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第015話 転移十六日目 六

 収録されている話数を二つ三つ読んだところで水浴びを終えたソーニャがジャージ姿で着ていた物とバスタオルを抱えて居間に来た。


 やはりジャージのサイズが大きかったようでダボッとした格好になっている。


「……水浴び終わりました。ありがとうございました」


 髪の毛まで洗ったのか濡れていて、ポニーテールだった金色の髪の毛は下ろされていて背中に掛かっていた。


 いつも自然乾燥だと言ったので、俺はお節介だとは思いつつ部屋からドライヤーを持ってきた。


 一応、ドライヤーの用途を説明したけど、いまいち要領を得ていなかったようなので、断られるとは思いつつ俺が乾かしてもいいかと尋ねたところ、まさかの了承を得られた。


 思わず「えっ、いいの」って再度尋ねてしまった。多少の抵抗はあるけど、孤児院の修道士たちや年長組が年下の子供の面倒みるのと同じと思えば少しは我慢できるそうだ。……そうですか。


 それと、ウチにある魔道具と仮名が付けられた家電や水道、トイレとシャワーが目新しくどれも凄いモノに感じられて「興味があるからドライヤーも試してみたい」とのこと。


 見るからに下降気味だった気持ちが少しは持ち直したのかもしれない。そう思うことにした。


 俺の前にソーニャを座らせて、少し離したところから髪の毛に温風を優しく当てると仄かに石鹸の香りがした。


 髪の毛を洗った時に石鹸を使ったのだと思い当たる。今更だけど、シャンプーとリンスのことも教えるべきだったと後悔した。


 温風とドライヤー用ブラシで揺れる髪の毛に少しくすぐったそうにしていたけれど、ちょっと我慢してと声を掛けながら満遍なく乾かしていった。


 もし、自分に娘がいたらこんな感じなんだろうか。いや、年齢的に反抗期真っ盛りでお父さんなんて嫌いとか言われてるかもしれない。それはそれでへこみそう。


 そんな妄想にふけながらドライヤーを使い金色の髪の毛をいた。


 そうしていると、感覚的な時間で午後八時を回ったぐらい。


 俺としては寝るには早すぎるかとも思ったけれど、ソーニャの孤児院では灯りの燃料節約の為、寝る準備を始める時間帯らしい。


 ソーニャの髪の毛を乾かした後、その話を聞いて明日は朝早くから動く予定なので丁度いいかと、今晩寝てもらう客間へ案内した。


 布団が床に直敷きだけどいいかなと聞いたところ、敷布団や掛け布団に触れて上等すぎる寝床だと恐縮していた。


「しばらく居間の方にいるからなにか不具合とかあったら遠慮なく言ってね」


 そう言って客間を出た。自分の部屋に戻って着替えを取ってから浴室へ向かった。


 本当はお湯に浸かりたかったけれど、ソーニャのこともあるし手早くシャワーで済ませた。


 汗を流してサッパリした俺は、明日の朝御飯の仕込みをする。といっても、米を研いで炊飯器のタイマーセットするだけなんだけど。


 明日は森の中へ探索に出る。初日以降家の周りしか探索していないから、そのリベンジになるかな。


 虫除けにハッカ油が有効だから身にまとって、あとは藪扱ぎようの鉈と狼対策で長モノの武器っぽい道具を見繕うのもありか。


 そもそも、どうしてソーニャを助けようと思ったのか……。この世界に来て初めて現地の人を見て内心では浮かれてしまった所為かもしれない。いや、人恋しいさから来た偽善だろうか。


 それに、娘みたいな年頃の可愛い女の子だったし、とうとう父性本能に目覚めてしまったなんて老けた考えをしている時点で苦笑いしか出てこない。


 いずれ明日の探索でソーニャの仲間たちを上手く見つけて保護できればいいんだけど、もし保護できたのであればそのまま街まで送り届けるか、或いは一旦家まで戻って日を改めるか。


 街の親御さんたちも捜索に出ているだろうからあまり悠長なこともしていられない。こういう時に車が使えれば便利なんだろうが、道路が整備されていない森の中だし無理だな。


 最悪なのはなにも手掛かりを得られないこと。その場合はここを拠点に探索範囲を広げてみるしかない。


 今日の出来事を反芻しながら明日の行動予定を思案したところで、まぁ、なるようにしかならないな。と軽く結論付けて、炊飯器の予約タイマーをセットして居間に戻ったけど、明日は準備も含めていつもより早起きしなければと考えて、さっさと自分の部屋に移動して布団に入りこんだ。


 いつもの就寝時間である大体午前0時を回るぐらいまで、チーカマの相手をしたり漫画を読んで過ごしているので、すぐに寝付けなかったのはご愛嬌。

我が妄想……でした。

読んで下さりありがとうございます。

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