03 女性聖騎士(パラディン)
お久しぶりです。
投稿を長い事遅くなってすみません。
ネタを探し求めていました。
「お嬢様…、朝でございますよ?」
紅葉は、黒瀬の声に目が覚めた。
「おはよう…。」
「朝食のご用意ができておりますので、食堂1階までお越し下さい。」
「わかったわ。
で、なんで。あなたは、部屋の中にいるのかしら?」
「お気にめさらず。わたくしは、居ないものと、思ってくださればいいですよ。」
「これから、着替えるのよ?」
「別に、お嬢様の裸など見ても、何も思いませんし、[萌え〰️]等と、思いもしませんので、ご安心を。」
黒瀬は、そう言ってニコッと笑った。
「黒瀬は、私を侮辱するのですか?
いいから出ていって!着替えられないでしょ!」
「分かりました。では、お待ちしております」
「まったく!黒瀬は…」
紅葉は、着替えを済ませ、1階にある食堂へと向かった。
食堂に向かうと、黒瀬達が待っていた。
「まったく!黒瀬!朝からあれは何なの?
朝からからかうのは、やめてほしいんだけど?」
「お嬢様、本当によろしいのでございますか?
からかいがあるのに、わたくしの朝の日課は、お嬢様をからかうことなのですよ?
それなのに…、お嬢様は、わたくしの楽しみを奪うというのですか?」
「いつもいつも、部屋を覗かれては困るでしょ?」
「でも、お嬢様の着替えているお姿は、本当にきれいな
ものですよ?
はぁー…。明日からは見れないのですか?
わたくしは、朝から何を楽しめというのですか?」
「知るか!
てか、どんな楽しみ方をしてるのよ!
おかしくない?それって、執事としてどうなのよ!?」
「問題ないかと?」
「問題あるわ!」
「どうですかね?あまり、そのようなことを、考えたことはございませんので、なんとも言えませんが…。」
「ちょっと!黒瀬、あなた、よくそれで、私の執事が勤まったわね?」
「はい。」
ニコッと黒瀬は笑った。
そして、またドSの言葉を言う。
「お嬢様の支障がないようには、こっそりと、見ているので、大丈夫でございますよ?」
「あなた…。何言っても、一方に引かないわね…(汗)」
「ですから、わたくしはお嬢様の執事ですから。
執事は主のお側に居てこそです。
ですので、あまりお気にめさらず。」
「何言っても押し倒される…。」
(勝ちましたね。)
黒瀬はそう思い、ニヤリと笑う。
「あの2人はいつもこうなんですか?」
「ええ…。そうですよ?
でも、見てて楽しいというか、面白いというか…。
なんか、あの人たちいいコンビなのですよ。」
「確かにそうですね。
私のふるさとを救ってくださいましたし。
見てて、楽しいです。
ただ、紅葉は…。あの聖に、遊ばれてないか?」
「まぁ…。そうですけど…。
でも、お似合いです。」
「ふん…。そうですね。」
言い合いをしている紅葉たちをみて、そう思うピーロ
ン、セラティナだった。
「それは、そうと今日は?」
「はい。お嬢様。今回は、また新たに、仲間を増やそうと思います。
弓使いのセラティナ様が、いらっしゃるということは、遠目からの攻撃がやりすいですので、それにゴブリンとかは、たくさんいますからね。
そういうのには、助かりますが…。
ただ、この先の事を考えると、やはり仲間を増やすべき
です。まっ、わたくしがいれば、どうってことないですが…。
ですが、面のためです。わたくしも、防ぎれないときもありますので…。」
「そうねぇ。
黒瀬にも、限界があるし。
じゃあ、次はどの方を仲間に入れた方がいいのか?」
「そうですね…。
盾役で、聖騎士はどうでしょ?
お嬢様の天然バカなところがございますので、お守りつつ、魔法を使っていただいた方が、よろしいかと、わたくしは思っております。
時々、アホーなことや、おバカな事をやっていますの
で…。」
「いちいち、腹立つわね。誰がアホでバカよ?」
「いえいえ、違いますよ?
ちゃんと、アホーなこと、おバカと言っておりますゆ
え。」
「そういう問題じゃないんだけど?」
「ほんとに、仲がいいなぁ…。君たちは…。」
「どこがよ!?」
「そんな…。お嬢様、照れなくてもよいではありません
か?」
「照れてないし!!」
「まったく…。あのー…。そろそろ本題に、戻った方がよいのではないでしょうか?」
「あっ、ごめん…。」
ピーロンがそう言い、紅葉たちは本題へ。
「盾もいるのなら剣もいるだろう?」
「でも、紅葉の執事は強いから、別に、剣がなくても大丈夫だろう?」
「あっ、それもそうか。だとしたら…。」
「他にも、いろいろとございますよ?」
「あー、職業の一覧を一応、受付の方にもらいまし
た。」
「うーん…。いつみてもたくさんありすぎでしょ?
