26 ヴェリタス国にようこそ!
紅葉達は、【ヴェリタス】国の近くの森を歩いていた。
「そう言えば、確かバンシーって…。」
「バンシーは、多くのバンシーの叫ぶ声のした死者は、勇敢な人物か、聖なる人物であった証といわれています。長い黒髪で緑色の服に、灰色のマントを着た女性の姿をしているとされるが、叫びが聞こえる時は、その姿は見えないとされていて、 その叫びは、ありとあらゆる叫び声を合わせたような凄まじいもので、どんなに熟睡している者でも、飛び起きるほどであるとされています。
また、バンシーの目は、これから死ぬ者のために泣くので、燃えるような赤色をしているそうです。
妖精が自身と交わった相手に加護を与える例として、バンシーの垂れた乳房を吸った人間は、彼女の養子になることができ、望みを叶えられると語られているそうですよ」
「黒瀬は、なんでも知っているのね」
「そりゃあ、私の執事だもん!なんでも知ってないと執事は務まないわ」
「そうですね。それもありますが…。頭の悪いお嬢様は、わたくしをそこらのメモ帳くらいにしか思っていないのです」
「そ、そんなことはない!!」
「そうですね。聖様には、その方がよろしいかと思いますわ」
クロナがクスクスと笑いながら言った。
黒瀬は、それを見て少しイラッとしたのか、クロナの頭にナイフを刺した。
「うぎゃ――!!」
「あーあ…」
「聖の怒りをかったな…。あれは」
クロナがもがいている隙に、紅葉達は、【ヴェリスタ】国に向かう。
◇
◇
◇
そして、紅葉達は【ヴェリタス】国に着いた。
丘から眺めると、大きくて、綺麗な国だった。
「凄く綺麗な国ね」
「少し緑が多い国なのねー。空気もおいしいし」
「そうだね」
国の出入り口に門の所に門番がいた。
「ようこそ。【ヴェリスタ】国へ。あなた方は、冒険者ですか?」
「はい、そうです」
「分かりました。1人、50ルピーになります」
「400ルピーね」
「はい、ちょうどお預かりしますね。楽しんでくださいねー」
門番は、紅葉達に手を振って見送ってくれた。
レンガの建物がたくさんあった。
この国では、主流になっているらしい。綺麗な建物がたくさん並んでいる。
「なんか、楽しい国だね」
「とりあえず、今日の宿を取っとかないとねー」
「それでは、わたくしにお任せください」
「私も一緒に行きますよ?聖さん」
「じゃあ、私達は適当に見て周っているから、今の時間が…」
時計を見て、
「11時頃ね。じゃあ、13時くらいに、広場のあの大きな噴水の所で、待ち合わせという感じどうかしら?」
「そうですね。かしこまりました。道に迷ったらいけませんので、この国の地図でございます。3枚も門番の方からもらいました。どうぞ」
黒瀬は、セラティナと、ラーガに地図を渡した。
「ありがとう。聖」
「この国の地図があれば、便利だな」
「そうねー。ちょうどよかったわ」
「じゃあ、皆、お店とか行ってみましょう」
「それでは、わたくしたちは、宿を探して参りますので、後ほど」
黒瀬とピーロンは、宿を探しに行った。
「安いところでいいからねー」
「じゃあ、私達も行きましょうか?」
「そうね」
紅葉達は、町巡りをすることにした。
◇ ◇ ◇
黒瀬とピーロンは、宿を探していた。
黒瀬が地図を見ながら、宿を探している。
「この地図によると、こことここが、宿だそうですね」
「どこも高そうですが…」
「まぁ、まだどこかありそうですから探しましょう」
「そうですね…」
色々見て周っていた。
◇ ◇ ◇
時空間からジルバーンが現われた。
「ここか…」
その瞬間、黒瀬は気配を感じた。
(…っ!?この気配は…)
「…まさか」
小さい声で、ボソッと言った。
「どうしましたか?聖さん」
「い、いえ。なんでもありませんよ?ピーロン様。ここの宿に話を聞いてみてください。お安い宿なのか、あとは、設備はどうなっているのか。等々…。とりあえず、聞いてみてください」
「は、はい。分かりました。聖さんは?」
「わたくしは、少し野暮用がございます。先に行っててください」
「…はい」
ピーロンは宿に入って行った。
黒瀬は、ピーロンが居なくなったことを確認し、
「さてと…。やりますか」
黒瀬は、ニヤリと笑い、その場を離れ、屋根に乗り、シルバーンのいる所へ急いだ。
――――シュン!
