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年下の上司  作者: 石田累
21/202

story4 July 女心と夏の空 課対抗バトミントン大会(終)

 電気をつけた果歩は、思わず声をあげていた。

 本庁舎13階。誰もいない、休日夜の執務室。

 人がいないのは当たり前だが、カウンターに積んだ荷物もなくなっている。

「………え」

 慌てて給湯室に走り、電気をつける。棚を開けると、持ち出した給湯ポットやプラスチックカップが、きちんと洗って伏せられてあった。

 呆然としつつ、執務室に戻る。

 誰だろう。

 考えるまでもない、藤堂さんだ。こんなことをしてくれるのは、総務では彼しかいない。

 明かりがついているのは総務だけ。誰1人いない都市計画局のフロア。そういえば前も、こんなことがあった。

 わずかな期待をこめて、果歩は廊下に走り出た。エレベーターホールを見回して、反対側にある男子更衣室の方まで行ってみる。

 響くのは自分の足音ばかり。誰もいる気配はしない。

 また――すれ違い。

 軽く嘆息し、果歩は再び、明かりの灯った局総に向かった。

 もしかして、そういう運命なのかな、私たち。

 すれ違って、どうしたって一緒になれない運命なのかも。

 明日はちゃんと、お礼を言おう。それから――もし、流奈のことが誤解だったら。

「…………」

 そこに思い至り、果歩は思考を止めていた。

 綺麗に洗われたカップ。もし、ここに戻ってきたのが藤堂1人じゃなかったら。

 藤堂と流奈が、2人して戻ってきていたとしたら。

 想像しただけで表情が強張り、気持ちが頑なになってしまう。その感情を乗り越えないと、例え流奈とのことが誤解だとしても、一歩も先に進めないと分かっているのに。

 なんにしても、今夜、流奈の誘いを藤堂が断るのは、至難の業のように思えた。きっと2人は一緒にいる。どこに消えたのかは知らないけど――。

 もうやめよう、2人のことを考えるのは。

 ロッカールームから着替えの入ったバッグを取り出し、退室しようと電気のスイッチに手をかけた時だった。

 エレベーターホールの方から、かすかな足音がした。

 もしかして、と、一瞬期待した果歩だが、すぐに守衛のそれだと思いなおす。

 足音が間近になる。暗いホールに、影がうっすらと浮き出してきた。その時には、さすがに果歩にもその影の持ち主が分かって、強い動悸と共に後ずさっていた。

「どうしたんですか」

 第一声で、馬鹿なことを聞いていた。

 立ちすくんでいる果歩に気づいたのか、入り口で足を止めた藤堂も、戸惑ったような目をしている。

 ジーンズに半袖のシャツ。

 飲みの席でもからかわれていた。藤堂君、君はまるで学生のようだね。果歩はまた壁を感じた。彼と自分の年の差に。

「………忘れ物です」

「じゃ、電気つけましょうか」

「すみません」

 果歩はバッグをカウンターに置き、いったん落とした電気を、庶務係の近辺だけスイッチを入れた。

「片付けて下さったんですか」

「ええ、まぁ」

 言葉すくなにそういい、藤堂はすっと果歩の傍を通り過ぎる。

 自席に向かった藤堂は、机の引き出しを開けているようだった。

「お、」

 お1人ですか。

 聞こうと思った果歩は、その言葉を飲み込んでいた。聞いて、どうなると言うんだろう。

 もし1人じゃなかったら。

 下で、誰かが待っていたら。

 想像するだけで足がすくむような気分になる。

 スイッチの傍で、一応藤堂の用事を待つつもりの果歩だったが、藤堂はいくつかの引き出しを開けては閉め、何かを探しているようだった。

 それが延々終わらない。

「……探し物なら、手伝いましょうか」

「いえ、別に」

「……………」

 素っ気無い返事に、一瞬傷ついている自分がいる。

 が、傷ついた感情はすぐに、理不尽な苛立ちに変わっていった。

 なんだろう、この態度。

 はっきり言えばいいじゃない。下で流奈が待っているのかどうか知らないけど、そこで待たれると迷惑だって。

「じゃ、私、失礼します」

 果歩もまた、冷たい声になっていた。

「今日は本当に、お疲れ様でした」

 うわ、すっごい嫌味な声。

 自分でも、そんな自分が嫌になる。

「お疲れ様でした」

 輪をかけて冷たい藤堂の声が返ってくる。

 ――最低。

 果歩はものも言わず、バッグを掴んできびすを返した。

 これで最後。

 もう、絶対、こんな男に迷ったりしないから。

 背後で椅子が机にぶつかる音がした。

 けたたましい音に思わず立ちすくんだ果歩は、吃驚して振り返る。

 振り返った途端、カウンターを越えてきた藤堂に、腕を掴まれていた。

 それはまるで、ふいに大きな影に覆われたような感覚だった。

「僕が悪かった」

「………………」

「すみませんでした」

「………………」

 そのまま腕を引かれ、抱き寄せられる。

 ――え……?