黒瀬!読み上げて!」
「読めないからって、わたくしに回しましたね、お嬢 様。」
「いちいち、うるさいわね。いいから早く!」
「承知いたしました。では、」
黒瀬は、100種類以上もある職業を読み上げていった。
そして、[これなら!]と思うものは、紙に書き上げていった。
紙には、5種類くらいもの書き留めていた。
✱精霊使い
✱野獣
✱魔族
✱射手
✱聖騎士
「これだけか?」
「射手いるか?」
「うーん…。聖がいれば大丈夫じゃないか?」
「だよね?」
「そうですね。銃も扱えますよ?」
「この執事、なんでもありかよ…(汗)」
「まぁ、旅をしていきつつ、仲間を増やされてはいかがかと?」
「それもそうね…。
考えてても仕方ないからね(汗)
黒瀬の言うとおりにしましょう。」
「結局、何もなしかよ…。まぁいいか…。」
セラティナは、そう思いつつ、紅葉と黒瀬を見ていた。
そこに、ピーロンがやって来た。
「あの方たちは、いつもあんな感じなのでございます
よ?」
「そう…みたいだな…。」
呆れてセラティナはそう言った。
◇◇◇
結局、紅葉たちは仲間を探すのは、旅をしながら徐々に集めていくことにした。
屋敷を手に入れるのは、随分先のことになるだろう…。
◇
◇
次のクエストを探していると、
*緊急クエスト!
※全ギルドの皆さんは、大至急正門まで!!
と書かれていた。
ありったけのギルドが正門に集まっていた。
「これ…みんな緊急クエストで集まった人たち?」
「凄い…。たくさんいる…。」
「ざっとみて、5万人くらいはいるでしょうか。」
ピーロンは、慌てて紅葉達に言った。
「また、来るのか、、、。奴等が、、、。」
ピーロンの顔色は青ざめていた。
数十メートル先には、何万ものゴブリンの群れがいた。
「あ…あれは…。ゴブリンの群れだと…。」
セラティナはそう言って、足がガタガタ震えていた。
その他のレベルの低いギルドが腰を抜かしたり、逃げ出したりしていた。
「こ、こんなのどう戦えというんだ!」
「数が多すぎだろ!?」
等というギルドたちは、足がすくんで動けなかった。
「黒瀬……。いけるか?」
「いつでも行けますとも。」
黒瀬は、クスリと笑い、ナイフを構えた。
それを見た紅葉は覚悟を決めたように、杖を構え、ゴブリンの群れへと挑んでいった。
「あっ!あいつら正気か?
ゴブリンはゴブリンでも、あの大群の奴等は凶暴なん
だぞ?」
「あの方々ならやってくれますよ。」
「まじで、言ってるのか!?ピーロン!」
「今までのことを見ていると、あの方たちは、絶対にや
ってくれると信じています!平和を求めて!」
「お嬢様、左上から来ていますよ!」
「わっかってるよー!!
どりゃあーーーーーーーーーーーーー!!」
―――――――ドカーーーーーーーーーーーーーン!!!
紅葉は、膨大な魔法攻撃をした。
「お嬢様、あまり力を使い過ぎますと、後が持ちません
よ?」
「るっさいなぁー!分かってる、分かってる!
ただ、数が多すぎる!」
「でも、ギルドの大半は、そういう多くいる魔物に慣れ
ているのか、効率よく倒していますね。
私たちも負けてられませんね。
しかしながら、これはいつまで持つのでしょうかね?」
「何が!?」
紅葉が、ゴブリンを杖で吹っ飛ばしてるときに、黒瀬が話しかける。
「いつまでって…。いつまでも持つわけがない!
何か対策を考えなければ…。いつか殺れる!」
「では、群れの中の司令塔を、見つけてみましょうか?」
「そんなこと!って黒瀬なら出来るか…(汗)」
「では、少し調べてみましょうか…。」
黒瀬はそういうと、ゴブリンの群れの奥へと進んで行った。
(頼んだわよ…。黒瀬!)
「とりゃーーーーーーーーー!!
