43 黒瀬、本気出す⑤
ラジリスタが最初に、攻撃を仕掛ける。
――――エグゼイド・インパクト!!
「…っ!!」
(いきなり、凄い技を出してきますね…。あれをくらうと結構なダメージになりそうですね…)
黒瀬は、ギリギリのところで、攻撃をかわした。
――――サイレント・ウォーム!!
――――月影刀!!
黒瀬も攻撃をしかけるが、技をラジリスタにヒラリとかわされる。
(そう簡単には、当たらないか…。では、、、)
――――シルバー・シールド!!
――――ルナ・ライト・クラッシュ!!
黒瀬の技をまたもや、ヒラリとかわすラジリスタ。
そこにまた、黒瀬は攻撃を続ける。
――――ブラック・ウイング・ランサー!!
黒瀬の漆黒の槍が降り注ぐ中、ラジリスタはよけていく。
――――ファントム・ブレード!!
――――月影刀!!
黒瀬は、ラジリスタにこれでもかと攻撃を次々に出していく。
ラジリスタは、その攻撃には、もろに受けたが、ダメージはほぼなかった。
「やはり、これくらいの攻撃では倒れませんね」
「随分とレベルを上げてきているようだな。あの時とは、格別に違う。もう少し、俺を楽しませろ!」
ラジリスタは、攻撃を仕掛けてくる。
「わたくしも一緒ですよ?もう少し、わたくしを楽しませてくださいね」
黒瀬は、ラジリスタの攻撃を阻止しながら、ニコリと微笑んだ。
黒瀬が、この段階で微笑むということは、まだまだ余裕があるという証拠。
まだまだ、戦いと楽しんでいたのだ。
あらゆることに、気をつけながらも、戦いながらも周囲の警戒を怠ってはいなかった。
常に、感知能力拒否、透視能力を発動している。
その上での攻撃は、普通の人には、結構無理があるが、以前のドラゴンのクエストを受けた際に、いろんな想定があったために、ラジリスタ相手に、戦えているということ。
黒瀬には、いろんな秘策を考えていた。
もしも、さっきの陣を誰かが先読みをしていて、生き残っていたらのその後のことを考えていた。
黒瀬は、この戦いを今までの戦いよりも楽しんでいた。
それは、最初にラジリスタに会った時から、倒したいという思いが湧いていたからである。
「フン!」
黒瀬は、体力温存のために、いつも持ち歩いているナイフを投げていく。
それにラジリスタは大きな剣で弾き飛ばしていく。
「執事よ。まだまだこんなもんではないだろう?まだ隠しているのではないだろうな」
「そんなことはありませんよ?今まで、あなたを目標にあらゆるクエストをこなしてきたのですから、いろんな想定を考えながら、戦うということ。それを、いつラジリスタ様と、こうして戦える日を夢見ていたのですから…。わたくしは、今がどんな戦いよりも楽しんでいます!」
黒瀬は、凄く喜んでいた。
笑いが止まらなかった。
それを見ているラジリスタは、実はこの執事は本気を出したら、やばいのでは…?と思うようになっていたが、2人ともが、それよりもお互いが強い相手求め続けた結果の戦いのため、楽しいという気持ちが大きかった。
どんどん戦いはエスカレートしていった。
大きな力がぶつかり合う中、少し遠い場所に、ルトはその様子を見ていた。
「ラジリスタ様、、、」
そう呟くと、ルトは急いでラジリスタの方へと向かっていった。
(あの執事を侮ってはいけません!)
森を急いで抜けていく。
森を抜けた先には、レンガの大きな門が見えていた。
そこを飛び越えて行く。
少しでも早くラジリスタの傍にとルトは焦りもあった。
(大きな力が、、、すごくぶつかり合っている、、、。街もこんなにもボロボロに、、、。誰もいないのが幸いだった、、、。あのラジリスタ様を相手に、互角に戦っているというのか。執事、、、どこまで力をつけてきたのだ?そういえば、俺と戦っているとき、息は上がっていなかったぞ!?まさか、、、俺より強いというのか、、?もしかしたら、ラジリスタ様を、、、。それはいけない!ラジリスタ様を亡くすと、あの計画がだめになってしまう!それに、俺の主はラジリスタ様だ!)
