27 シルバーンの過去
少しずつ、敵の過去を書いていこうと思います。
紅葉達は、また町へと戻ってきていた。
「あの敵は、結構、強そうだったぞ?」
「恐らく…幹部では、そこそこお強いのでしょう…」
「レギランスの幹部がきているということは、何かあるんだろうなぁー…。あの、魔導書のことだろうか?」
「紅葉様。どうしてわたくしが。あのシルバーン様と戦っているということが分かりましたね?」
「大きな力と力のぶつかりの気配と、サラの精霊達が、騒がしかったから、何事だと思って、気配のする方へ来たら、黒瀬とシルバーンが戦っているところを見つけたってわけよ」
「そうだったのでございますか…。まぁ、また会えるでしょう」
町を歩いていると、ピーロンが走ってきた。
「皆さーん!」
「ピーロン様、宿が見つかりましたか?」
「見つかりましたが…。皆さんを今、探していたのですよー」
「これはすみません…。では、宿に行きましょう」
ピーロンが探してくれた宿に行くことにした。
◇ ◇ ◇
「ここが、今日の宿です」
「なんか、大きいわねー」
2階建ての建物の宿だった。
中に入ると、大きな広場になっており、休憩のできる場所やお土産屋等々たくさんあった。
紅葉達は、キョロキョロしながら、周りをみていた。
「お嬢様、皆様、わたくしがチェックインしてきますので、少々お待ちください」
「分かったわ。ありがとう」
「私も行きますよ。聖さん」
「ありがとうございます」
紅葉達は、その間いろいろ見ていた。
黒瀬とピーロンが、チェックインを済ませ、部屋の鍵を持ってきた。
「ありがとう、黒瀬」
「はい。2人ずつお部屋をご用意していただきました。その方が、皆様が休みやすいと思いましたので…」
「うん、ありがとう。じゃあ、部屋に行きましょう」
紅葉達は、黒瀬から部屋の鍵を渡され、それぞれの部屋に入って行った。
◇
◇
◇
――――――時空間にシルバーンが身を潜めていた。
「まったく…。酷い目にあった。まぁ、いいか…。あの町には、何もなかったし…。ラビリスタも、無茶な事を言うし」
シルバーンがブツブツ言っていると、
「シルバーン、何を1人で言ってるの?あの町はどうだったのさ!?」
ふと見ると、ショートカットの、背の小さいグミルが来ていた。大きなぬいぐるみを持っている。
「グミル!どうして、ここに?」
「あたしも、町を見に来たかったから…。あと、シルバーンが、言っていた奴も見てみたかったからねー。でも、シルバーンこそ、どうしてここにいるの?ラジリスタに言われたでしょ?あまり、あの者達に、関わっちゃあダメだと…」
「好きで関わってるわけではないですから。あのよく分からない執事が、私を見るなり、追いかけてくるのだから」
「それ何?怖いじゃん…」
「1回戦ってみると、分かりますよ?あの執事…。こないだのは、本気ではないと言っていました。しかも、さっきも戦いましたが…あの時も、本気ではなかったのですから…。何か隠していますよ?あの執事は…」
「そうなのか?あたしも戦ってみたい。面白そう」
グミルは、そう言いニヤッと笑った。
(あの執事…。最初に戦ったときよりも、強くなっている気がしますね。あと、レベルも結構上がっていると思いますし…)
シルバーンは、そう思った。
(ラジリスタ…。あなたは、何を考えているのですか?)
◇ ◇ ◇
―――――数日前の事。
「最近、あのギルド達が、さらったあのチビこうと、魔導書の事を調べていると聞いた」
「それは、俺も知っている。魔導書の秘密を、聞きまわっているみたいだな…」
「そういえば、シルバーン。あの執事と戦ったと聞いたけど…?」
「おお!そうなのか?聞かしてよー」
「そんなことどうでもいいでしょう?」
「負けたのか?」
「そんなことはないですよ」
(私が、あの者に負けるなどないですから…)
シルバーンが、重い表情を浮かべた。
◇ ◇ ◇
「あまり、あのギルドに知られたくないな…。さらってきた、あのチビの世話をちゃんとしているのか?」
「ちゃんと可愛がってますよ?」
と言いつつ、グミルが連れてきて、人形で遊んでいた。
「お人形さん、いっぱいいますー!これも可愛いです」
「なぜ、あの子をここに連れてきているのです?」
「ほら、この子も可愛いでしょ?」
「何、手懐けているのですか(汗)」
「だって、あの子可愛そうなんだもん。1人で暗いところの牢屋に入れられて、手も繋がれて…。前の私にそっくりだったから…」
「…イノン」
「なんでもないから…。あの子とグミル、一緒に遊んだらいいんじゃないかな…って思っただけだから…」
イノンは、部屋に戻って行った。
「ねぇねぇー。あなたは、あの魔導書の事知っているの?」
「ん?魔導書の事は、私は何も知らないの…。魔導書があったことすら、聞かされてなかったから…」
急に、グミルとユーネリアが話しだした。
それに、シルバーンも耳に入った。
シルバーンも気になり、話に入った。
「確か…あなたの名前は、【ユーネリア】と言いましたか?魔導書の事は、どこで知りましたか?」
「あの砦があることも知らなかった。砦の中に、あの魔導書があることも…」
「あの村にいたのに、何も知らなかったのか?」
「ごく一部の人達しか知らなかった…。でも、魔族の襲撃で皆、死んじゃったから…。知ってる人は、誰1人としていないの」
ユーネリアは、少し悲しげな表情を浮かべた。
それを見たグミルは寄り添い、ユーネリアを抱きしめた。
「泣きたいときに、泣けばいい…」
その言葉に、ユーネリアは目に涙を浮かべ、泣いた。
「……うっ…。くっ…」
シルバーンは、見ないように背中を向けた。
(魔族の解放したのは、四天王の【ロワール】あの男しかいない!!)
