33 白魔導士と黒魔導士
少々、展開が早かったかな…。
「まさか…な…。さっきまで、読んでいた本の作者さんに、こんな早く出会うとは思わなかった」
とセラティナがびっくりして言った。
するとメレストロが、
「いやっ。普通に、前を通っていたらさ、呼ばれるんだもん。そりゃあ、返事しちゃうよねー。ある意味、有名人だし…」
「そうですね…」
「メレストロさん、ラグールさん。さっそくですみませんが…。お話を聞いてもよろしいでしょうか?」
黒瀬が、いつになく真剣な顔をして言った。
その顔に、メレストロ、ラグールはお互いに顔を見合って頷き、話をした。
「話してもいいが、ここではちょっとね…」
そう言うと、メレストロ、ラグールは、紅葉達を隠れ家に案内した。
◇◇◇
―――メレストロ・ラグールの隠れ家にて。
洞窟の近くに隠れ扉のような物があった。
メレストロが呪文を解くと、扉が開いた。
そして、紅葉達はメレストロ、ラグールに案内され、アジトの奥へと進んで行く。
奥に進んで行くと、小さな扉があり、そこを開くと広い部屋についた。
「さぁ、どうぞ。適当に座ってくださいな」
「ありがとうございます」
「うわー!扉との大きさと全然違う…」
「広くていい所ですねー」
「そうかしら?ありがとう。でも、アジトを転々としないと狙われると面倒な事になるからね…」
「そうなんですか?」
メレストロは、紅葉達にお茶を出す準備をしながら、話を続けた。
「で、私達に何か用事?」
「はい。先程、訪れた国、【ヴェリスタ】の女王様に、教えていただいたのですが…。その前に、自己紹介を…」
紅葉達の自己紹介が終わり、黒瀬がこれまでの事を、メレストロ、ラグールに話をした。
【サニーライム】村に謎の魔導書があり、それをレギランスに持ち去られた事、そして、クロナが言っていた天使と悪魔の争い、戦争が起こった事等々、詳しく順をおって話をした。
メレストロ、ラグールは、黙って首を上下に振りながら、聞くことをあれば、戸惑い、驚きの顔を見せながら、黒瀬の話を聞いていた。
「ふむふむ。要するに、紅葉、黒瀬は、異世界から召喚されたんだと思う。そこにいるピーロンには聞かなかったのか?」
「そ、それは…」
ピーロンの額には、冷や汗がかいていた。
「俺達も、あの天使と悪魔の戦争の後、ゼウス様は力を使い切ってしまい、今は長い眠りについていらっしゃる。魔王様も封印され、誰もその封印を解くことができない…」
「メレストロさん、ラグールさんが、知っている事を教えてほしいんです。ここの世界は、なんなのか?どうして私達は、異世界に飛ばされてしまったのか?」
「…。そ、それは…。非常に言いにくい事なんだが…」
メレストロは、言葉を詰まらせながら、紅葉達に話した。
「ゼウス様が、呼んだんだと思う。紅葉と黒瀬が来るときに、見た魔法陣は、おそらくゼウス様が深い眠りにつかれる寸前に、魔法を使ったんでしょう。最後の魔法を…。この先の、異世界の未来を君達に託したんだろう。じゃないと、そこの案内人、ピーロンがずっとついているわけがないからなぁ。なぁ、ピーロン」
「ひっ!!ご…ごもっともでございます」
「まぁ、お前の事だ。最初から、重たい話にするのはできなかったんだろう?徐々に、異世界の事を話すつもりだったんだろう」
「そうです」
「しかも、ピーロン…。お前は、ゼウス様直々に命じられたはずだ。もう1人の案内人と共に…」
「えっ!?待って!じゃあ、ピーロン!あなたが、1番知っているのでないの?」
「ですが、メレストロ様、ラグール様よりは、詳しい事を知っていないですよ…。私は、紅葉様、聖さんが魔王の所に案内するのが、私の役目でございますから…」
ピーロンが、胸をポンっと叩いた。
「あの…もう1人の案内人と聞きましたが、どなたなのですか?」
「あ…。それは、後に会えるかと思いますが…」
「まぁ、あいつは気分やだからなぁ…」
ラグールは、ため息をついて言った。
「もっと、詳しい事を知りたいのですが…。せっかく、その時の事をよく知っている方と、話をしているのですから」
「まぁ、そう焦らなくて、ちゃんと話すよ。そこにいるクロナ…だったかな?その後の魔界がどうなったかもねっ?」
メレストロ、ラグールは、順番に話を始めた。
まず、最初に話をしたのは、神族についていた白魔導士のメレストロが話をする。
神族は、魔界の事を嫌っていたが、天使と悪魔を喧嘩をしない、殺し合いもしないという同盟を話し合って決めた事を守っていたが、それをよく思っていない魔界の魔族に、天使が殺された。
その情報は、すぐさまゼウスの耳に入った。
それを聞いたゼウスは、「話が違う!」と激怒し、魔界に光の矢を放った。
魔界の魔族を全滅を目的とし、悪魔と戦う能天使に命じた。
