23 ルルベニア国王様の依頼
「お嬢様、朝でございますよ?そろそろ起きてください?」
「んん…」
紅葉が黒瀬の言葉に、目を覚ます。
「お、はよう?」
紅葉は、目を擦りながら、黒瀬に時間を聞いた。
「今日は…」
「ちょっと黒瀬!また、昨日の今頃とか、言うじゃないでしょうねー」
「どうしてお分かりに?」
「それぐらい、分かるわよ!やっぱり、言おうとしてたのね?」
「いえ…。決して、そのような事は…」
そう話していると、勢いよくクロナが入ってきた。
「まーた、聖様は、紅葉様を虐めているのですか?こんなことは、わたくしが許しませんわ!!」
「虐めているとは…。人聞きが悪いですねー」
「紅葉様、大丈夫でございますか?」
「ええ…。大丈夫よ?いつもの事だから」
「いつも…毎朝こんなことしていたら、紅葉様が朝から疲れてしまいますわ!」
(すでに、このやりとりで、疲れているのだけれども…)
紅葉はそう思いつつ、着替えをする。
「クロナ様。そういえば、こないだの、あの時はいませんでしたが…。どうかされたのですか?」
「なっ!!それは、聖様が1番、分かっているでしょう?あなたのせいで、わたくしは、瀕死の状態でしたのよ?壁にナイフで、壁付けにされていたのですから!」
「それはそれは…。気づきませんでしたよ(笑)」
そう言って、クロナを挑発するようにニッコリと笑う。
「わたくしが、居なかったせいで、紅葉様が危ない目にあった、と聞いています!わたくしが、居たらそんな奴、わたくしが叩きのめしてさしあげたのにー!」
「いやいや。私よりも、ユーネリアを守らないといけなかったのよ?」
「そんなのは、知りません!わたくしは、紅葉様。一途ですから。後の事は、どうでもいいのですよ」
「でも、それなら私のそばに居て、ユーネリアを守って!と言ったら、クロナはどうするの?」
「それは、仕方ないと思って、ユーネリアさんを守りますわ。この命に代えてでも…」
「ですが、わたくしは、お嬢様を1番に考えていますので…。今回の事は、本当に反省しております…。本当に申し訳ございませんでした。以後、気を付けます」
そう言って、黒瀬は紅葉に謝罪した。
それを見た紅葉は、
「私なら、大丈夫よ?それよりも、ユーネリアが心配…。次、奴らにあったら、黒瀬…手加減はいらない…。迷いもいらない…。ボコボコに倒しなさい!」
「はい。仰せのままに…」
黒瀬は、そう心に誓った。
紅葉は表情が険しくなり、こう思った。
(絶対に許さない!!レギランス…)
と。
紅葉、黒瀬、クロナは、食堂へと向かう。
「おはよう」
セラティナ達は、3人に挨拶をする。
「皆様、おはようございます」
「おはよう。朝から、いつものように、にぎやかだねー」
「なんかごめんね…」
「まぁ…。見てて面白いからいいけど…」
セラティナは、呆れたように言う。
「皆様…。少しよろしいですか?」
黒瀬は、少し険しい表情で、紅葉達にこう言った。
「サニーライム村の事を調べましたが…。この世界について調べる必要がありそうです」
「確かにな…。それは、こないだ、調べているときに分かった…」
「ラーガ様は、分かりましたか?」
「ああ…。レギランスの目的はなんだろうか…と考えたら、聖さんが思ってるように、調べる必要がある。だから、聖さんがいう事も一理ある」
「そうね…。いろいろと、気になることがあるから…」
「ちゃんと、調べる価値がありそうね」
「まずは、サニーライム村に戻って、ちゃんと、もう1度、調べてみましょう?」
「レギランスの目的が分かるかもしれないわね」
紅葉達は、もう1度、サニーライム村に向かう事にした。
◇
◇
◇
――――もう1度、サニーライム村に戻ってきた紅葉達は、改めて砦を調べることにした。
「ちゃんと見てなかったけど、砦の所に、紋章があるわね」
砦の入り口の所にかすかに、紋章みたいなものがあった。
黒瀬がそれを見て、
「あの紋章…。どこかで…」
少し考えて思いついたかのように、
「あっ!思い出しました!あの古い本に、あの紋章と同じものがありました」
それは、六芒星を見て、黒瀬が言った。
「サニーライム村を出てから、古い本を見ていて、何の紋章なのかと思いましたが…。そういうことだったのですね!分かりました。この六芒星は、この世界地図の事を表していたのです」
「黒瀬?六芒星って?」
「六芒星とは、星型多角形の一種で、六本の線分が交差する図形の事を言います。六角星、六線星、星型六角形、ヘキサグラムとも言われています」
「ふーん…」
「やっとわかりました。どうして、この古い本の最後のページに地図が書かれているのかが」
「何なの?」
「お嬢様、この地図をよく見てください」
「あっ!!これは…」
「はい。この紋章です!」
「気づかなかった…」
「初めて来たときは、どうしてあの紋章が刻まれていたのか。それが、わたくしには、分からなかったのです。古い本をあさって調べた甲斐がありました」
「この地図も、あの紋章と一緒だ!」
黒瀬が見ていた古い本に書かれていた。
国と国で、六芒星の形に結ぶかのように、書かれていたのだった。
「でも、どうして…?」
「これは、国に行って、聞いてみた方が、よろしいかと…」
「これは、レギランスの奴らも知っているのだろうか?」
「それは、分かりませんね…」
「でも、国の方に聞いてみましょう?」
「そうだね」
「まずは、ここよ。ルルベニアに行ってみましょう」
紅葉達は、ルルベニアに行ってみることにした。
