表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちのドS執事は異世界でも超最強  作者: 真皓 心
第2章
32/79

31 天使と悪魔の争い

 紅葉達は、【ヴェリタス】国の宮殿へと向かっている途中のその間、クロナの話になった。


「クロナのあの力は、なんだったの?」

「…。あの力は、両親から付け継いだ者でして…」

「両親?」

「はい…。わたくしの両親は、父が魔族で、母が天使でした…。魔族である父の力をわたくしが受け継いで、天使である力を、妹が受け継いだのです。両親は、神族と魔族の戦争で亡くなりました。妹は、わたくしを助けようと、その力を使って…」

「そうだったの…」

「もう少し、詳しい話をしますわ」


 クロナはもっと詳しい事を紅葉達に話をした。


◇ 




 クロナが産まれる随分前の事。

天使と悪魔の戦争が始まろうとしていた頃。

クロナの両親が、密かに会っていた。


「シルーラ、こっちだ」


 クロナの父、【グラジオ】は、木の影に隠れていた。


「グラジオ…。私のお父様、お母様を説得しないと、この先も平和は訪れない」

「これは、俺も思っている。戦争を起こさないためにも…」

「話し合いをして、天使と悪魔も、分かり会えることを…」

「ここにいたのか、グラジオ!」

「その悪魔から離れなさい。シルーラ!」


 グラジオとシルーラが周りを見ると、天使と悪魔が睨み合うように、2人を囲んでいた。


「どうして、神族がここにいるんだ?天使が、立入るところではないぞ!?」

「待ってくれ!俺が呼んだんだ。話し合うために、呼んだんだ。だから、シルーラは違う!」

「ちゃんと、話し合えば、戦争なんてしなくてもいいんです!犠牲を出さなくてもいいんですよ?」

「うるさい!堕天使風情が!!」

「魔族は、口が悪いから、話にもならないんだよ!」

「だからって、戦争を起こすのは、おかしいと思うんです!!ちゃんと、お互いの話を聞いたりして、話し合わなくちゃ!」

「生意気な!」


 グラジオの父親が、シルーラ目掛けで攻撃をした。

シルーラは、目を紡いだ。


「うっ…ぐっ!!」


 シルーラが目を開けると、グラジオが、シルーラを守っていた。

グラジオの背中には、軽い火傷のようになっていた。


「グラジオ!?」

「グラジオ…。お前…」

「こ…これで、分かったでしょう?」

「俺はなんて言われようと、シルーラと結婚する!神族と、魔族は関係なく!」

「だが!」


 グラジオの父親が言おうとしたとき、シルーラの父親が口を開いた。


「ロフトロス…。今の息子の行動を見ていなかったのか?娘を守ってくれた。何ともなかったら、娘を守らないだろう…。これを見ても、何も思わないのか?」

「だが…」


 グラジオの父親は、グラジオの目をジッと見ていた。

そして、何かを感じ取ったのか、グラジオに父親は言った。


「わ、分かった…。分かったよ。グラジオよ、その娘をちゃんと守るのだぞ?」

「親父…。いいのか?」

「あぁ…。その子も、グラジオの事を心配して、回復魔法もかけているし、、、。2人の結婚を認めよう…」


 その言葉に、グラジオは嬉しくなり、シルーラと喜んだ。


「ありがとうございます」


 シルーラは、グラジオの父親にお礼を言った。

周りの天使や、悪魔達も喜んでいた。


◇◇◇


 それから、1年が経ち、クロナ、シロナが産まれた。

双子だった。

平和に暮らしていたがある時、魔王の怒りをかった神族が殺された事に、ゼウスが怒り戦争が起こっていた。

西側が神族によって壊滅状態にあった頃、グラジオの父親が、シルーラの父親を通信魔法を使い、話をしていた。


「もう、西側の魔族は壊滅した。徐々にこちらに来ている…。私達が、巻き込まれるのも時間の問題だ。どうする?」

「ゼウス様には、頭が上がらないからなぁ…」

「私もだ…。せっかく、私達の孫も産まれて、これからの時に、こんなことになってしまった…」

「私達は、我が子を守らなければならない…」

「そうだなぁ…」


 そして、グラジオ達の所にも争いがやってきた。


「シルーラ!2人を頼んだよ?」

「グラジオ…」


 グラジオは、3人を抱きしめると、襲い掛かってくる魔族を倒しに行った。

シルーラは、2人を守りながら、隠れ家に向かっている所だった。

魔族の攻撃がシルーラに当たりその場に倒れた。

2人は、泣きじゃくっていた。

泣きじゃくる2人にシルーラは、力を振り絞り言った。


「ク、クロナ…。絶対…シロナを…守るのよ…。シロ…ナ…。クロナを支えてあげて…。分かったわね?」


シルーラはそう言うと、息を引き取った。


「お母様…。お母様…」


何度も呼んだが、シルーラは2人の名前を呼ぶことはなかった。

クロナは、怒りを覚えた。

魔族達を倒していった。

それは、シルーラが言った事、妹・シロナを守るためだった。


――――――ガルルル。


魔族を倒した時、クロナは正気に戻っていた。


「シロナ、大丈夫?」


クロナが気にかけた時、


「お姉様!!」


――――――グサッ!!