シルバーンは、空を見上げてそう思った。
◇◇◇
シルバーンが、まだ小さかった頃、目の前で、家族もろとも、魔族に殺された。
魔族が、家のドアを破り、襲ってきたのだ。
シルバーンの母は、とっさに物置に隠した。
そして、無残にも殺されていく家族。
その事が頭を過る。
魔族から逃れ、力尽きている所を、ラジリスタとイノンに拾われたのだった。
◇
◇
◇
(あのユーネリアという者も、私と一緒同然と言うわけか…。あの子も魔族に家族を殺されているのだから…。寄り添ってあげなければならない…。連れ去って、こういうのはなんというか…。まぁ…、四天王の目的を調べなければならない。そう思って、この国来たのに…。まさか、あの執事に会うとはな…)
シルバーンは、一人そう思っていた。
グミルは、黙っているシルバーンを見て、
「何か、考え事をしているのか?あの子の事は、大丈夫だ。殺しもしないし。いつかは、あの執事の元に、返そうかと思っている」
「そんな動物みたいな…」
「まぁ、ユーネリアも怖い思いをしてしまったのだから…。なんなら、あの執事がどれだけ強いのか、実践してから、あたし達の目的を伝えて、協力してもらえれば、あたし達の目的は達成したことになる!」
グミルは、凄い自信に溢れるように、目をキラキラ點せながら言った。
シルバーンの顔は、少し曇り、
「それをしたら、あのラジリスタも納得はしないだろうなぁー…」
「なぜだ?ラジリスタは、ロワールを倒したい!ただ、それだけだし、四天王の邪魔をしたいだけだろ?」
「ラジリスタの目的は本当にそれだけなのか?」
「どういう意味なの?」
グミルは、シルバーンの顔を覗き込んだ。
「まぁ、そのうちグミルも分かってくるさ」
シルバーンはそう言い、時空を越えて行った。
「ちょっと!シルバーン?」
グミルは、シルバーンの後を追った。
◇
◇
◇
――――――早朝。
紅葉達は、【ヴェリタス】国の宮殿へと向かった。
「またこれはこれで大きな宮殿だな…」
紅葉は、宮殿を見上げて言った。
宮殿は、レンガで作られている。
また、ヴェリタス国の国王によって、結界をはっていた。
魔族の侵入や、魔物の侵入を防ぐためのものだ。
門の前には、兵士がいた。
「あなた方は?」
「冒険者の者ですが、ギルド【モミジ】と言います」
「これはこれは、話には聞いていましたよ。あなた方でしたか。ルルベニア国王のジルベール様から、我が王女の元に、知らせが入ったというのを聞いています。ささ、中へどうぞ」
「ありがとうございます」
黒瀬は、兵士に向けて頭を下げた。
「知らせって、ここの宮殿の皆さんが知っているのですか?」
「はい。ここでは、早朝に兵士皆、王女様の前に集合し、今日の行事ややること等を話していますので、皆、ある程度のことは、頭に入っています」
「そうなのですか?それは、すごいですねー」
「ありがとうございます。王女様は、国王様より、怖い方でいらっしゃいますので、ちゃんとしていないと怒られてしまいますから」
「そう…なのですか」
(ここの国王は、尻に敷かれているのだろう…)
セラティナは、苦笑いをした。
そして、紅葉達は、王室へと通された。
「待っていましたよ?ギルド【モミジ】の皆様。わたくしは、ここの王女【リスターヌ】と言います。ごめんなさいね。今、国王は席を離れています。2、3日前に、会議があると、セントラルに行ったばかりなのです…」
「そうなのですか?お会いしたかっです」
「また今度、国王がいるとき…。あっ!そうそう…」
「どうしたのですか?」
「最近、魔物の動きが活発になってきているのです。わたくしの結界が、いつ崩れるかが心配です。それに、2体の魔獣が確認されています」
「なっ!?」
「このままでは、いずれ結界の前まで、魔物や魔獣が押し寄せてくるでしょう…。そうなる前に、ギルド【モミジ】の皆様に頼みたいのです。報酬は、400,0000ルピーでどうでしょう?」
「えっ!?」
紅葉は、目玉が出るくらい驚いた。
「そんな大金…」
「リスターヌ王女様、その魔獣はどのような魔獣なのですか?」
「黒瀬?何勝手に話を続けているの?」
「どうせ、倒すのですからいいでしょう。それに、魔獣を倒したほうが、レベルもたくさん上がりますからねー」
「なるほどねー…。わかりました。その依頼、お受け致しますわ」
「よかった。ありがとうございます。この国の近くに洞窟があります。その洞窟の中に、魔獣、【ウェザーウルフ】と【ハギス】がいます」
「また、これは厄介な魔獣ですねー」
「そうなのです…。どんな手を使っても構いませんから、あの魔獣を倒してください」
「わかりました。私達にお任せください!」
紅葉が言い、その洞窟に向かった。
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頑張って書いていきます!
次も書き中です!
まだまだ続きます。