そして、四大天使・ミカエル,ガブリエル,ラファエル,ウリエルには、逃げ惑う魔族を殺せと命じ、魔界は、1回は神族によって、滅ぼされた。。。
に、見えた。
ここからは、魔族についていた黒魔導士のラグールが話す。
ラグールによると、魔王がその四大天使に倒される寸前に、4人の魔族を封印し、自分の分身として、魔王は殺された。
その4人が、つい最近になり、封印を解かれたと聞く。
魔族の者が、封印を解いたのではないかとされている。
誰が何のために、その封印を解いたのか分からない。
ただ、このことを未来の誰かが魔王が復活すると、もし、倒すとなったら、、、と思い、本に2人で示したのだ。という。
「でまぁ、ゼウス様、魔王様の元から離れた私達は、自由なったからさ。あの伝説を伝えつつも、今、旅を続けている。それに、誰が魔王の封印を解いたのかも調べないといけないからね」
「調べていた最中だったわけだ」
「そうだったんですか…」
紅葉は少し考えて、メレストロに聞いた。
「メレストロさん、ラグールさんと一緒の目的なら、私達と行動を共にしませんか?」
「そうだね。もっと、いろいろ聞きたいし」
「そうすれば、調べやすいという事ですね」
皆が紅葉の案に賛成した。
メレストロは、困った顔をして紅葉に言った。
「紅葉、それはいいが、私達がいるとなったら、もちろん危ない目に合うのは間違いないが、そこは大丈夫なのか?」
「それは、心配ご無用です。わたくしが、紅葉お嬢様、皆様をお守り致しますので」
「なんとまぁ、頼もしいものだ」
「メレストロ?本当に大丈夫なのか?」
「だって、私達はもう自由なんだからさ。それに、この人達に頼んだら、本当に平和な1日が訪れるかもしれないだろう?」
「まぁ、それもそうだな…。俺ら2人だけじゃあ、魔王4人は、きついし…。ましてや、あの魔王様の残した4人だからな。強いに決まっている。2人だけでは、無理なのは分かっているし…」
「じゃあ、満場一致だな」
「ああ。俺達も一緒に旅をするよ」
「ありがとうございます。それは、助かります」
紅葉達は、メレストロ、ラグールにお礼を言って、頭を深々と下げた。
ある程度の情報は、メレストロ、ラグールのおかげで、揃った。
だが、レギランスの目的が分からない今、情報集めに慎重にしないと、と思った。
「あっ、そうそう。もっと言うなら、紅葉達が今、回っている情報集めに、国を周っているのは正解だと思うよ?」
「えっ?そうなんですか?」
「国回っていくと、面白いものが分かるからねー。でも、レギランス…だっけ?あいつらも、取った魔導書の事について調べているという話も聞いた。だから、早くここを出て、次の国に行って、情報を集めた方がいいよ」
「そうですね…」
「メレストロ様…」
黒瀬は、言いかけたがやめた。
自分が、メレストロが考えていることを、見張っていたらいいと思ったからだ。
貴重な情報を持っているメレストロ、ラグールと行動を一緒ならば、今後の事も聞きやすいと悟った。
メレストロは、黒瀬が言いかけたことについて、少々疑問に思ったが、あえて言わないようにした。
全部、紅葉達に異世界の事を詳しく言ったら、面白くなくなってしまうと思った。
(ここは、ゼウスと魔王の箱庭みたいなものだ…。この謎が、この子達に分かるのかな?)
メレストロは、心の中でニヤニヤしながらそう思った。
いつかは、紅葉達が異世界の謎、そして、平和を取り戻すと思い、メレストロ、ラグールは紅葉達と共に、旅を一緒に行って、それをまじかで見たいと思った。
ギルド、【モミジ】を全体的に見て、このゲームがクリアになるんではないか、このギルドなら魔王を討ち、紅葉達が異世界のトップになれば平和が訪れるのでは…?と。
そうメレストロの、頭の中でそう思った。
だが、メレストロは密かに、
(天の四大天使、その他の天使、神族たちが黙ってはいないだろう…。そうなれば、どっちもめんどくさくなりそうだな…。長年、神族の魔導士をしていれば…)
天使は聞く耳を持つが、聞いてもいけないことはすぐにでも、攻撃する。
逆に、悪魔は聞く耳を持たないから、話をへし折ってすぐに、攻撃をしてくる。
これに関しては、仕方がない事だ。
神と悪魔との違いだ。
「メレストロさん?大丈夫ですか?ボーっとしていて…」
「ああ…。大丈夫だよ。気にしないで」
「紅葉、次の国は行くのは決まっているのか?」
「そうですね。【メリウス】国に行こうと思っています」
「では、早く向かうとしよう。暗くなってからだと魔物がたくさん出るエリア出てくるからな」
「そうですね。では、皆!【メリウス】国にレッツゴー!!」
紅葉達は、次の国、【メリウス】国に向かう事にした。
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走り書きをしているので、誤字・脱字があるかと思います。
まだまだ、続きます!