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うちのドS執事は異世界でも超最強  作者: 真皓 心
第1章
8/79

08  ロザの仇

 「はぁ…。はぁ…」

 紅葉は、ムカデーラの毒の攻撃を受け、重症になっていた。

急いで戻ってきた黒瀬たちは、すぐに医者に見せた。

 サバラン村の医者によると、毒が回るのが早いため、冒険者が重症になり、村に戻って来ることが多いらしい。

 ムカデーラの生態が、詳しく解っていないため、対象法が分からない。

 ただ、1人ムカデーラの弱点を分かっている者がいた。

それは、ロザだった。

「ロザはどこにいるんだ?」

「分かりません…。あなた方を追って、砂漠の方へ行ったと思ったのですが…」

「そうなのか?」

「でも、私、どの岩にも一番、高い岩に登っていたけど、ロザの姿はなかったわよ」

「じゃあ、どこに?」

「まさか…」

誰もが嫌な予感をしていた。


◇ ◇ ◇


「ここは?」

 ロザは、暗闇の中で目を覚ました。

それは、今から数時間前のことだった。


 ロザは、紅葉たちの後を追って行った。

それは、ロザに銃の使い方を、教えてくれた旅人を、殺した魔物を探していたからだった。

 ちょうど、それを求めてきていたのが紅葉たちだった。

ロザは、あまり人と話すことが苦手だったため、言い出せなかった。

だから、後を追っていたが、背後から近づいてきた魔物に襲われたのだった。


「くそっ!暗くて、何も見えない…」

 

 このままでは、自分が食べられてしまうと思ったロザ。

 もがいていると、どこからともなく声が聞こえてきた。


「ここにいましたか…ロザ様」

「お前は…」

「紅葉お嬢様の執事をしております。黒瀬と申します。以後お見知りおきを。さて…あなた様が、どうして、こんなところにいるのですか?」

「そ、それは…」

「みなまで言わなくても、わたくしには、お見通しですよ?」

「えっ?」

「どうしてわたくしが、こんなところにいるかと申しますと…」


 黒瀬は、今にいたることをロザに説明をした。

聞くところによると、黒瀬は、何もかも全部お見通しだった。


 それは、サバラ村に訪れている所から始まっていたのだ。

いろいろと不審に思った黒瀬は、視察に出ていた。

だから、砂漠の裏側に生息する魔物も視察済みだったのだ。


「そういうことですか…」


 黒瀬は、村に帰り、ロザの話を聞き、黒瀬なりの口実をたて、ロザの動きを観察していた。

影とともに…。

 それから、ずっとロザの動きを観察をしていて、後ろから魔物に襲われるロザを助けるため、わざとロザと一緒に暗闇の中へと来ていた。






 一方の影は、誰にもバレずにいた。


「黒瀬!また、あの魔物の所にいくわよ!!」

「はい。お嬢様」

「フフッ。お嬢様もこりませんねー。本当に分かりやすいお方だ」


 クスリと笑いながら、黒瀬は影から会話を聞いていた。


「君は、凄い執事なんだね。ちゃんと、お嬢様を守っているではないか。僕には、出来ないことだよ…。あの旅人守れないんだから…」

「ですが、今のロザ様は、大丈夫でございますよ?」

「なぜ、君に分かるんだ?」

「分かりますとも…。どこか、お独りでいたお嬢様に、似てらっしゃいますから」

「そうなのか?」

「お嬢様も、ロザ様と一緒で、独りぼっちでした。ある時、私がお嬢様専属の執事を任されたのです。ですが、はじめは、全然、お嬢様に相手にもされなかったのです。むしろ…警戒…されていたのでしょう」

「でも、今じゃあ、あんなに仲がいいではないか?」

「そうですか?仲が…いいですか…。確かに、そうかもしれませんね。そのきっかけは、お嬢様がお独りで学校に帰っていた時、誘拐されそうになっていたのです。いち早く気づいたわたくしは、必死に、お嬢様をお守りをしました。ですが、一人が刃物を持っていたのです。それで、その刃物がわたくしの腕に。かすり傷だったのですが…。それを見たお嬢様は、大泣きをしておりました。何度も、お嬢様を慰めたのですが…。なかなか収まらず…」


 黒瀬は、困ったように言った。


「それからは、お嬢様は、気にするようになって、今にいたるということです」

「そうだったのか…。なんか、いろいろとすまないね。僕は、ヤキモチをしていたのだろうか…?君があの旅人にみえたんだ。だから…」

「それは、分かっていましたよ。ロザ様と出会ったあのときから」

「君には、お見通しなんだね」


 ロザは、呆れて言った。


「さて、おしゃべりはここまでです。ここから、出ましょう」

「どうやって出るんだ?」

「それはですね…」

「ちょっと待て!なんで僕がこんなことを?」

「奴を引きつけるには…」

「僕をお取りにか?」

「はい」


 黒瀬は、ニッコリと笑った。


「その笑いはやめろ!不気味だ」

「誉め言葉ですね。さぁ、行きますよー」


 黒瀬は、暗闇の中で、技を放った。

魔物に命中!


――きゅるるる!!