 というより。

 何が起きたのか、まだ頭がついていかない。

 いつもより、彼の香りを強く感じる。それから、鼓動の響きも大きく聞こえる。

 なんで? どうして?

 暖かな腕に包まれながら、頭はまだ混乱している。

 背中に腕が回され、少し強く抱きしめられる。

 耳元に男の顎が触れるのを感じ、果歩はようやく、眩暈のような強い動悸を感じていた。

「何か……謝るようなこと、したんですか」

 少し強がって、そう言うのが精一杯だった。

 手も顔も、彼の大きな胸の中で、固まってしまって動かせない。

「……正直に言えば」

 わずかな沈黙の後、藤堂が呟いた。

「何をしたのか分からないのですが」

「………?」

「………あなたが怒っていたので」

 見あげると、少し怒ったように、藤堂の目が逸らされる。

「どうしていいか、分からなかった」

「………………」

 果歩の胸の底に、暖かなものが水輪のように広がった。

 ――藤堂さん……。

 それで、謝ってくれたんだ。

 信じられないけど、もしかしなくても、本当に自覚ゼロだったんだ。

 女2人の心を、あれだけかき回しておいて。

 なのに謝ってくれた。

 嘘みたいだけど、私のために。

 私みたいな意地っ張りと仲直りしてくれるために。

 暖かなで穏やかな感情だけが、果歩の胸を包んでいく。

「悪いなんてひとつも思ってなくても……」

 藤堂の胸に、ためらいがちに頬をあてながら、果歩は言った。

 言葉とは裏腹に、伝えたいことはひとつだった。それをどう口にしようかと思いながら。

「謝れる人なんですね、藤堂さんって」

 先ほどまで、無意味に引き出しを開け閉めしていた無表情な横顔が、ふいに愛しくなる。

「いや、それは」

「ごめんなさい、私が悪かったです!」

「……………」

 言えた。

 胸にずっとつかえていた言葉。

「藤堂さんは悪くないです。本当に………ごめんなさい」

「………………」

「ごめんなさい」

 見下ろされる視線を強く感じる。

 怖いような気持ちで顔をあげた。

 形のいい顎が最初に目に入り、次に厚みのある唇が目に入った。

 ――……どうしよう。

 再び激しい動悸を感じ、果歩は目を伏せていた。

 キ、キスしそうな雰囲気なんだけど。

 いくらなんでもまずいよね、職場でそれは。

 今だって、抱き合ってるだけで、かなりやばいかもしれないし。

 互いに見ているようで、どこかかみ合わない視線。藤堂もまた、果歩を抱く手を緩めないまま、多分、同じような煩悶を感じている。

 廊下の方からふいに足音が聞こえたのはその時だった。

 

 

*************************

            

 

