22 サニーライム村のヒミツ
――――――ポチョン…。
水が滴る音の中、ユーネリアはふと気が付く。
「…っ。ここは…」
目が覚めると、両手を鎖でつながれていた。
「あら?目が覚めたー?」
ユーネリアが顔を上げると、そこには女の人が立っていた。
砦の所で、ユーネリアをさらったキャネルではない。
「あなたは…?私をどうするつもりですか?」
「名乗るほどではないよ。あなたは、人質になってもらうために、さらってきたのよ。妙な真似したら…わかるわよね?」
ユーネリアは、威圧感を覚えた。
(何…この人…。砦にいた人達よりも…変なオーラが見える…)
そう思った。
(皆さん…。今頃心配していますよね…。私があんなこと…。勝手にしなければよかった…)
ユーネリアは、後悔していた。
また、紅葉達のことを心配していた。
いつか、紅葉達が助けに来てくれると信じて…。
◇◇◇
――――ここは、レギランスのアジト。
別、空間にアジトがあった。
万が一、このアジトがバレたら、即、他の所に行って、場所を転々としていた。
仮の場所だった。
「全く!また、良いところで引いてさ!僕の邪魔しないでくれる?」
「そんなこと言われても困る…。あれで、ずっと居たら、あの執事にあの子を取られていたよ?」
「とりあえず、あの執事は僕がやるから!あいつにはカリがあるからな!絶対に邪魔はすんなよ!?」
パラディスは、怒りながらそう言った。
「でも、連れ去ってきたあの子は、本当に使えるのか?」
「何か、あの魔導書の事、知っているのかもしれないじゃないか?」
「まぁ、私達は、あの四天王の邪魔が出来れば、それでいい…」
「ねぇ?ラジリスタ」
「…。あまり、下手な動きをするなよ?あいつら(四天王)に気づかれるぞ?」
「分かってるって!」
(ロワール…貴様は、絶対に許さない!お前らの居場所を見つけてやる!!)
ラジリスタは、部屋の奥へと行く。
◇
◇
◇
一方、紅葉達はギルドハウスへと戻っていた。
皆、異様な空気が漂っていた。
顔を下に向いていた。
「くそっ!」
「私が、ちゃんと見てなかったせいで、ユーネリアが連れ去られた!私さえ、あんなことにならなかったら…」
「でも、それは私達も一緒だ!紅葉、自分だけ責めないで?」
「でも!私が誰よりも近くにいたんだよ?なのに!なのに…、ユーネリアを助けることができなかった!」
「お嬢様…」
「もっと…。レギランスの情報を集めないといけない…。ただ、これで少しは分かったな」
「ええ…。レギランスは、あの魔導書を使って、何かをしようとしている…」
「でも、いったい何をしようとしているんだ?」
「それは、わからない…。奴らの目的は、本当に何だ?」
「それより、ユーネリアを一刻も早く助けないと!」
「ユーネリアと関係があることなのか?」
「もし、そうならば…。ユーネリアが危ない…」
紅葉達は、【サニーライム村】の事について必死に調べた。
また、レギランスの事に調べてた。
だが、やっぱりレギランスの事についてはあまり収穫はなかった。
「あまり、収穫はなかったなぁ…」
「わたくしも少し今日は、図書館に長い事いましたが…、レギランスの事については何も…。ですが、その代わりに、ユーネリア様の故郷【サニーライム村】については、情報がいくつか集まりましたよ?」
「そうなの?」
「はい」
黒瀬は、紅葉に褒めてくださいと言わんばかりに、褒めてオーラを出しまくっていた。
それを見ていたセラティナ達は、
(あれは、、、褒めてほしいんだな…)
(分かりやすい…)
そう思った。
紅葉は、それを見て、
「黒瀬、ありがとう」
と、満面の笑みで黒瀬にお礼を言った。
「【サニーライム村】には、かつて、『不死鳥が来る町』として、有名だったみたいですよ?」
「不死鳥?」
「それには、私も聞いたことがある」
ラーガが口を開いた。
「確か…。100年に1度しか姿を見せない。だから、村はその時だけ、お祭りをするっていう風習があるとか…」
「へぇー…。お祭りねー」
「なんかそれ、面白そう」
サラがワクワクしながら言った。
「不死鳥は、あまり人前では姿を見せないと、書いてありましたが、、、」
「そりゃあ…伝説になっているのなら…。しかも、100年に1度しか現れないって…」
「その、100年に1度って、いつがその時なのよ?」
「そうですね…。まだまだ、先みたいですよ?」
「ん?そうなの?」
「ええ…。それまでなら、レギランスの奴らのことも調べて、居場所もつきとめて、倒しましょう」
黒瀬は、ニッコリと微笑むが、セラティナ達には、それが怖く見えた。
(あれは…。ヤバいことを考えてる笑みだな…)
(こえーー…(汗))
黒瀬は、本を見ていた。
疑問に思うことが、そこには書かれていた。
「お嬢様!これ…」
「『サニーライム村とつながれし国…。』地図があるわ!この世界の地図ね」
その本の最後のページには、異世界の地図が載っていた。
(どうして…。これが最後に載っているのでしょう…)
黒瀬はそう思った。
それから、黒瀬の顔は曇っていった。
黒瀬が考え込んでいると、ピーロンがその表情見て、心配して話しかけてきた。
「聖さん?大丈夫ですか?どこか悪いのですか?」
「あっ!?これは、失礼しました。わたくしは大丈夫ですよ」
黒瀬はそう言うと、ニコリと微笑んだ。
(この世界の事を、もっと詳しく調べる必要がありそうですね…)
黒瀬は、1人そう思った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回、少し短いですが、楽しんで読んでいただけると幸いです。
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また、誤字・脱字があればお願いします。
まだまだ続きます。
頑張って書きます!