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逆異世界転移物語 〜エルフ・ドワーフ・魔法使いと地球でゆるくぬるく暮らす物語〜  作者: シンドー・ケンイチ
第七章「妖しいリーフと料理の旅」
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「妖しいリーフと料理の旅」part26

「ってわけでね、あたしとトールも早速練習始めたし、リーフちゃんはもう辛いお料理マスターしちゃったんだ」

〈さすがはリーフだな〉

「さすがに極めたとまでは言えませんが、作り方は頭に入りましたので材料を持って帰ればすぐに振る舞えると思います。楽しみにしていてくださいね」

〈ああ、もちろんだ。実はな、わたしも今日は天ちゃんに師事し新しいことを始めたのだ〉

〈糠漬けってわかります?お米を精米するときに出るカス……、すんません、食べ物なのに表現が悪いっすね。とにかく、糠っていうものにお野菜を入れて寝かせるんすよ。そうすると美味しいお漬物ができるんす〉

「いいね。ルルちゃんが漬けたお野菜楽しみだなぁ」

〈わたしは野菜を洗って切って糠に入れただけなのだが、それでも新たなことを始めるのはいいものだ。明日また頑張るのが楽しみになった。少しずつ上達しているのが自分でもわかるからな〉

「あー、それはわかる。リーフのアドバイスのおかげで『次はこうしよう』ってイメージが頭に湧いてくるんだよ」

「お役に立てて何よりです」

〈お友達のよしみで明日はチーズ工房を作っちゃうっすよ。チーズとかヨーグルトがいつでも食べ放題になりますから、楽しみにしててくださいね〉

〈そのようなわけで、今は自分でもわかるほどに気分が高まっている〉

「ルルにしては珍しいぐらいによく喋ってるもんな」

「一緒にお料理をするのが楽しみです」


 俺たちは夕飯と風呂を済ませ、ホテルの部屋から電話をかけていた。自宅に連絡後に番号を聞いて天ちゃんのスマホに掛け直したので、向こうもスピーカーで飲みながらの参加らしい。人数分のスマホを入手すれば今後の生活がなかなか便利になるかもな。

 回線がどうなってるのかはわからないけど、いま使えてるし神様がどうとでもしてくれるだろう。いやはや便利なもんだ。


〈もちろん、リーフ自身楽しい旅にしてほしい。観光したり、リーフ自身が食べたいものの作り方を身に付けたりな〉

「お気遣いありがとうございます」

「それなら、明日、散歩でもしながらいろんな店を見て回ろうか」

〈楽しんできてくださいね~。〉

〈さて、話は楽しいのだがそろそろ休ませてもらおう。オリサも眠くなってきた頃だろう?〉

「ああ、だんだん喋らなくなってきてるもんな」

「んん、ねむくなってきた……」

「歯磨いたか?」

「ん、みがいた。るるちゃんてんひゃんおやしゅみ……」

〈おやすみなさーい。リーフちゃん、手前の代わりにおやすみのキスしといてくださいねー〉

「承知しました。おやすみなさいませ」

〈本気にせんでいいぞ。では、また明日だな。おやす、うわ、く、口づけするな!〉

〈良いじゃないっすか、ルルちゃ~ん、今日もかわい〉


 あちらでは何やら取り込み中のまま電話が切れてしまった。楽しそうで何より。


「ルルさんの柔らかほっぺに口づけだなんて、天ちゃん様に嫉妬してしまいます」

「帰ってからいくらでもしなさい」


 我が家のデコボココンビは本当に仲がいいな。

 スマホをテーブルの充電器に戻し振り返ると、リーフはオリサの着衣を整え布団を掛けてやっていた。愛おしそうにゆっくりと頭を撫でている。

 俺は少し声のボリュームを落として話しかけた。


「リーフももう寝る?」

「少し夜空を見つめてから休ませていただきます。トールさんにはまだ睡魔が訪れていない様子ですね。少しお部屋にお邪魔してもよろしいですか」

「いいよ。俺は先に戻ってるからゆっくり来るといいよ」

「ありがとうございます。わたくしはもう少しオリサさんを撫でてから伺います。おやすみなさい、オリサさん。愛していますよ」


 そう言ってリーフはオリサの頬に優しく口づけをした。

 寝ているはずのオリサの口の両端がはっきりと持ち上がったのが見える。リーフのキス、どんだけ気持ちいいんだよ。静かに寝息を立てるオリサにそんな疑問を抱いた。

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