番外編:ラーガの日常
朝日と共に目が覚めるラーガ。
顔を洗い、着替えて準備をする。
ラーガは、まず起きてすぐに服に着替えて、剣の稽古を始める。
素振り100回、障害物を相手に、戦いをしているようなつもりで、朝から厳しい訓練、稽古をしている。
というのも、ラーガは元騎士。いつもしていることだったため、体からその習慣が抜けていなかった。
だが、して損はない。
いかなる時も騎士は、いつもでも準備をして、戦いに備えなければならない。
「フン!!やぁー!」
ラーガは、呼吸を整えていると、黒瀬がお茶とタオルを持ってやってくる。
「おはようございます。いつもお疲れ様です」
「おはよう、黒瀬。こちらこそ、いつも毎朝、悪いね…」
「いえ、大丈夫ですよ。だって、いつも早起きをして、毎朝2~3時間の間も、ずっと、稽古や訓練をしてらっしゃるラーガ様、凄いと思いますよ」
黒瀬は、ニコリと微笑む。
その言葉に、ラーガは嬉しくなり、微笑み返す。
「ありがとう」
「いつもそうやって、訓練や稽古をしていますから、戦闘でも結構、動けていますし、全体も見えていますから、こちらとしても、戦いやすいのです。それに、ロザ様との連携プレイはお見事だと思います」
「そうか?ありがとう。いつも、感謝や戦闘のアドバイスなど、黒瀬が言ってくれるから、いつも戦闘のことについて考えている。次はそうしようとかね」
「それは、いいですね」
黒瀬は、そういうとギルドハウスへと入って行った。
「朝食の用意でもしに行ったんだろう…。いつもいつも、美味しい食事をありがとう」
ラーガは、黒瀬の背中を見てそう言った。
そして、汗を流し、食堂へと向かった。
◇ ◇ ◇
朝からまた、紅葉の賑やかな声が聞こえてくる。
「だから、どうしていつもいつも…」
「ですから、ちゃんとノックをして、お嬢様のお部屋に入っていますよ?それと、二度寝を毎回しているではありませんか」
「だからって!」
ラーガは、またいつものことかと椅子に座る。
「またか?」
「そうだよ。毎回毎回飽きないよねー。僕は、ゆっくり、静かに過ごしたいんだけどな…」
ロザは、呆れたように紅葉達の方を向く。
「まぁ、仲いい事だからいいではないか。それに、あれがなかったら、逆に心配してしまう…」
「ラーガ?」
「ん?ああ、大丈夫だ」
ラーガは、どこか浮かない顔をしていた。
◇ ◇ ◇
朝食を終えたラーガは、自分の部屋にいた。
今日は、ラーガの妹、ラーナの命日だ。
黒い服に着替え、部屋を出ると、黒瀬が、掃除をしていた。
「ラーガ様、今日がラーナ様の命日ですね。お一人で大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
黒瀬に見送られ、ギルドハウスを出た。
ラーガは、町に行き、お墓に備える花を選んでいた。
(ラーナは何が好きだったかな…)
そう考えていると、ふと、ラーナの事を思い出す。
◇◇◇
「ねぇ、お姉様。このガーベラ、凄く可愛いですね」
「そうだな。ラーナはこの花が好きか?」
「うん!ガーベラの花言葉は、『希望』・『常に前進』なんだって。まるで、私達みたいね。私の『希望』は、お姉様だもの。それから、お姉様は『常に前進』ですから、私達二人にピッタリなお花でしょう?」
◇◇◇
ラーナは、凄く嬉しそうな顔をしていた。その嬉しそうな顔を思い出した。
ラーガは、ラーナの好きな花、『ガーベラ』のピンクを選び、ラーナが眠るお墓へと向かった。
ラーナのお墓は、海の見える所で、潮風が心地良い。
「ラーナ、また来たよ。ラーナの大好きなお花を持って」
ラーガは、ギルドの事や、紅葉達の事をいろいろ話した。
そして、ラーガは悲しそうに、最後に…。
「ラーナ、君が生きていたら、ギルドに一緒に入っていたら、どんな一日が待っていたのだろうか…。どの日も一日、一日をそのことを考えてしまう…」
ラーナのお墓を見るラーガを心配そうに見ている女性がいた。
それは、ラーナだった。
毎回、毎回、その悲しそうに最後に見るラーガを謝る事しかできなかった。
「お姉様、ごめんね…。一人にさせて。でも、今はお姉様には、仲間がいる。だから、天国でいつも見守っているよ」
ラーナは、ラーガを優しく包み込むように抱きついた。
「っ!!」
ラーガは、何かを感じた。
スーッと入っていくような感じが。
周りを見渡すが、誰もいない。
「ラーナ…。君なのか?いつも、傍に居てくれているんだな…。また、お墓参りに来るよ」
ラーガは、ラーナのお墓を見て、微笑み、町へと戻って行った。
ラーナは、お墓を後にするラーガの背中を見て、ニコリと微笑んだ。
「またね。お姉様」
◇ ◇ ◇
ラーガは、またクエスト探しに町のギルドハウスに向かう。
「さて、今日も頑張るか」
今日もまた、クエスト、ダンジョンを片っ端から受けるラーガだった。
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まだまだ続きます!




