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年下の上司  作者: 石田累
34/202

story6 September 男の闘い!嵐を呼んだ臨時職員(4)

 さ、い、あ、く……。

「じゃあ、本当に本当に本当に本当なのね」

 果歩は、くどいくらい念を押した。

「なんで私に聞くのよ。親に聞けばいいじゃない、家の玄関まで送ってもらったんでしょ、果歩」

 それを覚えているくらいなら!

 ああ……。

 果歩は、頭を抱えたまま、電話を切った。

 翌日。

 都市計画局総務課の執務室は、いつもの喧騒に包まれていた。

 陰鬱な果歩1人を取り残し、南原も大河内も、他都市からの来客応対で忙しい。3役は、朝から市長ヒアで席を空けていて、藤堂は、別室で、国土交通省の担当係長と補助予算内示打ち合わせの真っ最中。計画係の中津川と谷本主幹は、地元自治会の陳情対応。

 10時から、10分刻みで、他都市用、自治会用、国土交通省用、と次々にお茶だしが待っている。

 いつも以上に忙しい――にもかかわらず、果歩は、まだ、明け方のショックから立ち直りきれないでいた。

 今朝。

「昨日の大きな人、お姉の恋人?」

 うがいの最中だった果歩は、あやうく含んだ水を吹き出してしまうところだった。

「きちんとお礼を言っておきなさい、話を聞いたら、お前の上司にあたる人じゃないか」

「お母さん、とっても恥ずかしかったわ」

 たてつづけの両親からの攻撃も、どうしても信じられなかった。

 夕べは、りょうと行った店で、そのまま寝て……なんだか、嬉しいような悲しいような、そんな不思議な夢を見て、気がついたら、明け方、自室のベッドの中。

 頭は痛いし、化粧は落としていないしで、大慌てでシャワーを浴びて――正直、どうやって帰宅したかは、まるっきり記憶にない。

 まさか、藤堂さん?

 身体の大きな人って、間違っても志摩課長じゃないよね。

 どうして藤堂さん?

 わ、私、何をしゃべったんだろ、夢で藤堂さん相手に、なんだか色々……わがままなこと言ったような、おぼろげな記憶が……。

「あーっっっっ」

 と、叫んで、バッグを掴んで帰りたくなる。

 せめて、熟睡していたと信じたい、いや、それもそれでイヤ。

 いびきとか、よだれとか、最近ちょっと油断していた腰周りとか、あーっっっっ

「果歩さん」

 はっとして顔を上げる。正面の席に座る宇佐美が、いぶかしげな顔で見つめていた。

「……電話やけど」

「あ、ご、ごめんね」

 目の前の電話が鳴っているのに気づかなかった。宇佐美が取ってくれたそれを、果歩は慌てて手を伸ばして受け取る。

「的場さん? すまないね、忙しい時間に」

 相手の第一声を聞き、即座に果歩は姿勢を正した。

 灰谷市都市計画編纂誌の監修と寄稿を依頼している地元大学教授。

 この灰谷市で、いくつかの委員を兼ねている重鎮である。

「実はね、最終校正まで済んだ後で申し訳ないんだが、どうしても手を入れたい箇所があってね」

「はい、どこでしょう」

 内心まずいな、と思いながら果歩は即座に引き出しのファイルから資料を取り出す。

 ファイルをすばやく手繰りながら、開けた引き出しは足で閉めた。

「今から、ファックスで送ろうと思うんだが、どうだろう、差し替えは間に合うかね」

「大丈夫です、なんとかします」

 と言うより、するしかない。

 昨日が印刷所の最終締切日だった。1枚くらいなら、なんとか頼み込んで変更できるかもしれない。いや、できるよう、頭を下げてでも頼むしかない。

 それほど、電話の相手には、今回の本作りに多大な協力をいただいている。

 電話を切った果歩は、わずかに眉をひそめて卓上の時計を見た。

 10時10分前。

 最悪といえば、最悪のタイミング。

「宇佐美君」

「はい」

「ごめん、1時間くらい、帰れないかも、私」

「わかりましたー、コーヒーでっしゃろ?」

「量が多くて大変だから、都市デザインの臨時さんに頼んで、一緒に」

 果歩は、迷うような目を、隣の都市デザイン室に向けた。

 ここまで来客がたてこむことなど、めったにないし、宇佐美には初めてだろう。相手は国土交通省と、地元自治会、接待に失敗は許されない相手である。

「大丈夫っすよ!」

 が、宇佐美は力強い声で言うと、にっこりと笑った。

「任せといてください、後のことはどーんと俺に任せて、いってらっしゃいましー」

 

 

 *************************

              

 

