから、リーフもトールと仲良くしたかったと」
「はい」
「そして、オリサがトールをからかってるのと同じようにすればいいと思ったわけだ」
「そうです」
「ねえ、リーフちゃん」
「はい」
「改めて見てもあたし、あんなんじゃないよ!」
「だよなぁ」
「『だよな』じゃないだろうが!」
遮るルルの眉間にはシワが深く刻まれている。
「ど・う・し・て!わたしがベッドでこんなことされなきゃならんのだ!」
「あれ……、俺にも怒ってる?」
次の瞬間、床に転がっていたスリッパで頭頂部を引っ叩かれた。
「あだ!」
俺に続きリーフとオリサにも怒りの一撃が叩き込まれる。
「うぐっ」
「いだぁ!」
「当たり前だろうが!言葉で説明すればいいだろう!男にこんなあられもない顔を見せて楽しい女などいるか!三人ともバカの修行をしてきたのか!?このうつけども!」
「「「ごめんなさい」」」
「あと、後ろでまったく喋らないヤツがいるのだがな」
そういえば誰よりうるさくなりそうな奴がまったく反応しないな。
「おい……発情してんじゃねぇよ……」
天ちゃんはリーフのエロスに当てられたのか、股間を押さえて内股で悶絶している。
顔は湯気が出そうなほど朱色に染まり、額にはじんわりと汗が滲んでいた。
「オリサさん、見ては『めっ』です」
「もぎゃ!ど、どうしたの?」
言うが早いかリーフはオリサを抱きしめて視界を覆ってしまった。
「オリサさんには些か早いですから」
「リーフちゃんのおっぱいあったかい……。リーフちゃん、『ママ』って呼んでもいい……?」
「ふふ、かわいいオリサさん」
「リーフちゃん、素晴らしすぎるっすぅ……。なんで手前じゃなくてルルちゃんで実践したんすかぁ。り、リビドーが凄いことになってるっすよぉ……。リーフちゃんはエルフの王様っす!エルフの淫皇っすよ!」
「馬鹿じゃねぇの?」
「ああそうだな。馬鹿のフォーカードが完成してしまった」
あれ?ルル以外の全員が馬鹿扱い?
「わたしはリビングに戻って飲み直すことにしよう」
「俺も戻ろ」
「申し訳ございません、天ちゃん様」
「ママぁ……」
「リぃぃぃ〜〜〜ビドっオぉぉぉウぅっ!!」
うるせぇしカオスだな。