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短編1「トールの贈り物」part2

 少し前

 とある和菓子店にて


「いやー、話に聞いてはいましたけど、変な特技っすねぇ。ホントに悪いことしてないんすよね?更衣室の鍵を開けて女の子のパンツとか盗んだりしてないっすか?」

「断じてしてねぇ!」

「ブラジャー派?」

「そうじゃねぇよ!本当に、今役に立ってるけど俺はなんでこんな特技身につけたのかねぇ。それにしても、急に頼んじゃって悪いね」

「いえいえ、どうぞお構いなく。そんで、和菓子作りっすよね。和菓子は割と得意っすよぉ。お任せください!」

「本当に助かったよ。三人にプレゼントがてらお菓子を作りたいって思ったけど、全部自力じゃ上手くできる気がしなかったから」

「そんじゃ材料があるか確認しましょう」

「このあんこって、神様の力で時間が止まってるんだよね?」

「ええ、そのまま使わせてもらいましょう。なので外側っすね」

「一応動画で作り方見たからなんとなくは分かるんだけど」

「大丈夫っすよ。この天ちゃんに任せてください!」

「ありがとう。心強いよ」


 トールは現在、天使の天ちゃんと共に和菓子作りに(のぞ)もうとしていた。

 元々和菓子作りに興味があった、または経験があるかといえばそのようなことはない、全くの初めてであった。それでも、どうしても作りたい和菓子があったためオリサにも言わず家を出たのである。

 天ちゃんが協力してくれたのは偶然だった。馳家の施設拡充を終え拠点の寺に帰宅しようとする天ちゃんに相談した結果、秘密の作業となったわけである。


「食紅オッケー。水ももちろんある」

「忘れちゃいけないコレっすね」


 そう言って天ちゃんは生地となる粉が入った袋を取り出した。


「餅米を炊くところから始めるのかと思ったよ」

「手が込んでる和菓子屋さんはそうかもしれないっすけど、今回はこの粉のお世話になっちゃっていいと思うっす。初心者はラクしましょ」

「なるほど」

「んじゃ早速始めましょう。まずこいつと水を混ぜて」


 調理のイニシアティブを握った天ちゃんはトールの背後に周り、胸をトールの背に押し付けつつボウルと水を手に取る。

 トールはテーブルと天ちゃんにサンドイッチされ困惑の声を上げた。


「……何してんの?」

「ほら、お姉さんが手取り足取りアレ取りナニ取り教えてあげますよ。トールくんの欲情を刺激し・な・が・ら」

「作り方だいたいわかったし、天ちゃん帰っていいよ。クジャクによろすく。ほな」

「いやん、ごめんなさい。調子乗りました」

「やり方指示してくれれば俺が動くから」

「へい」

「やたらと近づかなくていいから」

「へいへい」

「ちなみに【下】は生えてるの?」

「へへへ、握って確かめてくだせぇ」

「背中に乳当てられて一瞬喜んだ自分が恨めしいよ、クソが」


 悪態をついたトールだったが、その顔は言葉と裏腹に楽しさで満ちていた。

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