マグマ・トルネードーーーーーーーーー!!」
広範囲にゴブリンが消し飛んでいった。
ただ、紅葉の限界も近づいていた。
(くっ…。少し、キツくなってきた…。)
少しの気が緩んでしまった時、1匹のゴブリンが襲ってきた。
「ガルルルルル!!」
「はっ!?しまっ!」
紅葉は、目を瞑ったとき、
「サンダー・トンネローーーーー!!」
雷の矢に渦を巻いて翔んできた。
ゴブリンに命中。あっという間にゴブリンは消えた。
「大丈夫か?紅葉!」
紅葉のもとへと来たのは、セラティナとピーロンだった。
2人は、黒瀬がゴブリンの群れの奥へと行くのを見て、かき分けながら、紅葉の元へと来ていたのだ。
「間一髪ってやつ?危なっかしいからさ。
私も、戦おうって思ったんだ!」
「そっか…。ありがとう…。
てか、ピーロン…。あなたは、大丈夫なの?」
「えっ?案内人ですが、少しは戦えますよ?
一応、剣は持っていますし?
自分の身くらいは、自分で守らないと思いまして…。」
「それは、ピーロンさん。早く言ってくださいよ…(汗)」
「すみません…。お2人ともお強いので…。言い出せる機会がありませんでしたので…。
だから、私も戦いますよ!」
「皆!ありがとう。
黒瀬が、一番上の司令塔?を、倒すまでの辛抱よ!!」
「分かったわ!」
「はい!」
◇
◇
――――――黒瀬は、中心部に近いところまで来ていた。
黒瀬に襲いかかってくるゴブリンをヒラリとかわしながら、ゴブリンの顔面を蹴り、空へと舞った。
(あそこか…。)
そう、ニヤリと笑い、ゴブリンの司令塔となる所へと行った。
司令塔となるゴブリンは大きな石の上にいた。
指示を出していた。
「あなたですね?」
黒瀬は、司令塔となるゴブリンの真後ろへといた。
ゴブリンは、ハッと後ろを向いた瞬間に、首を切られていた。
「もう、あなたの野望は終わりです。地へと帰りなさい!」
「ガルルルルル…。」
雄叫びと共に、ゴブリンは灰になった。
「お嬢様…。」
また、黒瀬は紅葉の元へとかえった。
◇
◇
◇
「ハァ……ハァ……。」
3人や、他のギルドたちは、疲れきっていた。
攻撃を受け、傷ついた者、魔法を使える者は、魔力を使いきっていた。
「くそっ!黒瀬はまだか!?」
「こ、このままじゃあ…。皆が…。」
紅葉は、膝をついていた。
もう、魔力がなくなりかけていた。
限界だった。
すると、また隙を見てゴブリンが襲ってきた。
「あっ!く、紅葉!後ろ!」
「危ない!!」
「はっ!!」
(もうダメ…。)
「バインド・シールド!!」
どこからともなく、鎧を着た女の子が、ゴブリンからの攻撃を防いだ。
紅葉は、彼女の方を見て言った。
「あ…あなたは?」
「私か?名乗る者でもない!君は大丈夫か?」
「は…はい…。」
そう言いながら、倒れた。
「やっぱりか…。」
その鎧を着た女の子が、紅葉を受けとめた。
紅葉は、気を失った。
そこへ、セラティナがやって来た。
「紅葉!!」
「彼女は大丈夫だ。」
「あなた誰?」
「私の名は、【ラーガ・クレネーゼ】。
クエストを攻略しようと思っていたのだが…。」
「まさか、こんなにゴブリンの大群が多いとは…。と、思ったわけだ。」
「あぁ…。ゴブリンを倒しまくっていたら、あの子が、フラフラに、なっているのを見つけた。
だから、助けた。ただ、それだけだ。」
「助けてくれてありがとう。」
「礼には及ばない。では、私はこれで失礼するよ。」
ラーガは、どこかへと去って行った。
そこへ、黒瀬が戻ってきた。
「お、お嬢様!」
紅葉が倒れているのを見て、駆け寄った。
「こ、これは、、、魔力の使いすぎですね(汗)」
黒瀬は、ひと目見て、そう言った。
(やっぱり、すごいなこいつは…。)
そうセラティナは思った。
セラティナが、ふと周りを見ると、いつの間にか、ゴブリンの大群は、森へと帰っていっていた。
「ゴブリンが!?」
「司令塔であるゴブリンを見つけて、倒しましたからね。司令塔がいなければ、他のゴブリンは動けれない。だから、引いていったんでしょう。」
「そういうことだったのか…。」
「とりあえず、お嬢様を病院へ。」
と黒瀬は言い、紅葉をお姫様抱っこをして病院へと向かった。
◇
◇
◇
◇
―――――――――病院で紅葉は目を覚ました。
「ここは……。」
「お嬢様…。お気分はいかがですか?」
紅葉は、声のする方へと向くと、黒瀬が微笑みながらそう言った。
「大丈夫。私の事よりも、皆は?皆は無事なの?」
紅葉は、起き上がろうとすると、体が重く感じた。
「うっ…。か、体が…。」
「お嬢様!あまり、動かないほうがよろしいかと…。お嬢様は、魔力を使いすぎてしまったのです。大丈夫です。セラティナ様も、ピーロン様も無事でございますので、ご安心を。まずは、お嬢様の体調も、怪我も治して元気な姿を見てあげてください。」
「そっか……。だから、こんなに…。」
(もっと、強くなって、今みたいに倒れてたら、この先…。大事なところで、もしも、倒れてたら、もともこうもない!もっと!!もっと強くならないと!)