「とにかく、冗談じゃないよ!」

 印刷所で校正を済ませた果歩が戻ったのは、正午前。

 待っていたのは、顔を真っ赤にさせた中津川だった。

「あまりにコーヒーが遅いから、自治会長さんが、我々のものまで自腹で買ってこられたんだ。こんなみっともないことが今まであったかね、どう責任をとるつもりかね!」

 宇佐美1人に任せるのに、不安がないわけではなかった。

 しかし、他にどうしようもない。

「……申し訳ありませんでした」

 立ったままの果歩は、汗をぬぐう間もなく、頭を下げた。

 猛暑の中、自転車をこぎまくったので、疲労でめまいがしそうだった。しかし、中津川の怒りは冷めるどころか、いっそうヒートアップする。

「君が日ごろ、来客への応対をないがしろにしているから、こんなことになるんじゃないか。出かけるなら出かけるで、どうして責任のある者にあとを頼めなかったのかね」

 課内が静まり返っている。

 3役はいない、藤堂もいない。

 南原は、あっけに取られた目をしており、大河内は、パソコンから顔を上げない。

 谷本主幹、新家主査、水原真琴、と、計画係は全員が揃っていたが、その全員とも、自分には関係ないという顔で、2人の応酬を見守っている。

 果歩の背後には宇佐美がいて、何かものいいたげな目で、ちらっちらっと、果歩を見ているようだった。

「全部、私の責任です」

 果歩は、再度そう言って、頭を下げた。

 最初から宇佐美には無理があった。

 出かけてから気がついた。今日、都市デザイン室のアルバイトは休暇をとっているはずだ。乃々子か流奈に頼めばいいのだが、宇佐美に、そこまで気は回らないだろう。

「そもそも、君はどうかしているよ。恥ずかしくはないのかね、藤堂君や宇佐美君や、男にお茶を淹れさせて、平気でいられる神経が私には理解できんよ」

「………………」

「その分君が、何か代わりになるような仕事でもしているのかね。そうではないだろう、女には出来ない分野があるように、男にもできない分野があるんだ、役割だよ、差別じゃない、これは役割分担じゃないか」

「………………」

 そんな、大声で言わないでほしい。

 もう、いい。

 もう、こんな軋轢から開放されて、楽になりたい。

「わかり、」

 感情をぎりぎりで押し殺しながら、果歩が、顔をあげてそういいかけた時だった。

「そんなもん、暇なやつがやればええんちゃいますか」

 思わぬ助け舟、というか横槍に、果歩はびっくりして開いた口を固まらせていた。

「お茶でも、なんでも、同じちゃいますか。暇やったら手伝えばええし、忙しかったら頼めばええ、そこに誰がせなあかんとか、誰じゃないとあかんとか、そんなんナンセンスやないですか」

 宇佐美――が、可愛らしい顔を赤くして、必死の形相で言い返している。

 今では、半そでのシャツにパンツ姿で来るようになった宇佐美は、髪が少し派手ではあるものの、服装だけみれば、職員と変わらない雰囲気だった。

「君が、お茶汲みで失敗したから、こんな騒ぎになったんだろう」

 バイトの口応えに、しかし中津川は、侮蔑をこめた冷ややかさで応じた。

「私だって、あれだけの量を君1人でできるとは思っていないよ。的場君が出かけるなら出かけるで、きちんとできるよう手配すべきだと言っているんだ」

 微妙に論点がずれている抗弁。

「そうでっか、俺には、お茶は全部的場さんがすべきやゆうてるように聞こえましたけど」

 意外にも、そこを鋭く宇佐美はついた。

「それに、俺、1人じゃできひん思うて、頼みました。そっちの係のお客やし、朝からずっと暇そうやったから」

「……なんの話だね」

 中津川の顔が、訝しげにゆがむ。

「そこの水原君に、頼んだんですわ。手伝ってくれへんかゆうて、そしたら断られましてん、僕の仕事やないゆうて」

 しん……と静まり返った中、注目が、席につく水原真琴に向けられる。

「……聞いてません」

 やや、硬い顔をして、水原がようやく口を開いた。

「ゆうたやないか」

「聞いてないよ」

「ゆうたやないか、あんた、できひんゆうたやないか、バイトや女のする仕事は、できひんってゆうたやないか」

「そんなこと言ってないだろ!」

 小柄な水原が、椅子を蹴って立ち上がる。

 水原も宇佐美も、果歩がはじめて見るような顔で互いににらみ合っていた。

「……おいおい、どうなっちゃってるんだよ、これ」

 南原が、呆然と呟く。

「きっ、君は、バイトの分際で何を」

 中津川が、わなわなとそう言いかけた時だった。

「俺、ずっと見てましたけど」

 宇佐美は、冷ややかな眼差しで、水原を見下ろした。

「あんたが、この課で一番遊んでるで、水原君」

 さっと赤くなった水原の顔が、次の刹那、蒼白になった。

「み、水原君、」

 中津川が、慌てて席を立つ。

 その時には、水原は、逃げるように執務室を飛び出していた。



*************************

            