「トイレかな……?」

 いぶかしげな呟きが聞こえた。

 ゆれている懐中電灯の光が、二、三度、薄暗い局長室あたりを行き来して、それからすっとそらされる。

 ――てゆっか……。

 カウンターの下に、まるでいたずらした小学生のようにしゃがみこんだ果歩は、そっと、隣の藤堂を窺った。

「………別に隠れなくても、よかったんじゃないでしょうか」

「す、すみません、条件反射で」

 藤堂も、気持ちは同じなのか、気まずそうな目をしている。

 巡回の守衛の足音が遠ざかる。

 果歩の荷物と、藤堂の鞄が机の上にあったから、無人の部屋に電気がついていることも納得してもらえたようだった。

 それにしても―――。

「条件反射ですか」

 果歩はふいにおかしくなった。藤堂さんって、一体どんな子供だったんだろう。

 悪いことばかりして、先生がきたら「わっ」と隠れるタイプだったのかもしれない。大人しい果歩にはまずありえない思い出だけど。

「むしろ、あぶなかったですね」

 ようやく肩の力が抜けたのか、藤堂もほっとしたように呟く。

「そうですよ、こんな風に隠れているのを見つかったら、言い訳しようがないじゃないですか」

「……咄嗟なことで、つい」

 藤堂は、ますます照れたように頭を掻く。

 果歩は笑って藤堂を見上げた。

「言い訳が苦手なんですね」

「そうかもしれません」

 男の横顔にも、ようやく笑みが浮かんでいる。

 カウンターの下に座り込んだまま、互いの顔を見て思わず笑う。

 その後訪れた沈黙の中で、果歩は目を閉じていた。

 静まりかえった薄闇の中、2人の衣服の音だけが響く。

 ――キス、……これで、何度目だったっけ……。

 ようやく唇が離れ、果歩は、全身の力が抜けたまま、藤堂の胸に身体を預けていた。

「……………」

「……………」

 互いの動悸だけが、ほんの少しだけずれて聞こえる。

 厚みのある胸、熱を帯びた体温、剥き出しの腕は、触れると怖いほど硬く筋ばっている。

 今、自分を抱いている人が、男の人だと、痛いくらい意識してしまっている。

 果歩の胸も顔も、全身が熱かった。今、顔をあげると、赤くなった顔を見られそうで恥ずかしいくらい。

「………お上手なんですね」

「え?」

「………キス」

「……え? ……そ、そうなんでしょうか」

 藤堂が驚いている。というか、焦っている。

「慣れてるんですか」

「ぜ、全然」

 慌てて、首を振っている。

「正直に言うと、いつも、いっぱいいっぱいです」

「……そんな風には見えないですけど」

 果歩は笑って首をかしげた。

 どうしよう。

 今――この人が、可愛くて愛しくてしょうがない。

 すごく、好き、そんな気持ちで胸が一杯になっている。

 そのまま、互いに無言になる。

 少し強い力で引き寄せられて、もう一度唇が重ねられた。

 身体ごと彼の広い胸に預けたまま、支えられた状態で続くキス。

 途中で藤堂が、眼鏡を外すまでは覚えていた。あとはもう、よくわからない。

 もう、確かめなくていいよね。

 果歩は、陶酔の中で、夢の断片を追うように考える。

 私……この人の、恋人だって、思ってていいよね。

 怖いけど。

 こうして新しい恋をはじめることが、まだどこかで怖いけど。

 今は――今だけじゃなくて、これからも、もう二度とこの温もりを離したくないから……。

 


*************************

 

             

「おはようございます」

 久し振りに華やいだ気持ちで、果歩は朝のカウンターをくぐった。

 昨日とは違う今日。

 言葉で確かめあったわけではないけれど、もう不安を感じる必要はない。もう――無駄に、彼を困らせる必要もない。

「っす」

 いつも、無駄に朝が早い南原が、いつものことだが、むっつりと新聞を広げている。

 その態度にむかつく朝もあるけれど、今朝ばかりは上機嫌の果歩だった。

 ――さて、お茶の支度、支度。

 バッグを置いて、給湯室に向かおうとした時だった。

「おはようございます」

 その給湯室から、藤堂が現れた。

 不意うちのような出会いに、一瞬呆けた後、果歩は、ばっと赤くなる。

「お、おはよう、ご」

「昨日はお疲れ様でした」

 にこっと笑うと、藤堂は果歩の傍を通り過ぎた。

 ほわっとした気持ちで――しばし立っていた果歩は、いましがた通り過ぎた藤堂が手にしていた物を見て、はっとして顔を上げる。

「……藤堂さん?」

 給湯ポットだ。

 それを片手に持って、藤堂は執務室の中に入っていく。

「あの、」

 後を追って執務室に入った果歩を、何故か南原がにらみつけた。その視線のきつさの意味が理解できない。

「ここに置きましょうか」

 藤堂が立ち止まり、ポットを都市デザイン室との仕切りになっているキャビネットの上に置いた。

「今日はとりあえずここで、いずれいい場所を決めましょう」

 白い歯を見せて振り返る藤堂に、果歩は、――意味が分からず、曖昧な笑みで答える。

 というより、この人が今、何をしているのか分からない。

 そのまま、再びすたすたと藤堂が歩き出す。果歩は慌てて後を追う。

「一体、何を教育したんだよ、お前」

 その背後から、南原の嫌味な声がした。

 ――教育……?

「今朝からあいつ、局長の机を拭いたりカウンター拭いたり、うざいっつーか、うっとおしいっつーか、なんなんだよ、一体」

「………え」

 果歩は混乱したまま、再び給湯室に向かった藤堂を追う。なんなんだよ、一体、そう言いたいのは果歩もまた同じだった。

「あの、藤堂さん」

「はい」

 藤堂は――今度は、手に水きり籠を抱えていた。

「あの、それは」

「出しておきましょう、その方が利用しやすいと思いますし」

「………?」

 出す?

 どこに?

「日中のお茶は、セルフサービスにしたらどうかと思いまして」

 突っ立っている果歩に、藤堂はさらりとそう言った。

「え?」

 セルフ……

 セルフサービス???