紅葉は、布団を強く握りしめた。
それを見ていた黒瀬は、静かに見ていた。
(お嬢様…。)
◇
◇
◇
紅葉の怪我もすっかり良くなり、またいつもの日常に戻った。
「だ〜か〜ら〜…。黒瀬!なんで、覗き見をしているのよ!!」
「覗き見をしてなどないですよ?お嬢様を、見ているだけでございます。」
「覗き見をしているのと、一緒じゃないのよ!!」
「はぁー…。まーた、あの人たちは、朝から元気だねー。」
「でも、あの様子を見ていたら、自然と名残ますねー。いつまでも、見ていたいくらいです。いつも日常に戻りましたね。」
「まぁ、あの光景をみたらねー。」
言い合いをしている紅葉と黒瀬を見て、ピーロンは微笑みながら、セラティナは、ムスッとした顔で見ていた。
「そういえば!」
紅葉は、突然そう言うと、黒瀬たちにゴブリンの大群が来た、あのときの話になった。
「あのとき、私をかばってくれた人は?」
「お嬢様をかばう?」
「うん。聖騎士の格好をしていた。」
「あの人なら、黒瀬が来る前にどこかへ行ってしまったんだ。」
「そう…なんだ…。お礼も言ってないのに…。」
「まぁ、またいつか会えるよ。」
「そうだね…。」
紅葉はそう言ったが、何か腑に落ちなかった。
黒瀬は、何やら考え込んでいる紅葉を見て、
(聖騎士のお方は、なぜ、あの場所を立ち去ったのでしょう…。どんな人だったのか、わたくしは見てもいませんしね…。あとで、ピーロン様と探しにでも行きましょうか。)
黒瀬はそう思いながら、紅葉を見ていた。
◇
◇
紅葉とセラティナは、クエストを選びに行った。
「ピーロン様、ゴブリンの大群が来ていたあのとき、聖騎士の女性の方が、お嬢様を助けてくださったのでしょう?その方はどんな方だったのですか?」
「なんと言いますか…。正義に満ち溢れていたお方でした。あのお方が、私達の仲間になってくださったら、なんて心強いでしょう。」
「そうですか…。少し、出てみましょうか。」
「そうですね。」
黒瀬とピーロンは外へと出ていった。
「探すって言ってももうこの街から出ていってるかもしれませんよ?」
「そういえば、そのお方のお名前を聞いていませんでしたね。何というお名前だったのでしょう?」
「ラーガ・クレネーゼ様です。」
「そうですか。分かりました。」
そう言い、あちこち探し回った。
店の亭主や、人にも聞いて回ったが、聖騎士の女性は分からなかった。
「ダメですねー…。」
「そうですねー…。旅先々で、お会いできるかもしれませんからね。」
黒瀬はそう言い、ギルドへと戻った。
◇
◇
黒瀬とピーロンがギルドに戻ると、紅葉とセラティナは2人で何やらコソコソ話していた。
「お2人とも何をお話されているのですか?」
「あっ、2人とも帰ってきたわね。クエストを選んていたのよ。」
「それは、行く前から見ていたので、分かっていますよ?」
「だから、黒瀬は一言が多いのよ!」
「で、セラティナ様。一体何でしょうか?」
「ちょっと!話を聞いてよ!!」
怒っている紅葉を無視して、セラティナにそう言った。
紅葉は、ほっぺたを膨らましてムーっとしていた。
「あぁ、これならどうだと思ってな。西側にある街で、どうも奇妙な現象が起こってるみたい。この問題を解けば、お金がたくさん入ってくるってわけだ。」
「そうよ、黒瀬!この問題を解決すれば、いつかは、城みたいなギルドが建てれる!だから、お願い!」
そう言って、黒瀬にグイグイと、お願いをする紅葉。
(フフッ。可愛いと思ってしまう…。)
黒瀬の頭の中は、いじわるを考えていた。
そんな中、紅葉はだなをこねていた。
「ねぇー。黒瀬。聞いてる?」
紅葉は、黒瀬の顔を覗き込んでいた。
「お嬢様?顔が近いですよ?ちゃんと話を聞いていますし。」
紅葉はふと気づくと、興奮のあまり黒瀬との距離感を忘れていた。
ハッとなって、黒瀬から離れる。
「それは、そうとどうなのよ?黒瀬。行くの?行かないの?」
「そうですねー…。西側といっても、結構遠いですよ?日本で言えば、東京から山口くらいありますよ?」
「そうなのよねー…。どうしたものか…。」
