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これまでとこれから

前作をお読みになった方、お待たせいたしました。連載スタートです。


と言いたいのですが、最近忙しく、これからさらに忙しくなると思われますので、更新は不定期になるかもしれません。ご了承ください。


 事の始まりは、2日前。

 僕こと吉武(よしたけ)良一(りょういち)が忘れ物を取りに放課後の教室に行き、三大美人ギャルと呼ばれている、徳永(とくなが)玲奈(れいな)さん、片倉(かたくら)一美(かずみ)さん、真辺(まなべ)乃梨子(のりこ)さんの3人が話ているのを聞いてしまったところから始まる。


『えぇ? あんなのに告白すんの? 私が?』

『いーじゃん、いーじゃん。罰ゲームなんだからさ』

『それでオーケーされたらどうすんの? 付き合わないといけないの?』

『うーん、そうだなぁ……取り敢えず、一週間付き合ってみなよ』

『それで嫌だったら別れればいいんだしさ』

『う、うん、わかった』


 この時は、罰ゲーム告白の相手が自分であることなど、夢にも思っていなかった。

 そして、その翌日、罰ゲーム告白をすることになった徳永さんに屋上へと呼び出され、そこで告白をされた。

 罰ゲーム告白だと知っていた僕は、それを懇切丁寧に傷つけないようにお断りした。

 ところが、その日の放課後。

 本屋に行こうとした僕に付いてきたり、すぐに下の名前呼びされたり、そのまま僕の家に来たり、見送った時にキスされたりと、話したのはこの日が初めてだったにもかかわらず、積極的に僕と関わりをもとうとしてきた。

 僕としては、それをなんともない感じで受け流していた。



 ――つもりだった。



 罰ゲーム告白を受けた翌日の昼――つまり昨日の昼。

 クラス一のイケメンである橋口(はしぐち)陽介(ようすけ)くんが、まるで女子のように取り巻きを連れて僕の前に現れた。

 そして僕は屋上へと連れ出され、調子に乗るなと容赦なく殴られた。

 そしてそれを、徳永さんに見られた。

 その時の徳永さんの泣きそうな顔を見て、自分に失望した。

 僕では徳永さんを笑顔でいさせ続けることはできないんだ、と。

 そして同時に、無意識のうちに徳永さんに惹かれていたということを自覚した。

 自覚したものの、僕では笑顔でいさせ続けることはできないと思った僕は、その場で諦めてくださいという旨の言葉を言って、その日は早退した。

 ところが、徳永さんは、その日の夕方にうちに来たり、スーパーに買い物に行った先では片倉さんと真辺さんを差し向けてまで、僕を諦めなかった。

 そこまでしてくれるならと、僕は徳永さんとの関係を持ち続けることにして、現在に至る。


 ◆


 拗ねてそそくさと歩き出してしまった結愛(僕の妹)を追いかけながらスーパーから帰ってきた。

 その後、僕は、結愛の機嫌を取ることを優先した。


「結愛、どうしたら機嫌直す?」

「……じゃあ、今日、一緒にお風呂入って一緒に寝てくれる?」


 お風呂に関しては、今日っていうか毎日一緒に入ってるから問題ない(?)けど……


「一緒に寝るのはさすがによくないんじゃないか?」


 僕がそう言うと、徳永さんが呆れた様子で口を開いた。


「良一、今だから言うけど……結愛ちゃんに洗脳されちゃってるよ、それ」

「えっ……?」

「一緒に寝るよりも、一緒にお風呂入る方がマズイよ?」

「……あぁっ⁉」


 言われて気づいた。

 そっか……今までの結愛の言動は、こういうことが当たり前だと僕に刷り込ませるためだったのか……。


「にぃに、してくれるよね?」

「えっ、いや、でも……」

「して、くれるよね?」


 有無を言わさない感じで言ってくる結愛に気圧された僕は、


「……わかった」


 屈してしまった。


「やった! じゃあ夕飯の準備するね!」


 一瞬にして上機嫌になった結愛が小走りして台所に向かっていった。

 まぁ、機嫌直してもらうためだから仕方ない。うん、仕方ない。


「……良一?」


 呼ばれたためそちらを見る。

 すると、そこには、ものすごく冷めた目をしている徳永さんがいた。

 そして、僕の肩に手を乗せ……


「いつかは私ともしてくれるよね? ね?」


 と言って目が笑っていない圧のある笑みを浮かべた。


「えっと……まぁ、その時が来れば?」

「なら良し♪」


 一瞬にして上機嫌になった徳永さんが台所にいる結愛に向かってドヤ顔をして見せた。

 ところが、結愛はそれを鼻で笑った。

 そして、


「残念でした〜。いつできるかわからない人と違って、結愛は今日絶対にしてもらえるから悔しくありませ〜ん」


 と言って〝あっかんべー〟をして見せた。

 それを受け、徳永さんは苦虫をかみ潰したような顔をしながら「ぬぬぬぬぬ……!」と唸った。

 小学生である結愛の挑発にここまで乗るなんて……それほどまでに僕への想いが強いのか、ただ単に挑発に乗りやすいタイプなのか……。

 まぁ、そもそもが僕の取り合いによる争いだから、前者は必ず当てはまるんだけどね。



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