「ちょ、あの」

「もっと早く、踏み切ればよかったんですが」

 そう言って、藤堂は棚にあった職員用のカップを取り出しはじめる。

「待ってください、そんなの無理です」

 果歩は、さすがに声を荒げていた。

 そんなの無理。

 今まで朝、昼と、果歩が出していたお茶をそんな形にするなんて、反発が大きすぎる。

「局長のお茶は、どこにありますか」

「あの、藤堂さん」

「ミルクの温め方を教えてください」

「藤堂さん」

「あー、春日次長は、どうするかな」

「藤堂さん、人の話聞いてます?」

「聞いています」

 無防備な笑顔に見下ろされる。

 ここ数日の仏頂面が嘘のような明るい笑顔に、果歩もつられて笑っていた。――と、笑ってる場合じゃないんだけど。

「昨日、あなたに勇気をもらった」

 藤堂は、本当に、鼻歌でも歌いそうなほど楽しげな横顔で、カップを次々と重ね始める。

「僕も、がんばってみようと思います」

「……がんばるって」

 藤堂さんが、お茶を淹れたり、卓上を拭いたり、そんなことで頑張る必要がどこにあるのだろう。

「しばらくは大変ですが、しかし、やってみるしかない」

「藤堂さん……」

「ま、最初のうちだけですよ」

 そう言って背を向ける藤堂を、果歩はただ見送るしかなかった。

 昨日手にした自信が、もろく崩れていく気がする。

 藤堂さんがわからない。

 一体、何を、何のためにがんばるというのだろうか――。

 


*************************

  

 

「すみません、少しお時間、いいでしょうか」

 誰もが、その行動を見守っていた。

 何しろ前代未聞の珍事。局の歴史はじまって以来のことだろう。局長室に、朝のお茶を男性職員が出した。しかも、役付き、係長が。

 局長室から出てきた藤堂は、開口一番そう言うと、にっこりと笑って課内の全員を見回した。

 一番はらはらして、一番居心地が悪いのが、自分の朝の定例行事を奪われた果歩だった。その上今日は、藤堂がミルクを温めるという。

 一体どうしたというんだろう。まさか、昨夜のキスがきっかけで、何か、おかしくなってしまったんじゃ――。

「時間はないよ」

 そっけなく藤堂を拒絶したのは、いまや反藤堂の急先鋒とも言える中津川補佐だった。

「うちは庶務と違って忙しいんだ。悪いが、今から係会議が入っている」

「1分ですみますので」

 珍しく藤堂は引かなかった。

 最近では、反感を露わにしている中津川に気を使ってか、大抵のことは「では」とか「すみません」と、引き下がるのが常なのに。

「総務のアルバイトがつかないことで、みなさんには迷惑をかけています」

「迷惑なんてもんじゃねぇよ」

 ぼそり、と、聞こえるように南原が呟く。

「仕事の手伝いは、他課のアルバイトさんに協力してもらっていますが、来客、職員用のお茶は、的場さん1人のお世話になっています」

「それが的場君の仕事じゃないか」

 即座に中津川が口を挟んだ。

「仕事でしょうか、僕はそうは思いません」

 藤堂は、静かな口調で続けた。

「言ってみれば、仕事をしていく上での安らぎを彼女が提供してくれています。それは仕事ではないです。仕事だと割り切ってしまえば、受けるだけの僕らは楽でしょうが」

 柔らかな口調だったが、悪く取れば辛らつな言い方だった。果歩は顔があげられなかった。

「あえて仕事だというなら、来客の接待はそうかもしれません。それは、手の空いた者がすればいいでしょう。なにしろ、業務分担にない仕事ですから」

「また、業務分担か」

 ちっと、中津川が舌打ちする。

「君は二言目にはそればかりだ、一体、何が言いたいのかね」

「何も。ただ、気持ちさえあれば、誰でもできることですから」

 藤堂は、どこか子供っぽい笑顔を浮かべた。

 果歩だったら、多分、反論できなくなるほど無邪気な笑顔。

「これからは、的場さんにこだわらず、手の空いている人間で、交代でやってみてもいいんじゃないかと思います」

 唖然とした沈黙。

 果歩は頭を抱えていた。

 ――何言ってるの、藤堂さん。

 そんなこと言ったら、また、へんな噂がたつじゃない。

 藤堂さんが私をえこひいきしてるって、私もだけど、藤堂さんだって、やりにくい立場になってしまうのに。

「何言ってんだよ」

 呆れを通り越して――といった風に立ち上がったのは、南原だった。

「そんな暇な奴が、一体どこにいるってんだよ。みんな日中がつがつ仕事して、毎日時間外まで仕事してるってのに」

「そうですね」

 藤堂は素直に頷く。

 それから彼は、やはり楽しそうに笑った。

「だから、一番余裕のある、僕がやろうと思います」

 呆然とした沈黙。

「問題はないでしょうか」

 誰も答えない。ただ、どこか、悪夢でも見るような目で、ぼんやりと藤堂を見上げている。

「なければ、今日から、僕のやり方でやらせていだたきます」

 以上です。

 藤堂はそう言うと、さっさと自分の席についた。

 ―――ど、

 どうなっちゃうの……?

 果歩はただ、ため息をつくしかない。

 空は、朝からかんかん照りだった。夏の盛りは、もうすぐそこまで迫っている。

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