「まぁでも、あいにくあてはありますゆえ、馬車を借りれるかもしれませんが…。また、聞いておきますね。お嬢様。」
「まぁ、そこはさすがの黒瀬ね。それから…用意するものは…。」
「お嬢様!馬車の手配は出来ました。」
黒瀬は、どこからもなく突然現れた。
「うわっ!」
紅葉とセラティナは、驚いた。
ピーロンは、少しクスクスと笑っていた。
「もう!黒瀬!いきなり出てくるのやめてよー」
「てか、馬車の手配って…。今の間に行ってきたの?」
「はい。行ってきましたよ。お嬢様が遊んでいる間に、いろいろと、バイトといいますか…。お手伝いといいますか…。しているうちに、すごく頼りにされていまして…。
それで出会った人が馬車を持っていたので、お借りしたいと、申し出を先程してきて参りました。
そしたら、快く引き受けてくださったのです。」
「そうだったんですか。すごいですね、黒瀬様は。
本当に尊敬します。」
「ちょっと、私のことを今、ゲスったでしょ?」
「いえいえ。決して、そのようなことは、していませんよ?」
また、紅葉は顔を膨らませて、黒瀬を睨みつけた。
「それより、早く向かわないと!」
紅葉たちは、準備をして、西の街、ウエース・ラビリスへと向かった。
◇
◇
◇
――――――――――――旅の途中。
とある村に着いた。
その村の名は、【クロバン村】。
緑が広がる村だ。
「今日はこちらで宿をとりましょうか。」
「そうね。ここにしましょ。」
少し小さな宿だった。
今は、贅沢を言ってられなかった。
馬を休ませてあげなくてはならない。
1泊だけ泊まった。
紅葉とセラティナ、黒瀬とピーロン、というペアで部屋を借りることになった。
「案外いい部屋ねー。」
「そうだな。ここで、1泊して朝早くに出るのであろう?早く休もう。」
「そうね。今日は早いところ休みましょう。」
紅葉、セラティナはベッドに入った。
一方、黒瀬、ピーロンは、明日のことについて、話し合っていた。
「明日早く出ないと、これでは2日、いや、3日ほど経ってしまいますよ。黒瀬様。」
「そうですが、馬たちのことを考えると、休憩を入れながらしないと、狙われた際に、疲れていたら意味がないです。」
「そうですね…。」
「明日は、少し早めに起きて、食料を調達しておきますので、ピーロン様は休んでいてください。」
「いえ、私は案内人ですので、大丈夫ですよ。」
「そうですか…。わかりました。では、お願い致します。」
黒瀬はピーロンに頭を下げた。
そして、2人もベッドに入り眠りについた。
◇
◇
◇
―――――――――――そして、次の朝。
黒瀬、ピーロンは、市場へと食料調達に出掛けて行った。
たくさんの人たちが朝から買い物をしていた。
「意外と栄えてますね。」
「そうですね。小さい村こそ、賑やかで良いと思いますよ。買い物を致しましょう。帰ったら、お嬢様を起こさなくてはいけないので…。」
「あっ、そうですね…(汗)」
約3日分の食料を買って、馬の餌と買い、急いで宿へと2人は戻った。
黒瀬は、紅葉がいる部屋へと向かった。
ピーロンは、旅立つ準備をしていた。
――コンコン。
「お嬢様?起きてらっしゃいますか?」
と黒瀬が言うと、セラティナが出てきた。
「30分前くらいに起こしたんだけど、なかなか起きなくて…。」
セラティナは、困り果てていた。
「それは、それは、セラティナ様。ありがとうございます。お嬢様は、おアホーでございますゆえ、普通に起こしても起きません。ここは、お嬢様の執事である、わたしく目にお任せください。」
そう言い、紅葉を起こしにいく。
「お嬢様。朝でございますよ。起きてくださいまし。
でないと、襲いますよ?裸にして…。」
と黒瀬が言った瞬間、バッと紅葉の目が開いた。
「い、い、今なんて言ったの?」
「あっ、お嬢様。起きましたか?おはようございます。今すぐ支度をしてくださいまし。もう、出なくてはいけない時間ですよ。」
「えっ!?もうそんな時間?なんで、セラティナ起こしてくれなかったのよ!」
「起こしたわよ!!それなのに、紅葉が、起きないからでしょ?」
「えー!ちょっと早く着替えなくちゃー!」