◇
◇
◇
――――――――――ルルベニアに向かう途中、【スノース・フリーズ】、別名【ノースタウン】という町によった。
ルルべニアの国の中に、この【スノース・フリーズ】という町がある。
アナンに、紅葉達は魔物の討伐を依頼されていた。
◇◇◇
「【モミジ】のギルドの皆さん!皆さんに頼んでもいいですか?」
「どうしたのですか?アナン様」
「先程、ルルべニアの王様から、魔物の討伐の依頼がきたのです」
「その魔物は?」
「サーポパードです」
「サーポパード?」
「サーポパードは、魔獣です。首の長いネコ科の動物で、蛇+豹を組み合わせた魔獣です」
「うーん…。あまり思いつかないけど…」
「また、厄介な魔獣だな…」
「まぁ、王様からの依頼だから、大金が入るかもしれないし…」
「依頼、受けましょう!」
◇◇◇
「まーた、大変な依頼を受けたなぁ…」
「大丈夫かな?」
「アナン様から、場所は聞いていますよ?」
「この地図によると…『【ルルべニア】の国の間の山脈に現われる。』と書いてあります」
「この町で、いろいろとそろえてから行きましょう?」
「そうしよう」
紅葉達は、買い物に行った。
「凄いたくさんの屋台があるわね」
「私は、剣を見に行くことにするよ」
「僕も、銃の弾を見に行くとしようかな…。次の魔獣は、めんどくさそうだしな」
ラーガとロザは、装備屋に行った。
紅葉、セラティナ、サラ、クロナは、服を見に行った。
「このマント、火力が強いみたいだな…」
「どうしようかなぁ…?」
紅葉達は、いろいろ悩みながら、選んでいた。
◇ ◇ ◇
一方の黒瀬とピーロンは、【サーポパード】という魔獣を調べに行った。
「ここの図書館には、いろんな本がたくさんありますねー」
「ですが、肝心の【サーポパード】の情報が、書かれている本がありませんね…」
「こうなったら、奥手のです」
「聖さん…。ま、まさか…」
「ええ、そのまさかです」
黒瀬はそう言うと、ニヤリと笑う。
◇◇◇
黒瀬とピーロンは、山脈に来ていた。
「やっぱりですか…(汗)」
「はい」
黒瀬は、ニヤリと笑い、サーポパードを観察していた。
ピーロンは、岩場に隠れながら、様子を見ていた。
「そうですね…」
サーポバードの攻撃をヒラリと交わしながら、対策を練っていた。
(もう…。いっそのこと…。聖さんが倒したらいいのでは…?)
「そうですね…。燃やしてみては…。そうなると、サラ様のサラマンダーで燃やしてしまえば、すぐに決着がつくかなぁ…と思うのですが…」
「聖さん…?遊んでません?」
「えっ?遊んでませんよ?楽しんでいます(笑)」
(その笑みが毎回怖いのですよ?)
ピーロンはそう思いつつ、黒瀬の事を見ていた。
「では、ピーロン様。だいたい分かりました。帰りましょう」
「はい…」
黒瀬とピーロンは、一旦町に帰った。
◇◇◇
紅葉達は、宿に帰っていた。
「いやー。いい弾があったよー?」
「私もだ。いい剣が買えた」
「私達もいいのが買えたよー」
話していると、黒瀬とピーロンが帰ってきた。
「おかえりなさい。どうだった?」
「最初は、図書館に行って、本を見て調べていたのですが…。何も書かれていなかったので、実際に見て観察をしたほうがよろしいのではないかと山脈に行ってみたのです」
「えっ!?」
「まぁ…。そうなりますよねー?」
紅葉達は驚いていたが、ピーロンは苦笑いをしながら、その光景を見ていた。
「黒瀬が行ったのなら、なぜ倒さなかった?」
「それは、皆様と一緒に倒した方が、楽しくなりそうなので…」
黒瀬は、ニコリと笑いながらそう言った。
ラーガとロザは、コソコソと話した。
「いや…(汗)聖が倒せば、私達は行かなくてもいいのではないか?」
「だよな…」
「皆様のレベルを少しでも上げておかないと、レギランスの方々と戦うとき困るのでは?」
「まぁ、それもそうだな…」
「明日、行って倒して、ルルべニアの王様にがっぽり、たんまり、大金をもらわないとねー」
「頑張ろう!」
(明日がワクワクですね(笑))
黒瀬は、ニコリと微笑んでいた。
◇
◇
◇
―――――――次の日。
紅葉達は、【スノース・フリーズ】とルルべニアの間の山脈に来ていた。
「お嬢様、そっちに行きましたよ!?」
「分かった。ラーガ!シールドを!!」
「了解した!」
ラーガは、シールドをはった。
サーポパードの攻撃を阻止した。
「黒瀬、動きを止めて!」
「分かりました!」
「僕が援護するよ」
ロザは、全体が見えるところに登っていた。
そこから、黒瀬の援護をする為に弾丸を打ち込んでいった。
「今だ!」
「サラマンダー、いけ―――!!」
サーポパードは、サラマンダーの炎で焼き尽くした。
「結構、しんどかったなぁ…」
「キツかったわね…。はぁ…はぁ…。ま、魔力が…」
「でも、倒せてよかったわ」
「早く、ルルべニアの国に行きましょう」
「そうですね」
黒瀬はニッコリと笑っていた。
「そういえば、焼いたのはいいけど、王様に倒した証として、何か持って行かないとダメだよ?」
「焼いてもよかったのか?」
「いいでしょう。その方が、倒しやすいですしね―」
黒瀬の笑みが、微妙に怖かった。
そして、ボロボロになったサーポパードの肉を、ルルべニアの国の王様に見せるのに、紅葉達は向かった。
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頑張って書きます!
まだまだ続きます。