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うちのドS執事は異世界でも超最強  作者: 真皓 心
第2章
26/79

25  死神の存在。そして、新たなる精霊

 紅葉達は、西にある【ヴェリタス】という国に向かっている途中、【エジアール】村に訪れた。

そこは、暗い村だった。

ボロボロになった家の近くに、横たわっている村人が、たくさんいた。

そして、亡くなっている村人もいた。


「何…これ…。どうなってるの?」

「何者かに襲われたのでしょうか?」

「わかりませんね…。ただ、もうこの村は…」

「どうして…こんなことに」


紅葉達は、枯れ果てていく村や、村人達を見ていた。


「ここの村は…、紅葉様…枯葉様のように、肌が枯れているのと、一緒で枯れ果てていますね」

「そうなのよねー。最近、ちゃんと睡眠をとってないからかしら。だから、肌が枯れて…。って…誰が!枯葉ように、肌が荒れてるって?いつも、お肌の手入れをしているわよ!しかも、今、枯葉って言ったでしょ?枯葉じゃなくて、色鮮やかの方の紅葉よ!まったく!久しぶりに聞いたわ!それ」

「何それ?」

「あら、久しぶり聞きましたね。そのネタ」

「恐れ入ります。このやりとり、わたくしも、好きなのでございます(笑)これで、紅葉様と遊ぶことができますので」

「私で遊ぶな!!」

「言い直すまで、言うことだったか?」

「さぁ…」

(てか、ネタって…)


 黒瀬は、ニッコリと喜ぶように言った。

セラティナとサラは、呆れて首を振っていた。

村の奥に進んでいくと、人影をみた黒瀬が、


「お嬢様…」


 黒瀬の声に、紅葉達はふと前を向くと、そこに、犬の仮面をつけた者がいた。


「何あれ…。怖いんだけど…」

「黒瀬、いける?」

「ええ、いつでも行けますよ」


 紅葉達は、いつでも戦闘ができるように武器を構えた。


「ちょ、ちょっと!そこのあなた!なんで、亡くなっている方を背負っているのよ!?どこに、運ぼうとしているの?」


 紅葉はそう言うと、犬の仮面をかぶった者は、紅葉達を見ると、何も言わずに、山の方へと向かって行った。


「ちょっ…ちょっと!!待ちなさいよ!」

「お嬢様、行ってみましょう…」


 黒瀬がそう言うと、犬の仮面をかぶった者に、ついて行った。

犬の仮面をかぶった者は、森を向け、広場に出ると魔法陣を出し、そこに死者をおいた。

魔法陣に吸い込まれるように、亡くなった村人はいなくなった。

それを犬の仮面をかぶった者はずっと見ていた。


「すみません。少し、よろしいですか?」


 黒瀬の言葉に、犬の仮面をかぶった者は、紅葉達の方に向いた。

そして、


「すまない…。先程は…。仕事中だったのでな」


その犬の仮面をかぶった者が言った。

声からすると、男性のようだ。


「もしかして…。アヌビス…」

「アヌビスって…あの?」

「何?そのアヌビスって…」

「アヌビスは、エジプトの神話とされています。ミイラ作りの監督官とされ、実際に、ミイラを作ったり、死者を冥界へと導く祝詞をあげたりする際に、アヌビスの仮面を被って作業が行われたそうです。ひいては、医学の神ともされていて、また、死んだ人間の魂を速やかに、冥界へと運ぶために、足がとても速いとされています」

「へぇ~…。聞いたことないけど…?」

「まぁ、頭の中が何もないお嬢様にとっては、この説明をしても分からないでしょう?」

「人をバカにするのも、大概にしなさいよ!?」


と、言い合いをしていると、犬の仮面をかぶった者が、仮面を外した。


「そこの人、よくわかりましたね。私は…死神です。先程は、失礼致しました。私は、アヌビス様に、お仕えしている【ルビウス】と申します」

「これはこれは、ご丁寧に…。わたくしは、こちらのおバカと、おアホーのお嬢様に仕えています。執事の黒瀬と申します」

「ちょっと!!その言い方、腹が立つんだけど?私は、紅葉よ」

「てか、お2人さん?普通に自己紹介してますけど、今、その人《死神》と言いましたよ?」

「ルビウス…さんだっけ?その人が言ったこと、スルーしてない?」

「ちゃんと聞いてますよ?」

「まぁまぁ、細かい事は気になさらず…」

(めっちゃ、気になる所だけど…?)