紅葉は慌てて服に着替えた。
そして、クロバン村を出た。
少し休憩をはさみつつ、西へ西へと向かう。
◇
◇
「の、野宿ー?こんな!何が出てくるかわからない所で、何が野宿よ!?正気なの?」
と、紅葉がムスッとしながら言った。
それは、数時間前に遡る。
ある、森へと迷い込んだ紅葉たちは、足止めをくらっていた。
「ですが、下手に動くと危険です。
霧も出てきていますし。ここは、安全をとり、ここで野宿するしかないのです。
大丈夫です。夜間は、わたくしが見張っていますので、安心してください。」
黒瀬はそう言って、ニコリと笑う。
「黒瀬のその顔が怖いのよ!!」
「大丈夫ですよ。お嬢様は、わたくしが、お守り致します!ご安心を。」
「うーん…。わかったわ。でも、何かあったら、すぐに知らせるのよ。」
「わかりました。まぁ、何かあっても、大丈夫でしょうけど。」
「でしょうねー。」
余裕を見せている黒瀬が、そういうと、呆れたように紅葉が言う。
「でも、長旅で疲れているだろう?だから、かわりばんこで見張りをしよう。そうしたら、聖の負担は少ない。」
「ですね。そうしたほうがよろしいかと聖様。」
「大丈夫です。こういうのは、慣れていますので。でないと、お嬢様の執事は、務まりませんので。」
「そ、そうか…。わかった。じゃあ、聖、頼んだ。」
そう言って、紅葉たちは食事をとってから眠りについた。
黒瀬は、みんなの寝顔を見ながら、クスリと笑い、空を見上げた。
夜空は、星がキラキラと輝いている。空は、透き通っているかのように、空気は冷たく気持ちよかった。
だが、周りは霧が濃くなっていた。
(霧が濃い…。でも、気配を感じれば、魔物が出てきたとしても、わかる。自分が倒せばいい。皆さんを起こさないように。)
そう思い、地図を見る。
(まだまだ、かかりそうですね…。道のりが長い。早朝に、位置を確認いたしましょう。いつまでも、ここにとどまってる場合ではない。策を立てなければ…。)
黒瀬はいろいろと考えていた。
◇
◇
◇
――――――――――翌日。
「お嬢様、おはようございます。よく休まれましたか?」
黒瀬はニコリと笑いながら、紅葉に挨拶をした。
「朝食の準備が整っておりますので、着替えたら来てください。」
「分かったわ。ありがとう。」
紅葉が、服を着替えていくと、ピーロンとセラティナが席についていた。
「皆、おはよう。てか、机って…。」
「わたくしが組み立てて作りました。ご飯も、今日取って来て参りましたので、できたてホヤホヤで、ございますよ。」
「私が起きたときには、もう出来上がっていたんだよ。手伝おうと思って、早く起きたつもりなのに。」
「ありがとうございます。セラティナ様。ゆっくり休まれたらいいんですよ。お気になさらず。」
「でも、見張りもしてもらって、食事も作ってくれてって、大変じゃない?」
「わたくしは、これが仕事ですので、大丈夫です。あと、こういうのは好きでやっていることなので。」
「そう…か…。聖がそういうのなら…。」
朝食を済ませ、片付けをし、森を抜けた。
「どうして?昨日は、道がわからなかったのに…。」
「昨日、いろいろと可能性として、仮設を考えておりました。まず、1つ目は、魔物が道を分からなくしているのか。2つ目は、天気よって変わっているのか。この2つに絞ります。あとは、簡単です。
一番高い木に登って、位置を確認したところ、すぐ出れる位置でございました。では、どうしてか。もう1つしかないですね。」
「魔物が作った幻覚か…。」
「どこかで、わたくし達が入っていくのをみて、幻覚をかけたんだと思われます。だから、その幻覚を見せている魔物を探し当て倒しました。」
「いつの間に…(汗)」
黒瀬の説明を受け、3人は唖然として聞いていた。
「まぁ、筋は通っている。では、同じ道をグルグルと、その魔物によって、回っていたって事か…。」
「そういうことになりますね。」
クスリと黒瀬が笑い、そう言った。
また、次の街へと向かった。
◇
◇
◇
―――――――――――エンゼルタウン。
紅葉たちは、ウエストタウンの道中にある街に着いた。