  

「……水原君は……」

「帰っちゃった、電話にも出ないみたい」

「そうでっか」

 気落ちしたように、肩を落とす宇佐美の背後に歩み寄り、果歩は棚に背を預けて立った。

 都市計画局の専用倉庫。

 棚と棚の間のわずかなスペースにパイプ椅子を置いて、宇佐美はそこに座っている。

「言い過ぎたやろか、俺」

「……うん、ちょっとね」

 元OAルームの倉庫は、冷房の吹き出し口があって、肌寒いほど冷えている。

 果歩の言葉に、宇佐美が憂鬱そうなため息を吐くのが分かった。

「やっぱり、俺が、バイトやから?」

「……ううん、そんなの関係なくて、やっぱり、言っちゃいけないことってあるから」

「…………」

 多分、同い年という、微妙な関係ではなかったら、宇佐美もあんな言い方をしなかったに違いない。

 果歩は、黙って、うなだれる宇佐美の肩に手を置いてやった。

 水原も傷ついたろうが、言った宇佐美も自己嫌悪で最悪な気分だろう。

「あいつ見とったら、ちょっと腹たつねん、水原君」

 宇佐美は、うつむいたまま、呟くような口調で言った。

「もっとちゃんと仕事せえよ、言いたくなるねん、なんや、少し悔しくなるねん」

「……そっか」

 その気持ちは、想像するしかないけど、なんとなく分かる。

 でも、それ以上に果歩には、蒼白になった水原の気持ちが、手にとるように分かるような気がしていた。

「……私も、新人の時、ものすごく暇でね」

「果歩さんが?」

「うん、秘書でね、本当は女性秘書と男性秘書が、2人1組でえらい人につくんだけど、私のとこには、先輩秘書が特別についてくれてたの」

 新人でいきなり市長秘書。

 今思えば、当たり前の扱いだったが、夢と希望に溢れて入庁したばかり、すぐに1人前の仕事ができると期待していた果歩には、それは、屈辱的な扱いに思えた。

「なにもしなくていいの。することは電話番とお茶と雑用だけ、あとはぜーんぶ、先輩がやってくれるの。今思えば、忙しくて教える暇もなかったのね。私は半年……ただ、ぼんやり座ってた、課で一番暇で、一番みじめな存在だった」

 その半年、自分が課の中で、一番のお荷物だという情けなさで一杯だった。

「……宇佐美君から見たら、はがゆいとは思うけど」

 たった4日で、見切りをつけられる臨時職員。

 片や、1年でも2年でも猶予をもって成長を見守ってもらえる正規職員。

「水原君は、まだ、これからの子だから、……私も、自分でそういう時期があったのを忘れてたけど、今、ある意味、一番辛い時期なのかもしれないわね」

 課の中で、ただ1人、1人前として仕事が任せられない存在。

 誰しも、宇佐美のように自力で壁を破れるタイプだとは限らないし、壁の越え方は、人それぞれだ。

 水原のような若者が、数年後には有能な職員に変じることは、十分あるし、そんなケースならいくらでも見ている。

 何かをきっかけに、人は変わるものなのだ。

 いい意味でも、悪い意味でも、その成長を見守りながら育てていけるのが、役所という大きな組織なのかもしれない。

「水原君には、何年も先があるけど、俺には2ヶ月しかないっちゅうことか」

 横顔がわずかに笑っている。でもその言葉は、ひどく寂しそうだった。

 果歩には何も言えなかった。

 残酷だが、それが現実。

 2ヶ月で成果を出さなければ次がないバイトと、片や何年もの猶予がある正規職員の。

「どうして就職しないの?」

「断られるねん」

「……君ほどのスキルがあれば、どこだって大丈夫だと思うけど」

 それは、慰めではなく本音だった。

 顔もいいし、体格もいい、見栄えで大きな武器を持ち、そしてパソコンも一通りマスターしている。頭も決して悪くないし、何より愛嬌に富んでいる。

 民間なら、もっといい条件で、即就職できそうな気がするのに。

「……これからかぁ」

 しばらく黙っていた宇佐美は天井をみあげ、ふっと息を吐くような口調で呟いた。

 

 

 *************************

             

  