一方の黒瀬とラジリスタは、空中戦の真っ只中だった。
お互い一歩も譲らない。
両者の攻撃が飛び交う。
ーーーーシャドウ・クラッシュ!!
ーーーーエグゼイド・インパクト!!
2人の攻撃が、ぶつかり大きな爆発音がなる。
(やはり、一筋縄ではいかないようですね、、、。ですが、今までの戦いよりは楽しいものですね)
黒瀬は心の中で笑いながらそう思った。
今までは、力をあまり出さないようにはしていたためである。
「なぁ、執事よ。今までにない戦いだ。執事のような強いやつがいればあいつを、、、止められるのに、、、」
「あいつとは一体誰のことです?」
「いやっ、、、何でもない、、、。ただの独り言だ!」
(まだ何かありそうですねー、、、。これは今後も楽しい戦いが出来そうですねぇー)
また、黒瀬は不気味な笑みをこぼす。
(あの執事、、、今ので何か分かったのか??だが、この戦いが終われば、全て明かそうか、、、)
ラジリスタは、黒瀬がこぼした不気味な笑みは何だったんだろうか?
どういう意味の不気味な笑みだったのか?
黒瀬のことがなかなかよめれないでいた。
その頃、ルトは2人の近くまで来ていた。
魔力のぶつかり合いが最も強い。
(やはり、ラジリスタ様は全力で戦っていらっしゃる、
、、。)
「くそっ!素早い、、」
「もう終わりですか?組織の上に立つ者が、このようなものでは、守れるものも守れませんよ?」
「黙れ!お前に何がわかる!?」
ラジリスタはやみくもに、黒瀬に攻撃をする。
―――――月影刀!(ルナ・シャドウ・ソード)
「…っ!」
ラジリスタは、黒瀬の攻撃をとっさに防いだが、その反動で飛ばされた。
上手く防ぎれてなかった。
「クッソ!!」
「これで終わりです」
ラジリスタが顔を上げると黒瀬がそこにいた。
「あなた達がしてきたことは、許しがたいことです。死んで罪を償いなさい!」
「ちっ、、、」
黒瀬が剣を振り下ろした。
ラジリスタは、もうこれで終わりなんだと目を閉じ、そう思ったとき、
「ぐっ、、、」
ラジリスタの目の前には、ルトがいた。
「ルト様、あなたはやはり、この方の忠実なのですね」
「お、お前、、、」
「もっとラジリスタ様の側にと思いましたが、だから、ずっと守ってました。でも、これで終わりみたいですね」
「あなた方に、一つ要件があります。ルト様を助けてほしくば、わたくし達の仲間になってくだされば、皆様の思うように生きていけばいいと思います。倒したいお方がいるのであれば、わたくし達も、その方を追っています。少しでも情報を集めたいのです」
「執事、、、」
「ラジリスタ様、、、」
「…分かった。少しでもいいのなら、情報を伝えよう」
「交渉成立ですね」
黒瀬は、回復の魔法陣を発動した。
―――――ヒール・フィールド!
レギランスのギルドハウス全体に広げた。
シルバーン、イノンも回復の魔法陣によって傷が治った。
「えっ?」
「何これ、、?どうなってるの?」
「執事これはどういうこと?」
「皆様が降伏をしないのならば、皆殺しをしようと思っていたのです。傷みつけるまで、全力で叩きのめすというのがわたくしのもっとうでございましてー」
黒瀬はキラキラとオーラを放ちつつ、笑顔でそう言った。
「腹黒が!」
「まぁ俺達が、執事お前の手のひらで踊らさせられていたということか、、、。だから、そんなにも余裕で、、、」
ラジリスタにそう言われると、黒瀬はニコリと笑みを見せた。
「では、約束ですよ?裏切ったらどうなるか、、、」
「わかったよ。もう負けは負けなんだ。執事の思うようにすればいい。ただ一つ。一つだけ頼みがある。黒幕のトドメは、俺が取る!俺にやらせてくれ」
ラジリスタは、じっと黒瀬の目を見て、何か決心をしたかのように思えた。
「ラジリスタ様、、、。それが、本当にできるのですか?その時がくれば、わたくしが見張ってますから。ちゃんと、殺してくださいね」
黒瀬は、ニヤリと笑みを見せ、ラジリスタに言った。
その笑みは、黒いオーラが漂う黒瀬だった。