 もがく、魔物は、タランチュラに似ている魔物だった。

【タンチューラ】。

クモの仲間の魔物。

地上にはじき出された黒瀬、ロザは、どうやら、タンチューラのすみかに引きずりこまれていたらしい。


「フフフッ。クモ鍋にでもしましょうか?」

「い、いや…。いやいや…」

「んっ?嘘ですよ」


 クスリと笑った。黒瀬は、一輪の花を持って、村へと向かった。


◇  ◇  ◇


「はぁ…。はぁ…。」

「紅葉…。大丈夫か?」

「紅葉様…」


 皆が心配そうに見ていた。

 すると、黒瀬が帰ってきた。


「聖様…」

「黒瀬?黒瀬が2人?」

「わたくしの影が皆さんを見ていたので、助かりました。それで、お嬢様の状態は?」

「…」

「医者が言うには、毒消しの【解毒草】があればいいって言っていた…。だが、」

「解毒草ってこのことですか?」

「あっ!」

近くにいた医者が、びっくりしたかのように、言った。

「それは、いかにも解毒草…。これで、毒を取り除けば、この者は助かります」

「本当ですか!?」


 すぐに、解毒剤を作った。


「わーい。治った。本当に苦しかった…」

「お嬢様。ご気分は、いかがでしょうか?」

「ええ、だいぶ良くなったわ」

「この解毒草は、数十秒あれば、毒が抜けるからね」

「なるほど…」

「だけど、運が君たちはよかった。最近では、魔物のせいで、解毒草が取れなくなっていたからね」

「だから、魔物退治を申し込まれたのですね」

「そうなんです。ですが、ここの魔物は、手強いせいか、冒険者たちは来たものの…」

「皆、逃げて行ってしまった」

「もう一度、行きましょう。この話を聞いたからには、コテンパンにしてやりたいわ!」

「僕も、あの魔物にはかりがある。旅人さんを、殺した恨みがある。だから、仇をとりたい!」

「うん!行きましょう。一緒に!」


 また、紅葉たちは砂漠へと向かった。


♢ ♢ ♢

 

 紅葉たちは、再び砂漠へと戻ってきた。


「今度こそは、ロザもいるから、大丈夫!」

「最後のトドメは、ロザ様、あなた様がとって下さいませ」

「黒瀬…」

「あなたなら、できますよ。ロザ様は、あのときのロザ様ではないのですから」

「黒瀬…。ありがとう。僕が、あいつのトドメを刺すさ!」


―――ドドドドドドドドドド!!

―――キャルルルルルルルル!!


 ムカデーラが現われた。


「皆!いっくよー!!」

「うん!」

「紅葉!強化をお願い!」

「分かった!任せてー」

 

 紅葉は、皆に強化をした。


「フン!」

「黒瀬!ここだ。」


 ロザは、撃ちながら弱点を見つけた。


「そこですか?」

「さっきの戦いのときもそこを攻撃したのに!?」

「叩くだけじゃあダメだよ!攻撃を与えつつ、手や牙を取り、また、攻撃を与えないとあいつは倒せない!」

「そんな!」

「だから、一回では硬かったんだな…」

「じゃあ、また、私が援護する!だから、黒瀬、ピーロン、ロザは攻撃を!ラーガは、ロザの援護だ!」

「分かった」

「私は、セラティナにシールドを張っておくよ」

「任せた」

「よし!」


 一斉に、皆散らばっていった。


「黒瀬、そっちに回ってくれ!僕は、奴の頭を撃つ!」

「分かりました」


 黒瀬は、ムカデーラの下に回り、引き付けた。

ムカデーラは、黒瀬に気づき、攻撃をしてきた。


「それには、もう、分かっていますよ」


――シュッ!シュッ!


 黒瀬は、ムカデーラが攻撃をする前に、ナイフを投げた。

ムカデーラに命中した。


「ナイスだ☆黒瀬。行くぞ」


――パン!パン!


 ロザは銃で撃った。

ムカデーラは、苦しそうにもがいていた。


「今よ!ロザ!」

「行けーーー!!」


 黒瀬は、ロザを抱きかかえ、クルクルと回った。


「黒瀬!何を?」

「上から、狙った方がいいのではないでしょうか?失礼ながら、行きますよ?」

「えっ!?ちょ、ちょっと!待ちたまえ!」


 黒瀬は、ロザのいうことを聞き入れず、上にロザを投げた。


「黒瀬?何やってるのよ!」

「紅葉、違うよ?黒瀬は、ロザにトドメを刺すのに、ふさわしい場所を提供しているのだよ」

「ラーガ?」

「黒瀬は、誰よりも他人を大切にしている。誰よりも、痛みを知っているように思う。昔の黒瀬の暮らしは知らないがな…」


 ラーガは、そういってロザを見ていた。


「あの人の仇!撃たさせてもらう!いっけ――――!!」


――パン!!


 ロザの撃った弾は、見事弱点である。頭に、命中した。

そして、ムカデーラは倒れた。

周りを見ると、一体だけでなく、何十匹もいたが、死んでいた。

ふと見ると、黒瀬の顔が不気味に笑っていた。


「まさか…。黒瀬…」

「多分…私の予想では、本当は、聖様は紅葉様の仇を取りたかったのではないでしょうか?ですが、ロザ様に譲ったのでは?」

「あーーー」


 そうピーロンが言ったことに、皆が納得した。


「私のために?」

「さーて、村に帰りましょうか?」


 黒瀬のクスリと笑った顔が、紅葉たちには怖かった。

誤字・脱字があればお願いします。

まだまだ続きます。

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