 少し疑問が残るが、それぞれ、自己紹介をし、終わったところで、紅葉はルビウスに話を聞いた。


「ルビウスさん、これは一体、何事なのですか?どうして、こんなことに?」

「それは、魔族の仕業なのです」

「!?」

「魔族?この村に?」

「ええ。ここ最近、時空が歪みつつあります。だから、魔族達が現われやすくなっています。だから、こうして、村を襲ったりしているのです」

「魔族はここに、存在しないのですか?」

「ええ、ここは、魔界あちら側と繋がっていません。だから、私達、死神は異世界ここを行ったり、来たりしているのですよ」

「そうなのか…」

「今、《時空が歪んでいる》と言っていたが…これは…。もしかして、レギランスが引き起こしているのか?」

「あるいは…。私の妹を殺したあの仮面の奴か…」

「もう少し早く来ていれば、もしかしたら、村を…村人たちを救えたのでは…?」


 紅葉は、そう言って悔しがっていた。


「でも、来ていても、村の人達を救えることができたのか…?」

「少なくとも、救えた命はあったはずだよ?」

「こんなにも、死人が多いとは…」

「とりあえず、今生きている人に、救いの手を差しのべるべきだよ!」

「そうだな…」


 紅葉達は、急いで村へと戻った。

サラが、1人残っていた。


「サラ?」

「先に行ってて。後でちゃんと追いつくから」

「分かった」


 サラは、ルビウスにある願いをした。


「ルビウスさん、あなたと通じていたら、アヌビスと交信ができますか?」

「できないことはないとは思いますが…」

「なら、精霊として、あたしときてほしいのだけど?」


 ルビウスは、サラの言葉にびっくりしていた。


「それは…できません。私は、死神です。精霊は精霊でいますので…。それに、私よりも優秀な方を、お連れ致します。一旦、死神の世界(あちら側)に戻りますので、後ほど」


 そう言うと、ルビウスは消えて行った。

サラは、急いで紅葉達の元へと走った。


◇◇◇


――――――紅葉達は、【エジアール】村に戻っていた。

 まだ、意識ある人には、回復薬や回復呪文をかけて、村人達を元気にしていった。


「ありがとう…ございます」

「あまり無理しないで…」


 黒瀬は、アイテム袋から、エジアール(ここ)に来るときに、倒した魔物、魔獣の肉や野菜、大きな鍋、器等出した。


「聖さん、準備がいいですね。しかも、アイテム袋にこんなにも入っているとは…」


と、ピーロンが驚いて言っていると、そこを見ていたラーガが、


「本当に、聖は凄いなぁ…。この事は、想定内に入っているのか?なんでもできるんだな…(汗)」

「まさしく、完璧執事!!」


 ラーガとロザが感心していると、そこに、サラが走ってきた。


「はぁ…はぁ…」

「サラ!来た来た。ごめん…。あそこにいる男の子と女の子に、回復呪文をかけてほしいのよ」

「わ、分かったわ」


 早速、サラは男の子と女の子に回復呪文をかけた。


―――――ヒール!!


 男の子と女の子は、ほぼ衰弱していた。


「クソっ!!これじゃあ、力が足りない…」

(助けたいのに…。ち、力が足りないなんて…。この子達を助けたい!!)


 サラの助けたい!という気持ちに応えたのか、魔力が上がっているのが分かった。


「何!?この込み上げてくるような力は…」


 紅葉達が、ケガや瀕死状態にあった村人達を治していると、とてもない力に反応して周りを見ると、サラの体中に光が差していた。


「サラ?」


(呪文が頭の中に入ってくる…)


――――ケアルガ!!


