37 爆発は芸術!
紅葉達は、メレストロが放った大魔法、大爆裂魔法・アグニニュートから逃れ、ダンジョンの外に出ていた。
「全く…。だから、あれほどあまり使うなと言ったのに…」
ラグールが、呆れて言っていると、紅葉が震えた声で、
「あの魔法は何!?」
その他のセラティナ達は、唖然としていた。
「てか、メレストロさんは?」
「んっ?」
皆が、周りをキョロキョロしていると、ロザが何かに気づいて言った。
「あれ…」
ロザが、指さす方向に、屋上階の建物がメレストロの爆発によって、壊れ瓦礫が落ちていた。
キリッとして、大爆笑しているメレストロが、そこにいた。
「あははは…。これぞ!芸術!!大爆発の芸術だよ!!」
それに、紅葉達はドン引きしていた。
「あれって…。やばいんじゃない?」
「だなぁ…。報酬が、少なくなる可能性がある」
「えー!!」
「これは、仕方ない事です。あの魔物を倒しておかないとダンジョン攻略なんてできませんからね」
「だから、黒瀬に言っただろ?止めろって。なぜ、止めなかった?」
「これは、、、」
黒瀬は、少し間をおいて、満面の笑みで、
「見てみたかったからですよ。クスッ。それに、ラグール様が、青ざめるところが見たかったからです。有名になってますよー?大爆裂魔法…。アグニニュート。すべてを焼き尽くすと言われる…。その笑い声は、不気味で、残酷で、楽しそうに笑う者。わたくしは、見て思いました。なんて、楽しそうな技なんでしょう」
と。
ラグールは、黒瀬を見て、その顔が、目が、メレストロに似ていると思ったのだった。
(こいつも、あいつと一緒の分類に入るのか…?黒瀬には、頼まない方がいいなぁ…)
ラグールは、そう思いながら、紅葉達の後を追って、町へと戻った。
◇
◇
◇
―――――【メリウス】国に、魔物討伐、クエスト、ダンジョン攻略が無事に済んだことを報告に行った。
「よくぞ。無事に戻って来て下さった。ダンジョンの屋上の事は、こちらでなんとか致す!だから、報酬は変わらず与える。魔物のせいで、そうやらなければならなかったのだから…。目的も無しに、あんな大爆裂魔法を放たんだろう?」
「さすがの、国王様でございますね。ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
「しかし、あの大爆発の魔法以前にも見たことがある気がするのじゃが…?」
「そ、それは…」
「まぁ、そんなはずはないと思うのがね。あまり、ツッコまないでおこう」
(ちっ!つまらん…)
黒瀬は、心の中でそう思った。
表情をあまり変えないのが黒瀬だからだ。
「あの…。国王様に少々、お聞きしたいことがございまして…」
「ほう。なんじゃ?」
紅葉達は、これまでの事、魔導書の事を話した。
すると、国王は言った。
「それならば、昔、少し話に聞いた事がある。確か…。魔導書があと4冊あると言われていた。それは、魔界の魔王を封印の鍵になっていたらしい…」
「あと、4冊もあるのか?」
「ダンジョンやクエスト、迷宮をクリアすれば手に入るだろう…」
「なるほど…。分かりました。貴重なお話をありがとうございます」
紅葉達は、ボルテルト国王に、礼を言うと、王室から出ようとした時、ボルテルト国王から、
「また、昔のような事が起ころうとしているのか?」
「それを、阻止しようとしているのが、私達、ギルド【モミジ】なのです!!」
「ちゃんと、平和な国が訪れるように致します!」
王室を出て行った。
「危なかったですねー」
「バレるところだった…」
「メレストロさんの不気味な笑いが、怖かった」
「あれが、メレストロの本性だよ」
「ラグールさんが、全力で止めるのが改めて分かったよ」
「だから、あれほど言ったのに…」
「今度からは、ちゃんと守ります!」
紅葉達は、王宮の外にいるメレストロ、ラグールと合流し、旅を続けた。
◇
◇
◇
――――次の町に行く道中。
紅葉達は、【メリウス】国から離れた町に行こうとしていた。
その途中に、秘密の洞窟があり、ダンジョンがあるということが分かったからだ。
「この近くに、確かダンジョンがあると、書いていたのだが…」
「そうなのか…?」
紅葉達が、あまりを見渡していると、紅葉があることに気が付いた。
「あれ?黒瀬の姿が見えないけど…?」
「それなら、、、」
ピーロンが、何か伝えようとしていた時、
「わたくしなら、ここに」
音もなく、急に黒瀬が現われた。
「うわっ!!いきなり、出てこないでよ!心臓が飛び出るかと思ったじゃない!?」
「これは、失礼致しました」
紅葉が、黒瀬を見た時、脇に1冊の魔導書を持っていることに気が付いた。
「黒瀬…。それは?」
「これで、ございますか?これはですね。メレストロ様が、大魔法を放ったダンジョンの10階にまた、行ってみたのです。そうしたら、10階の魔物も、一瞬で倒して、倒しまくった時に、この魔導書が出てきたのです」
「ちょっと、待って?あの10階の魔物…。私達でも、手こずったのに、1人で倒してきて、しかも…。その1冊の魔導書を手に入れるとは…」
(これは、凄いねー。黒瀬、こいつは…)
ラグールが1人、黒瀬の行動に疑問を持っていた。
だが、これにはすぐに気が付いた。
「お嬢様のために、この1冊の魔導書を持ってきたのです」
(それに、褒めてくださると思って…)
黒瀬の顔が、一瞬緩んだのが分かったラグールはこれを見て、唖然としていた。
(そういうことか…。これは、面白い事を考えたぞ…)
ラグールは、1人にニヤついていた。
紅葉達は、黒瀬がとってきた魔導書を見て、やはりそこには、メレストロ、ラグールの名前が記されていた。
「やっぱり、メレストロさんとラグールさんの名前が本当に記されている…」
「有名になるのも無理もない。だって、本人がここにいるのだから」
「まぁ、そうだな」
「懐かしいね。私達が書いた魔導書が1冊、また1冊と集められて、平和になるカギとなるなんてね」
「まぁほぼ、俺達とメレストロが、破滅に追い込んだのだがね。まぁ、もっと言うのなら…。どちらとも消そうとしていた。だから、逃げ出した。」
「えっ!?」
ラグールのその一言に、紅葉達は衝撃を受けた。
「なんで?」
「それは、天使、神族、魔界の魔王との対立を止めるにはそうするしかなかったんだ。俺達が、滅ぼしかけたんだ…。この世界をリセットするために…」
「結果的には、神族が勝ったことになっているが、魔王もどこかで生きている…。絶対に」
「だから、わたくし達が探しているのですよ?メレストロ様も、ラグール様も、この世界の平和を願っているのでしょう?」
「ああ。そうだが…。平和を本当に…?」
「ラグール、どうするのか…。お手並み拝見と行こうか」
メレストロがそう言うと、ニヤリと笑った。
(そう言えば…。どうこの世界を救うのか…かぁ。フンッ)
「んっ?」
「1つ大きな力のあるものがいるねー」
「ああ…。まさか…」
「そのまさかかもねー」
メレストロ、ラグールは、何かに気づき、紅葉達に先に行くように伝えた。
その様子を見ていた黒瀬が見ていた。
メレストロ、ラグールは、森の中へと消えて行った。
黒瀬は、密かに2人の後を追って行った。
読んでいただきありがとございます(__)
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まだまだ続きます!!