「これはこれは、シルバーン様。お久しぶりでございますね」
黒瀬は、ニッコリと笑った。
「お前は、あの時の執事か?」
「覚えてくださったのですか?嬉しいですねー」
「お前には、会いたくなかった」
「冷たいですねー」
「それに、関わると面倒だから、今ここで殺す!」
「怖い事をいいますね…」
黒瀬は、ナイフを取り出した。
シルバーンは、黒瀬に攻撃を仕掛けてきた。
「いいのですか?町で暴れても…」
「知った事か!?」
黒瀬は、シルバーンの攻撃をかわしていく。
(ここでは、目立ってしまいますね…)
攻撃をかわしながら、黒瀬は目立ちそうにないところがないか探していた。
「かわすばっかりでは、つまらんぞ!!」
「大丈夫ですよ。ちゃんと、攻撃をしてあげますから」
黒瀬が、そう言うとニヤリと笑うと、町外れにある森に身を潜めた。
「隠れたのか?ん?」
シルバーンは、周りを見て誘導されたことに気づいた。
(誘導されたか…)
そう思いながら、黒瀬の気配を探していた。
木の陰に隠れていた黒瀬は、
(やれやれ…。困りましたねー。めんどくさいことになりました。。。敵がいるということは、レギランスも、何か勘付いたのでは?厄介ですね…)
黒瀬はシルバーンから、逃れる策を練っていた。
「ん?そこか!?」
シルバーンが、木陰に隠れていた黒瀬に攻撃をした。
黒瀬は、攻撃を避けた。
「まったく、危ないですねー」
「隠れるばかりで、面白くないぞ?」
「隠れていませんよ?遊んでいるだけです」
「私は遊ばれているのか!」
(この方は、おバカなのでしょうか…)
と、黒瀬は思いつつ、攻撃をした。
黒瀬とシルバーンは、互角に戦っている。
(まったく…。いろいろと面倒ですねー。そろそろ、戻らないとですね…)
黒瀬が、ふと町を見た時、少し攻撃を受けそうになった。
そこに、火の矢が飛んできた。
「…っ!?」
「黒瀬っ!?」
「お嬢様!来てはダメですよ!?」
「だって、凄い大きな気配がしたから来てみれば…」
「あいつは…。もしかして、前に聖が言っていたやつか?」
「そうです。レギランスの1人、シルバーン様でございます」
「ご紹介にあたり光栄に思いますねー。でも、ちょうどよかった。探す手間がとれました。ここで、皆さんに死んでいただきましょう」
シルバーンが、ニヤリと笑い、攻撃をしてきた。
紅葉達は、一斉に避けた。
「お嬢様達は、下がっててください!」
「黒瀬!!」
「無茶だよ!」
「いえ、大丈夫ですよ」
黒瀬は、シルバーンに攻撃をした。
「言っときますけど…。あの時は、本気ではなかったものですから…。シルバーン様の攻撃など探っていましたので…。」
「やっぱり…」
「本気で…しましょうか?」
黒瀬は、シルバーンのふいうちを狙った。
シルバーンは、ギリギリのところでかわした。
「あれをかわすとは…」
「危なかった…」
(今のは、危なかった…)
「おしいことをしましたね…」
黒瀬はニヤリと笑う。
「あれは…殺しにいったな…」
皆、それを見て黒瀬を恐ろしく思った。
「今日のところは引くとしようかなぁ…。やることもあるし…」
そうシルバーンは言うと、消えていった。
「逃がしましたか…。串刺しにしてやろうと思いましたのに…」
(そこが怖いんだけど…)
黒瀬の顔が見えないが、背中を見るだけでも、紅葉達は黒瀬の表情がわかった。
読んでいただきありがとうございます。
評価☆→★に
ブックマーク、感想等、お願いします。
誤字・脱字あればお願いします。
まだまだ続きます。




