表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/213

短編5『マナー・クライシス』part2

「ルルさん、ちょっとお願いがあるのですが」

「なんだ?」

「その便利な板でこの世界のマナーを調べていただけませんか」

「トールがさっき言ってたようなやつ?」

「はい、トールさんに聞いてもいいのですが、自分たちで調べて先に気をつけておくべきかと思いまして」

「『日本』『マナー』と……、ふむ、『箸で人を指すのは行気が悪い』これに気をつけるのはリーフだけだな」

「スプーンなら大丈夫ってわけでもないんじゃない?」

「そうですね」

「む、気をつけねば」

「ルルちゃん、やっちゃうの?」

「ドワーフだけで宴に興じると、な」

「ドワーフ族は仲間との食事が大好きですから。あまり細かなマナーなどは考えずに楽しむことが多いですね」

「へー」

「ほう、食事中に歌うのも駄目なのか」

「ルルちゃんけっこう当てはまってるの?」

「まぁ……」

「ルルさんはいささか窮屈に感じるかもしれませんね」

「気をつけよう」

「床に落ちた物でも、三秒以内ならば問題ないらしいぞ」

「そうなの!?」

「それは初めて知りました」

「でもそれってマナーなのかな?」

「わからん。『背筋を伸ばして食べる』たしかにトールは姿勢がいいな」

「そうですね」

「そうなんだ」

「お前はトールの隣に座っているからな。真横を向かないと見えないだろう。それから『茶碗は左手に持って食べる』」

「あたし左利きだから左手に持つと食べられないよ」

「そこは右手に持って食べるということで問題ないと思いますよ」

「お、これは……、そういうことか」

「あぁ、なるほど。そうだったのですね」

「どしたの?」

「お前とわたしが度々注意されているやつだ」

「『一膳めし』。故人の枕元に備えるもので、お茶碗に盛ったご飯にお箸を立てるそうです」

「あ……何度もダメって言われたね」

「理由が理由だけに、トールさんも言いづらかったのかもしれませんね」

「トール見た時嫌だっただろうなぁ。気をつけないと」

「そんなにしょげるな。わたしだって何度も指摘されているのにやってしまうんだ。二人で気をつけよう」

「うん」

「調べるといろいろ出るもんだ。ん?これは本当だろうか……?」

「どしたの?」

「これを見ろ」

「ほう……眉唾ですね」

「リーフちゃん、顔にそんなの塗っちゃ駄目だよ……」

「本当かどうかわからんという意味の言葉だろう!」

「お二人の故郷ではいかがでしたか?」

「眉毛にヨダレ付けるの?」

「そっちじゃなくて、ここに書いてある話だろうが。わたしの故郷にはなかったな」

「あたしも、うーん、お行儀悪いと思う。リーフちゃんは?」

「わたくしも同様です。ですが、トールさんがこの通りにお食事していたら嫌な顔をしないよう気をつけましょう」

「うん、そうだね」

「ああ、トールに合わせるべきだろう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