盛んになっていた。
たくさんのお店や、屋台などがあった。
「うわー。すごい…。人がたくさんいる。」
「ここは、エンゼルタウン。大きな街です。」
「面白そうなお店がたくさんあるわ。私、あそこに行ってみたいわ。後で、紅葉一緒に行ってみましょ?」
見てるだけで、楽しそうな街だった。
紅葉たちは、3日ほどで、このエンゼルタウンに着いた為、疲れていた。
黒瀬は、宿に予約を取りに行き、セラティナ、紅葉は雑貨屋へと向かった。
かわいいお店が立ち並ぶ。
黒瀬とピーロンは、次の日に出る食料を探しに行く。
◇
◇
紅葉とセラティナが、ある店を出たとき、見覚えのある人物が見えた。
「あっ!?あの人!」
「紅葉?」
紅葉は、突然走り出した。
それは、ゴブリンの襲撃のときに助けてくれた、ラーガの姿がそこにあった。
とっさに、紅葉はラーガの手をとった。
「あ、あなたは!あのときの!」
びっくりしているラーガ。後から追いかけてきたセラティナが息を切らして、
「あっ、あのときの聖騎士、ラーガ・クレネーゼ!」
「やっぱり。」
紅葉は、ラーガと話がしたいため、カフェに入って話をした。
「まずは、あのとき、助けてくれてありがとう。ずっとあなたを探していたの。お礼を言いたくて…。それから…。あなたにお願いがあるの。」
「お願い?私に?」
「ええ。」
「私達の、、、仲間になってくれないかしら?」
「えっ!?どうして?こんな私が?君たちの仲間に?」
「だって、あなたは強いし、私を助けてくれたじゃない?」
「でも…、私は…君たちの仲間にはなれない。失礼するよ。」
ラーガは、カフェを出ていってしまった。
「どうして?」
「私には、仲間を守る資格なんてないんだ!」
そう言い残し、ラーガは店を出ていってしまった。
(また、行っちゃうの?)
紅葉は、呆然として立っていた。
セラティナは、寄り添うように肩に手を当て、紅葉を慰めていた。
◇
◇
紅葉とセラティナは、宿へと戻った。
紅葉の様子がおかしい事から、黒瀬は悟った。
「お嬢様?大丈夫ですか?何かありましたか?」
「えっ?いやっ、なんでもないわ…。少し食欲ないから…、疲れたのかしら…。ごめんなさい。今日はもう休むわ。」
紅葉は、そう言って部屋に戻った。
数時間が経ち、皆が寝静まった頃、紅葉は1人夜空へと出ていった。
(どうして、ラーガはあんなことを言ったの?過去に何があったの?どこか、悲しい顔をしていた…。)
紅葉は、そう思いながら、星を見ていた。
「お嬢様。夜は冷え込みますので、宿にお戻りくださいませ。」
後ろを振り返ると、黒瀬がいた。
「黒瀬。さっきは、言えなかったけど、ラーガがいたんだ。で、仲間になってほしい。と、頼んだけれど、仲間にはなれない。って言われちゃった。でも、過去に何かがあったんだと思う。その何かを分かれば、ラーガを説得できると思うのよ…。ねぇー黒瀬。」
「はい、お嬢様。」
「ラーガ・クレネーゼを、どうしても、仲間に入れたい!!そのためには、ラーガのことを、知らなくちゃいけない。どうして、あんなことを言ったのか、知りたいの。」
「かしこまりました。お嬢様。お任せください。」
黒瀬はそう言うと、どこかへと行ってしまった。
「黒瀬…。頼んだわよ。」
◇
◇
―――――――朝になると、黒瀬が戻っていた。
そして、朝食を済ませ、エンゼルタウンを旅立った。
「黒瀬、どうだった?何かわかった?」
「ええ、何年か前に、戦争があったほうですね。」
「それは、もしかして…。【魔神戦争】。その名の通り、魔神が攻めてきたのです。その戦争で、たくさんの兵士や、聖騎士が亡くなったそうです。」
「そうだったのか…。」
「待って!その事と、ラーガと何か関係しているの?」
「まだ、詳しいことは掴んでいません。」
そう言い、ウエース・ラビリスに着いた。
実に、7日間くらいかかった。
「やっと、着いたか…。」
「さぁ、さっさと、魔物を倒して、早く依頼を済ませるわよ!」
「まずは、街の方に聞いてきますので、皆さんはここで待っててください。」
「私は、宿をとってまいります。」
ピーロンはそう言って、宿を探しに行った。