「えっ…?」


まだ、倒しきれてない魔族にシロナは刺された。

シロナは、その場に倒れた。


「シロナ!!」


クロナは、すぐにその魔族にとどめを刺した。


「ごめんね…。お姉様…。くっ…」

「シロナ…。もう喋らなくていいから…」

「1人ぼっちにさせてしまうね…。わたくしの事は大丈夫だから…」

「お姉様…。私はちゃんとお姉様の傍に居ますから。1人ぼっちなんて思わないで…?」

「シロナ…。ダメだ…。行かないで…」


シロナは、クロナに微笑むと光に包まれ、クロナの中に入っていった。

クロナの脳裏に、シロナの言葉が囁いた。


〈ずっと居るよ…。お姉様の傍に…〉


クロナは、母親の亡骸を埋め、その場を後にした。









「という訳でして…」

「いや…。サラっと言ってるけど…。天使の最上級である【ゼウス】と、悪魔の最上級【魔王】との争いに巻き込まれるって、相当よ?」

「クロナ…。大丈夫?」

「だ、大丈夫ですよ。両親や妹が亡くなったときは、絶望しかありませんでしたし…。1人ぼっちになってしまった…。と思っていたあの頃とは、今は違います!皆様といて、本当に毎日が充実しています。本当に楽しいのです」


 クロナのその言葉に、紅葉達は微笑んだ。


「クロナ。ずっと、私があなたの傍にいてあげるから…。私達を家族だと思ってもいいから」


紅葉は、ニコリと笑った。

そこに、黒瀬が水を差すように、


「ですが、お嬢様。わたくし達はいつか、現実世界に戻らなければなりませんよ?」

「でも、帰れるとは限らないじゃない!1人になって、凄く寂しいのは私もよく知ってるから…」


 紅葉は、幼少期の事を思い出していた。

紅葉の両親は、いつも忙しかった。

夜帰ってくるのが遅かったり、或いは、会社に泊まりそのまま、帰って来ないこともあった。

紅葉を寂しくさせないよう、今の執事、黒瀬を雇ったのだ。

紅葉の両親は、いつも心配していた。

気にもかけていた。

一緒に居れる時は、なるべく一緒に過ごしていた。

会社が、忙しくなる度に、紅葉と話すことも出来なかった。

紅葉が、少しボーッとしていると、黒瀬が話しかける。


「お嬢様?お嬢様?枯葉お嬢様?」

「誰が枯葉よ!紅葉よ!ク・レ・ハ!毎回、毎回、何かある度に、その言い方やめてくれない?」

「聞こえてないと思いまして…。少々、遊んでみたのですよ」


黒瀬は、そう言いニッコリと笑う。


「全く、意地悪なドS執事なこと!」

(まぁ、それがあるから、毎日が飽きなかった…。だから、黒瀬には感謝しなきゃね…)


紅葉は、そう思った。


「さてと…。宮殿に着いたわよ」

「討伐の報告をしなちゃね」


◇◇◇


 紅葉達は、宮殿の奥へと進んだ。

ヴェリスタ国の女王、【リスターヌ】の元にやってきた。


「魔物の討伐をありがとうございました。2体ではなく、もう1体いるとは思いませんでしたが…。これで、洞窟も通れるようになりましたしね」

「あの…、リスターヌ様。少々聞いてもよろしいでしょうか?」

「今から、何百年前。天使と悪魔の戦争があったと聞いた事があるのですが、知っていますか?」

「ちょっと、黒瀬。何百年前の事を覚えているわけないでしょう?」

「覚えておるぞ?」

「覚えてたー!?」

「リスターヌ様、どうして覚えているのですか?」

「まぁ、覚えているより、話に聞いたことがあります。わたくしが、子供の頃に、読んだ本に確か書いてありました。『天と地』という題名でして…。最初は、仲良くしていたのに、戦争が起こったと…」

「っ!?」


 紅葉達は、その話を聞いた。

正しく、クロナがあった通りの話をしていた。


「クロナ!これって…」

「ええ…。先程、わたくしが言ったことですわ…」


クロナは、青ざめていた。

紅葉は、クロナの顔色を見て言った。


「大丈夫?聞いてて…」

「ええ。大丈夫です」

「無理しないでね?」


 紅葉の言葉に、クロナは小さく頷いた。

リスターヌが、クロナを見て言った。


「そこのお方は、魔族の者ですか?」

「はい…」

「もしかして…。この戦争は、本当の事だったのですか?」

「そうです…。それで、わたくしの家族皆、亡くなりました…」

「そうでしたの…。これは、お辛い事を思い出させてしまいましたわね…。ごめんなさい」

「い、いえ…。大丈夫です。気を遣わせてしまってごめんなさい…」


 重たい空気が漂っている中、黒瀬はリスターヌに話を聞いた。


「リスターヌ様、その本は、今どこにあるのですか?」

「その本は…。この国、最古の図書館【リスタート】に、保管されていると思いますよ?そこの図書館には、昔の本がたくさん置いてありますから…」

「分かりました。ありがとうございます」


 紅葉達は、すぐにその最古の図書館【リスタート】に向かった。


読んでいただき、ありがとうございます。

少しだけ、クロナの過去を書いてみました。

評価☆→★にお願いします。

ブックマーク、感想などありましたら、お願いします。

また、誤字・脱字がありましたら、お願いします。

まだまだ、頑張って書きます!

まだ続きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