何か恨みを持つかのように。。。
「しかしながら、ここからどうやって現実世界に戻れるのでしょうか、、、」
「魔力をさっきので、使い切ってしまったから、ゲートは開けないし」
と、悩んでいると、
「何事かと思ってきてみれば、黒瀬さんではございませんか!!どうしてここに?」
そこには、アヌビスがいた。
アヌビスは、魔界の警備兼、護衛をしている。
そして、サラの精霊でもある。
呼び出しがなければ、職に戻っている。
「これはこれは、アヌビス様。お仕事中ですか?」
「いや、、まぁそうなんですが、、、」
(聞いてるのはこっちなのに、、、)
「わたくしも紅葉お嬢様から、少し頼まれまして、、、」
アヌビスを見て、ニコリと微笑む。
だか、アヌビスは、何か良からぬことをまた独自に。と思っていた。
(黒瀬さんの笑みはよく見といたほうがいいとサラ様からの伝言、、、。あの笑みはやばい微笑み、、、。それに、周りを見渡すと建物がボロボロになっている。全部、黒瀬さんの仕業だというのか、、、。本当にこの人だけは、怒らせないことですね)
アヌビスは、静かにため息をついた。
黒瀬はアヌビスにここから、異世界に戻れないかという相談を持ちかけた。
「でも、そちらにいらっしゃるラビリスタ様がゲートを開けるかと思いますが、、、」
「この執事との戦いで、もう魔力がないのだ。だから、どうしようかと、悩んでいたところにお前が来たんだ」
「でしたら、私がゲートを開いて、異世界に戻してあげます」
「それは、助かります。ラジリスタ様、ユーネリア様はどこですか?」
黒瀬はラジリスタに聞いていると、シェネルがユーネリアと歩いてきた。
「あっ、黒瀬さん。助けに来てくださったのですか?」
「はい。お迎えが遅くなり、申し訳ございません。いろいろと立て込んでいまして、、、」
「でも、迎えに来てくれた。ありがとうございます。私は何もされていません。この、シェネルさんと遊んでました」
「そうでございましたか」
黒瀬はニコリと笑みを浮かべ、シェネルにお礼を言った。
「シェネル様、ユーネリア様と遊んでいただきありがとうございます。また遊んでくださいね」
「ユーネリアが寂しそうにしていたから、、、」
と、返した。
「さぁ、ユーネリア様、紅葉お嬢様が待ってますよ。一緒に帰りましょう」
黒瀬は、手を差しのべる。
ユーネリアは嬉しそうに、手を伸ばした。
それを見て、アヌビスは、さっそく右手を出し、ゲートを開いた。
「ありがとうございます」
黒瀬は、アヌビスに礼を言い、ゲートに飛び込んだ。
――――――――異世界に、魔界への繋がるゲートが開いた。
紅葉達は、驚いて警戒をしていた。
ゲートの中から、黒瀬とユーネリアが出てきた。
「ユ、、、ユーネリア!?」
「…」
他のセラティナ達は、びっくりして、何も言えなかった。
「ただいま、紅葉」
「おかえり、ユーネリア」
2人は抱き合って喜んだ。
その後、ラジリスタ達がゲートから現れた。
レギランスの皆が現れ、セラティナ達は武器を構えた。
黒瀬が間に入り、
「皆様、もうその必要はありません。大丈夫ですよ」
「どういうこと?」
「話は、ちゃんとわたくしが通してます」
黒瀬はニコリと微笑んだ。
(また、なんかやらかしたな)
セラティナ達はそう思った。
「何?その話は通したって、、、。黒瀬、、、また?」
「はい。お嬢様のためならば、何でも致します。だから、わたくしが魔界に行き、、」
「用は、何も応じなかったら、“皆殺し”するという名目をつけて、1人、魔界に乗りんだってわけか、、、」
「よくもまぁ、考えたもんだよ」
黒瀬の話を折って入ってきたのは、メレストロとラグールだった。
読んでいただき、ありがとうございます。
投稿のペースが減っていきますが、頑張ります。
まだまだこの話は続きますので、よろしくお願いしますm(_ _)m
ブックマ、評価☆→★にお願いします。
楽しんで読んでいただけるよう、なるべく頑張って書いていきます!