街の人に、黒瀬は魔物のことを聞いて回った。
「お嬢様。お待たせ致しました。魔物の事なのですが、この先の山に、厄介な魔物が出現しており、凄く困っていると、言われておりました。ドラゴンのような、魔物だそうです。」
「ドラゴン?それは、また厄介ね…。どうすれば…。」
「作戦を考えましょう。」
「あと、回復の薬草とか、買っといたほうがいいわね。厳しい戦いになりそうね。」
そう紅葉は言い、買い物に行った。
その夜、魔物についての、話し合いが行われた。
「まず、どのような、ドラゴンなのかが、疑問です。なので、明日の朝に、ピーロン様と、一緒に様子だけでも、見に行こうと思っているのです。」
「まぁ…そうよねー…。じゃないと、作戦を立てようがないし。」
「私たちは、いつでも、出れるようには、しておくわ。」
「わかりました。」
「今日は早く休みましょう。明日に備えなくっちゃ。」
「そうですね。では、また明日の朝ですね。」
魔物の事は、明日の状況次第でということになった。
紅葉たちは、明日に備え、眠りについた。
――――――――――翌朝。
「黒瀬、ピーロン気をつけて行ってきてね。」
「わかりました。では、行ってまいります。」
昨夜の話の通り、黒瀬、ピーロンは、ドラゴンがいる街外れの山へと向かった。
山の1番高い所まで、黒瀬とピーロンは登った。
火山によって出来たのか、石は大きくゴツゴツとしている。
「ドラゴンは、どこにいるのでしょうか?怖いですねー…。」
ピーロンは、少しオドオドしていたが、黒瀬は冷静に辺りをみていた。
「いませんねー…。どこにいるんでしょう?」
「なんで、そんなに冷静でいられるんです?
怖くないんですか?」
「怖い?どうしてですか?倒しがいがあるでは、ありませんか。」
黒瀬はそう言って、ニヤリと笑う。
◇
◇
だいぶ、歩いたとき、突然。
ドドドーーーーーーー!!
地響きがあたり一面になった。
「な、な、なんですか!?」
「これは!きますね。」
黒瀬は頭上を見上げた。
すると、大きな竜が姿を現した。
これが、騒がれていた竜、【ブラキディアス】。
この山頂に住むと言われている。
「こんなの勝てれるのか…。」
「しー。後ろに下がって!」
「キュールルルルル!」
威嚇をしている。
黒瀬、ピーロンはゆっくり距離をとった。
「ピーロン様、ここは引きましょう。サイレントシャドウ。」
黒瀬は、ピーロンを抱え、その場を去った。
◇
◇
◇
―――――――――【エンゼルタウン】
紅葉、セラティナが待っていると、シャドウとともに、黒瀬、ピーロンが現れた。
「黒瀬!どうだったの?」
「予想以上です。」
「離れていても、威力がすごいです!」
「いけるの?」
「無理じゃないか?」
「あなたは…。」
声のする方へ向くと、そこには、ラーガがいた。
「あの竜は厄介だ。威力もケタ違い。君たちには無理だ。」
「そんなのやってみないと分からないじゃない!黒瀬、作戦を考えましょう?ラーガ、あなたも力を貸してくれない?」
「えっ!?」
「そうよ!ラーガ、頼むよ。」
「私は無理だ…。無力な私が…。」
「どうしてよ?」
「また…。あんなこと…。」
ラーガは、どこか悲しげな顔をして、うつ向いていた。
「でも、倒さないと、ここの街の人たちは、竜に怯えながら、暮らさないといけないのよ?それに、私達が何の為に、来たと思ってるの?このために来たの!」
「はい。お嬢様、負けるわけにはいきません!何事にも、挑戦することが大事です。例え、無理でも仲間の皆様と、力を合わせれば倒せますとも。」
「作戦を考えてまたあの山頂に行きましょう。」
「君たちは…。まぁいいさ。勝てっこない。」
ラーガは、そう言って、またどこかへと、言ってしまった。
(あの者たちは、どうして、あんなに強いのだろうか…。私が弱いのか?なぁ、ラーナ。どうすれば…。)
ラーガは、ペンダントを見てそう思っていた。
久しぶりに書いたので、誤字、脱字等ありましたらよろしくお願いします。
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