60 ピエロ仮面のパウロン
紅葉達は、ヴェリスタ国に滞在していた。
紅葉達は、町に買い物に行っていた。
ピーロンは、薬草などを探しに山に来ていた。
「やはり、ここは珍しい薬草がたくさんありますね。これは、薬草の中でも回復がすぐにできるレアな薬草…やばいですねー」
ピーロンが興奮して薬草摘みに夢中なっていると、
「相変わらずだね。ピーロン。君はいつもそうやって薬草ばかり…」
ピーロンが声のする方へ向くと、ピエロの仮面をかぶった者が立っていた。
「パウロン!久しぶりですね」
「久しいねー」
2人は、近くの岩場に腰をかける。
いろんな話をしていた。
パウロンは、ピーロンの幼馴染だ。
「君はどうしてここにいるんだ?」
「観光だよ」
「1人で?」
「あぁ、1人でいる方が楽だからね」
「まぁ分かるけどね。そうだ。今、お仕えしているギルドに案内するよ」
「でも、お邪魔じゃないのかい?」
「大丈夫だよ。皆様はそんな方じゃないから。だから、ちょっと来てよ」
ピーロンは、パウロンの手を引っ張って行った。
「ここが寝泊まりしている宿だよ。そろそろ皆様帰ってきている頃だと思うから」
「そうなんだ。楽しみだなー」
(お手並み拝見といきますか)
「皆様、あの…」
シュ!
ピーロンが入ると同時に針を投げつけた。
黒瀬は、すぐに防御に入った。黒瀬も反撃をした。
パウロンは、黒瀬の攻撃をかわした。
「パウロン!いきなり何を!」
「ごめんねー。いきなり投げつけて。ピーロンが慕っている人が強いか見極めたくて…ね?」
「ピーロン様のお知り合いでしたか」
「聖様、すみません。大丈夫でしたか?」
「大丈夫です。いかなる時も気を抜くことはしていませんので」
「そうですか。皆様は?」
「皆様は、入浴にさっき行っていましたよ?」
「そうなんですか」
「早く、ゆっくりしたいとのことでした。で、わたくしは、夕食の準備をしておりました。ピーロン様、お帰りなさいませ」
黒瀬は、そう言いピーロンとパウロンに頭を下げる。
慌ててピーロンも頭を下げた。
ピーロンは、パウロンとの再会のことを話した。
「ピーロン様の幼馴染と?そうですか」
黒瀬は、パウロンを見ていた。
「どうしました?」
「いえ、なんでもございません」
(何か、、、変なオーラのお人ですね…。気持ち悪いような感じがしますが、警戒はしといた方がいいですね)
黒瀬は、何か変な感覚を察していた。
パウロンが宿に入った時から、黒瀬は感づいていた。
そして、パウロンの突然の攻撃をかわし、攻撃がすぐに出たという事だった。
その前に、黒瀬はこのことが分かっていたかのようだった。
先程、黒瀬は紅葉達は『先に入浴に行った』と言っていたが、変な気配が宿の方に向かってきている、戦闘になったりすると紅葉達に危害が及ぶために、黒瀬はとっさに紅葉達に、
〈お嬢様達は、先に汗を流してきてはどうでしょうか?ピーロン様もそろそろ帰って来るかと思いますので…〉
〈分かった。皆、先にお風呂に行きましょう〉
というわけだ。
紅葉達がいないことがよかった点。
黒瀬は、最悪の事を予想し動いていたのだ。
「パウロン様は、お1人で観光に来られたのですか?」
「そうです。森とか彷徨っていたら、見覚えのある後ろ姿が見えたので声を掛けるとピーロンだったということです」
「そうでしたか」
「一緒に泊まればいいのでは?」
「もちろん、そうするつもりだよ」
「たくさん話したいことがたくさんあるからね」
ピーロンは、パウロンと話をしていた。
すると、入浴に行っていた紅葉達が帰ってきた。
「あれ?どなた様?」
「これは、すみません。勝手に上がりこんでしまい…。僕は、《パウロン》といいます。ピーロンがお世話になっているみたいで…。ピーロンと幼馴染です」
「そうなんですか」
紅葉達は、すぐにパウロンと打ち解けた。
これまでのことをたくさんの事を話した。
パウロンもピーロンとのことを話をして、ピーロンの顔が赤くなっていた。
「もういいですから!こんなことを皆様がいる前で言われるのは、恥ずかしい…」
「ピーロンが赤くなって、照れてるー」
セラティナがピーロンの頬につんつんしていた。
宴のように騒がしく夜を満喫していた。
ただ1人覗いては…。
◇◇◇
夜風にあっていたパウロンの前に、黒瀬は立っていた。
「あなたは、何者ですか?」
「ん?」
首を傾げているパウロンをよそに、黒瀬は問う。
「あなた、黒いオーラを纏っていらっしゃいますよね?魔族の者ですか?それとも、四天王の人ですか?」
「なーんだ。もう分かっていたのですか…。これは残念…。もう少し遊んでみようと思ったのに」
「ピーロン様が悲しみますよ」
「あいつは、前からうざかったからね。まぁ、幸運だよ。君達、ギルド:モミジにありつけるんだから!」
突風が吹いた。
目の前にいたパウロンは消えていた。
そして、どこからともなく声が聞こえる。
〈近々、君達を潰しに行くから覚悟しといてね〉
(ちっ、気配が消えたか…。やはり、準備が必要ですね…)
黒瀬は、夜空を見上げながら、呟いた。
「もう決戦の時が近いのですね…。四天王…」
まだまだ続きます。