「……水原君、今日も休みなんですか」

 囁くような乃々子の声に、果歩は、嘆息してうなずいた。

「今日で、10日目」

「うそー……」

 残り5分しかない昼休憩。

 トイレの化粧直しで顔を合わせた乃々子は、鏡越しに眉を雲らせた。

「それで、藤堂さん、最近元気がないんですね」

「うん……まぁ、仕事は普段通りだと思うけど」

「絶対元気ないですよ。他にも心配ごとが重なってるんじゃないかなぁ、ほら、いつだったか、果歩さんが2日酔いで調子悪いって言ってた、あの日」

「えっ」

 ドキっとした果歩は、唇にあてたリップをはみ出させてしまうところだった。

「給湯室で一緒になったんですけど、朝から、暗い目でため息連発ですよ、私が挨拶しても気づかなかったくらい」

「……そうなんだ」

 あの日以来、あえて藤堂を避けているから気づかなかった。

 藤堂の口数がいつも以上に少なくなったのは、気づいていたけれど。

「あんな藤堂さん、初めてで……最近の元気のなさも彼らしくないし、何か悩み事が重なってるんじゃないでしょうか」

「……まぁ……それはよくわからないけど」

 リップをポーチにしまいながら、果歩は言葉を濁らせた。

 乃々子が言うほど深刻には思えないものの、確かにここ数日、藤堂の表情には、どこか暗さが漂っている。

 見えない壁は、今度は目に見える壁になって、またしても果歩の前に立ちふさがった。その原因に、水原の欠勤のことがあるのは勿論だが――確かに乃々子の言うとおり、それだけではない、別の理由もあるような気もする。

「うちの補佐が言ってましたけど」

 乃々子は、綺麗にカットした眉を寄せながら続けた。

「役所で男子職員がやめると、上司にはすごいペナルティになるんですって。昇進にも響くし、自分のマイナス評価につながるから、なんとしてでも辞めさせないよう、必死になって説得するって」

「……うん、知ってる」

 水原の直属の上司は中津川補佐である。

 が、人事担当係長は藤堂。

 万が一、水原が退職するか――もしくは、欠勤が長期に及べば、どちらの責任も同様に問われることになるだろう。

「でも、宇佐美君と喧嘩したことだけが原因なら、たったそれだけで、欠勤とかってありですかね?」

 乃々子は不思議そうな目をしている。

「……計画係では、水原君は、サブの仕事しかやらせてもらってなかったみたいだから」

 果歩が言うと、鏡の中の後輩が、納得したような顔になった。

「水原君の能力がどうこうじゃなくて、もともと新人がこなせるようなポジションじゃないのよ。国への陳情とか、県との協議とか……経験が必要な仕事ばかりだから」

 もともと3名だった計画係。水原が来た年に、ようやく増員要求が通って1名増となった。

 しかし、配属されたのは新人で、中津川が露骨にがっかりしていたのを、果歩はよく覚えている。

 新人は使い物にならない――実際、その通りだし、2年目になっても、水原はまだ、係のサブの仕事しか任されていない。

「……わかります、彼の気持ち」

「……そうね」

「プライド、高そうな子だから、余計だったんでしょうね」

「そうかもね」

 いけすかない態度ばかりに気をとられて、水原の内心の葛藤に気づかなかった果歩自身も迂闊だったと思う。

 が、いずれにせよ、水原は天の岩戸に入ってしまった。

 中津川がいたるところで、原因はアルバイトの暴言にあると言いふらしているのは、自身の責任を問われたくないからだろう。

 居心地が悪いのか、宇佐美もあれから、めっきり元気を失って、早退することが多くなった。それもまた、中津川の新たな怒りを買っている。

「……宇佐美君ひとりのせいじゃないんだけどなぁ」

「中津川補佐、昨日もうちの課長のところに来て、宇佐美君のせいだって息巻いてましたよ」

「……………」

「藤堂さんのことも……何もできないでくの坊だって、もう散々」

「……………」

 仕事が閑散期なのが救いといえば救いだ。

 が、藤堂と中津川の仲は、もう冷戦も限界というところまでいっている。いつ、臨界線が崩れてもおかしくない、まさにぎりぎりの状態だ。

 水原の欠勤問題を、アルバイトの宇佐美と、そして彼の雇用を決めた庶務係の責任にしようとしている中津川。

 片や藤堂は、そんな中津川の攻撃に、ひたすら無視を決め込んでいる。

 その無視の仕方が、これまたいつもの藤堂らしくなくて、上手く言えないが、――いつもの、何か考えがあっての沈黙ではなく、感情的な黙殺のように見えなくもない。

 中津川の怒りをそらすどころか、むしろ増徴させているようにさえ見える。

 果歩が知る限り、藤堂が、水原欠勤の件で動いたという形跡はない。

 ひたすら静観を決め込んで――その態度に、ますます、中津川が怒りを募らせているという悪循環なのだ。

 中津川にしてみれば、藤堂の態度は、「水原君の件は、おたくの係の問題ですよ」とそっぽを向かれているように見えるのだろう。

 実際、果歩にもそう思えた。

 つまり、今、総務課の雰囲気は、最悪どころでないほど、悪いのである。

 ――どうなるんだろう、これから……。

 昼休憩の終わりを告げるチャイムを聞きながら、果歩は憂鬱な気持ちで、サニタリーを後にした。


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