 サラがそう呪文を唱えると、みるみるうちに、男の子と女の子は元気になった。


「嘘っ!!」

「新しい呪文を!?」


 紅葉達が、驚いていると、男の子と女の子は目を覚ました。


「んん…」

「うっ…」

「大丈夫?」

「うん…。お姉ちゃんが助けてくれたの?」

「お姉ちゃん、ありがとう」


男の子と女の子は、サラに礼を言うと、ラーガが来て言った。


「もう少し、横になっといた方がいい…」

「うん…」


 2人は、また横になり、休んだ。

サラは、その場に倒れそうになった。


「おっと…。大丈夫か?サラ」

「…うん。大丈夫よ。こんなの根性で、なんとかなるから」


 そう言って、サラは無理矢理体を起こした。

また、別の村人に回復呪文をかけていた。

ラーガは、サラをきにかけていた。


「できましたよ。村の皆様!列に並んでください。順番に、取りに来てくださいね」


 黒瀬が作ったシチューや雑煮等が、テーブルに並んでいた。

村人達は、順番に列に並ぶ。

わいわい、賑やかにしていると、森の中から魔物が現われた。

黒瀬は、冷静に魔物達を倒していった。

ラーガとロザも、倒しに行った。

数体の魔物が出ていたが、ラーガとロザのおかげで、全部、倒せた。


「お見事です!ラーガ様、ロザ様。ありがとうございます」

「おじょーず~!!」


ピーロンは、2人に拍手をした。


「こんなの余裕だよ!」

「私は、皆を守る盾だからな!当然の事をしたまでだよ」


 村人達も皆、2人にお礼を言う者、拍手をする者がいた。

それに、2人は少し照れているように見えた。

紅葉達は、その晩、【エジアール】村に泊まることにした。








――――次の日。

 紅葉達は、村を出ようとしていた。


「昨日は、本当に楽しかった」

「そうだな。また、来るとしようかなぁ…」

「やることをやってから、また、のんびり来ることにしよう…」


そう話していると、村人がやってきて、


「冒険者の皆さん。この瀕死状態にあった村を、救っていただきありがとうございました。あなた方は、エジアール村を救ってくださった」

「私達は、【モミジ】というギルドです。覚えておいてください。また、いつかこの村に来ますから!」

「はい。本当にありがとうございました!」


 紅葉達は、村人達に見送られながら【エジアール】村を旅立った。


◇ ◇ ◇

 

 【エジアール】村から、少し離れたところにきた所で、どこからともなく、声が聞こえてきた。


〈サラ様…〉


「ん?」

「こ、声?」


 紅葉達が、周りをキョロキョロしていると、魔法陣が現われ、ルビウスがいた。


「昨日ぶりでございますね。サラ様」

「そうね。それで、アヌビスの答えは?」

「分かりました。とのことです。で、お約束通り。私より、優秀な精霊を連れてきました」


 ルビウスがそう言って、魔法陣を呼ぶと、下から可愛らしい女の子が現われた。


「どうも。こんにちは!あなたですか?私を精霊に入れたいのは…」

「そうよ。あ、あなたの名前は…?」

「はい。私の名前は、【バンシー】と言います。ルビウスから、話を聞いています。いいでしょう。アヌビス様からも、お許しが出ていますしね」

「よかった…。じゃあ、一緒に来てくれるの?」

「はい!」

「では、契約しましょう」


 そう言って、契約の儀をしようとしたとき、紅葉が突然、割り込んだ。


「ちょっと、待ったー!!なんで、こんなことになっているのよ!?どういうこと?」


 紅葉が1人だけ困惑していると、黒瀬が説明をした。


「サラ様は、ルビウス様に、相談をされていたのですよ。要するに、仲間を増やしたい。という思いから、ルビウス様に言ってみて、『また、改めて』という事で、返事を待っていたのですよ」

「そうだったの?いつの間に、私がいないところで…?」

「ごめんね…。秘密にしてたわけではないのよ?てか、黒瀬はあの時、紅葉達と村に向かってたんじゃあ…」

「ああ…。その事ですか?わたくしの分身を居らせたのです。サラ様に何かあれば、すぐに飛んでいけれるようにと。だから、ばっちり見ていましたよ?」

「分身がいたのか…(汗)」

「では、改めて…契約の儀を…」


 サラとバンシーは、契約をした。


「これからもよろしくね。バンシー」

「うん、こちらこそ」

「では、私はまだ仕事が残っていますので、これで失礼します。また、いつか会える日を楽しみにしています」

 

そう言うと、ルビウスは魔法陣に包まれ消えて行った。





――――――そして紅葉達は、【ヴェリスタ】国に向かうのだった。




読んでいただきありがとうございます。

評価(☆→★にお願いします)・ブックマーク・感想等あればお願いします。

また、誤字・脱字あればお願いします。

まだまだ、続きます。

必死になって、頑張って書きます!

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